《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》12.悪役令嬢はお姉様をゲットする
「ヘレンと申します。よろしくお願いいたします」
ヘレンを自分付きの侍として雇いれるための渉――父親へのおねだり――は呆気なく功した。
伯爵家が沒落したのは當主の負債によるもので、ヘレン自の評判が悪くなかったのも大きい。
父親としては、恩を売る形で雇いれれば、不正を働いたり裏切る可能が低くなると考えたらしかった。
張しているものの、元気そうなヘレンの姿に顔が綻ぶ。
「この度はクラウディア様の推挙があったと聞いています。誠心誠意、仕えさせていただきます」
「慣れるまでは大変だと思うけど、よろしくね」
できれば娼婦時代のように気さくに話してもらいたいが、今の主従関係では無理な相談だ。
それでも、これから仲良くなれればと思う。
「ヘレンは今、十八歳なのよね? 先輩として學園や社界の話を聞かせてしいわ!」
「學園は家の事で中退してしまいましたが、わかることは何でもお話しします」
クラウディアが明るくお願いすれば、優しい笑みが返ってくる。
Advertisement
年下を見守る懐かしい表に、目頭が熱くなった。
生きているのだ。
ヘレンも、自分も。
改めてそれを実すると涙がこぼれそうになり、咄嗟にヘレンに抱き付いて隠す。
「クラウディア様!?」
「嬉しい! お兄様も素敵だけど、ずっとお姉様にも憧れていたの」
クラウディアと年の近い侍は、公爵家の推薦狀目當ての奉公なので、れ替わりが激しい。
その點、ヘレンは雇いれの経緯からも、他の侍より長く居著いてくれるはずだ。
(良縁があるまでは、わたくしがヘレンを守ってみせるわ)
母親とマーサのように長く一緒にいられたら嬉しいけれど、ヘレンが魅力的なであることは、クラウディアが一番よく知っている。
公爵家で働いていれば、すぐ男の目にもとまるだろう。
令嬢時代もモテたはずだが、いかんせん家の狀況が悪すぎた。
貴族の婚姻は、本人たちより家の繋がりが重視される。特別な理由でもない限り、わざわざ負債がある家を求める貴族はいない。
クラウディアが偽りない心を述べれば、ヘレンは破顔して彼をけとめた。
「わたしも妹がしかったので嬉しいです」
「ふふ、わたくしたち両想いね。あ、マーサは厳しく言うと思うけど、適當に聞き流してくれたらいいわ」
きっと距離を空けるよう言ってくるだろうけど、クラウディアもこれだけは譲れない。
あけすけな発言をするクラウディアに、ヘレンは親近を抱いたらしく、二人はすぐに仲良くなった。
娼婦時代も気が合った二人だから、當然といえば當然だった。
◆◆◆◆◆◆
「新しい侍とは上手くやっているようだな」
「これも希を聞いてくださったお父様のおかげですわ」
ヘレンが屋敷に來てから、クラウディアはすこぶる機嫌が良い。
頭の痛い事案はまだ殘っているものの、傍にヘレンがいるだけで乗り越えられる気がするのだ。
シルヴェスターとのお茶會を機に、帰宅の頻度が増した――相変わらず泊まりはしないが――父親とも良好な関係が続いている。
その間、クラウディアは機會があればマーサを持ち上げ、他の使用人へのフォローも忘れなかった。
傍で働きを見ていたヘレンが、クラウディア様がこの屋敷の主人ですね、と言うくらいだ。
最近では執事と相談することも増えているので、あながち間違いではない。
にこにこと笑みを絶やさないクラウディアに、父親とヴァージルの顔も綻ぶ。
「殿下との文通は続いているか?」
「はい、シルヴェスター様は毎回花を添えてくださりますの。次は何の花が屆くのか、手紙と一緒に楽しみにしています」
きゃっとクラウディアが恥じらえば、父親は満足そうに頷く。
人の気も知らないで……と思うけれど、それを気取られないようにしているのはクラウディア本人である。
が読めないシルヴェスターだが、クラウディアとのお茶會は楽しんでくれたようで、次の機會も設けたいと言われていた。
けれど都合がつかず、先延ばしになっている。
父親の話では、他にも婚約者候補がいる手前、クラウディアばかりに時間を割けないらしい。
クラウディアとしては喜ばしい限りだが、その代わりに求められたのが文通だった。
「ディーも花のお返しを贈ってはどうだ?」
シルヴェスターとの関係はヴァージルにも優しく見守られ、そんな提案をされる。
「そうですね……お兄様なら何が嬉しいですか?」
「俺はディーから貰えるものなら、何だって嬉しいよ。思いつかないなら、週末に商店でも回ってみるか?」
「もちろんお兄様も一緒ですよね?」
「あぁ、最近はヘレンにお株を奪われているからな」
「ふふっ、ヘレンは年の近い同だから相談しやすいの。それこそシルヴェスター様のことだったら、お兄様にしか相談できないわ」
視界の端で、父親が寂しそうな顔をしていたのはスルーした。
良好な関係は維持したいけれど、今まで放置した罪悪は持ち続けてもらいたい。
(というか未だに人宅へ帰っておきながら、父親面しないでしいわ)
父親がクラウディアを政治利用するつもりがないことは、接してきた中でじていた。
シルヴェスターとの婚姻は、あくまで娘にとっても為になるから推しているようだ。
もしかしたら自分の政略結婚が上手くいかなかったことを、意識しているのかもしれない。
(は悪くないのだろうけど、自分に甘い人なのよね)
そう考えると、前のクラウディアは両親の悪いところばかりをけ継いだように思える。
実際は厳格な母親とマーサを前に、余裕がなかっただけだが。
真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!【書籍化・コミカライズ連載中】
【雙葉社様より2022年8月10日小説3巻発売】 番外編「メルティと貓じゃらし」以外は全編書き下ろしです。 【コミカライズ連載中】 コミックス1巻発売中 漫畫・橘皆無先生 アプリ「マンガがうがう」 ウェブ「がうがうモンスター」 ある日突然マリアベルは「真実の愛を見つけた」という婚約者のエドワードから婚約破棄されてしまう。 新しい婚約者のアネットは平民で、マリアベルにはない魅力を持っていた。 だがアネットの王太子妃教育は進まず、マリアベルは教育係を頼まれる。 「君は誰よりも完璧な淑女だから」 そう言って微笑むエドワードに悪気はない。ただ人の気持ちに鈍感なだけだ。 教育係を斷った後、マリアベルには別の縁談が持ち上がる。 だがそれを知ったエドワードがなぜか復縁を迫ってきて……。 「真実の愛を見つけたと言われて婚約破棄されたので、復縁を迫られても今さらもう遅いです!」 【日間総合ランキング・1位】2020年10/26~10/31 【週間総合ランキング・1位】2020年10/29 【月間総合ランキング・1位】2020年11/19 【異世界(戀愛)四半期ランキング・1位】2020年11/19 【総合年間完結済ランキング・1位】2021年2/25~5/29 応援ありがとうございます。
8 55クリフエッジシリーズ第一部:「士官候補生コリングウッド」
第1回HJネット小説大賞1次通過‼️ 第2回モーニングスター大賞 1次社長賞受賞作! 人類が宇宙に進出して約五千年。 三度の大動亂を経て、人類世界は統一政體を失い、銀河に點在するだけの存在となった。 地球より數千光年離れたペルセウス腕を舞臺に、後に”クリフエッジ(崖っぷち)”と呼ばれるクリフォード・カスバート・コリングウッドの士官候補生時代の物語。 アルビオン王國軍士官候補生クリフォード・カスバート・コリングウッドは哨戒任務を主とするスループ艦、ブルーベル34號に配屬された。 士官學校時代とは異なる生活に悩みながらも、士官となるべく努力する。 そんな中、ブルーベルにトリビューン星系で行方不明になった商船の捜索任務が與えられた。 當初、ただの遭難だと思われていたが、トリビューン星系には宿敵ゾンファ共和國の影があった。 敵の強力な通商破壊艦に対し、戦闘艦としては最小であるスループ艦が挑む。 そして、陸兵でもないブルーベルの乗組員が敵基地への潛入作戦を強行する。 若きクリフォードは初めての実戦を経験し、成長していく……。 ―――― 登場人物 ・クリフォード・カスバート・コリングウッド:士官候補生、19歳 ・エルマー・マイヤーズ:スループ艦ブルーベル34艦長、少佐、28歳 ・アナベラ・グレシャム:同副長、大尉、26歳 ・ブランドン・デンゼル:同航法長、大尉、27歳 ・オルガ・ロートン:同戦術士、大尉、28歳 ・フィラーナ・クイン:同情報士、中尉、24歳 ・デリック・トンプソン:同機関長、機関大尉、39歳 ・バーナード・ホプキンス:同軍醫、軍醫大尉、35歳 ・ナディア・ニコール:同士官 中尉、23歳 ・サミュエル・ラングフォード:同先任士官候補生、20歳 ・トバイアス・ダットン:同掌帆長、上級兵曹長、42歳 ・グロリア・グレン:同掌砲長、兵曹長、37歳 ・トーマス・ダンパー:同先任機関士、兵曹長、35歳 ・アメリア・アンヴィル:同操舵長、兵曹長、35歳 ・テッド・パーマー:同掌砲手 二等兵曹、31歳 ・ヘーゼル・ジェンキンズ:同掌砲手 三等兵曹、26歳 ・ワン・リー:ゾンファ共和國軍 武裝商船P-331船長 ・グァン・フェン:同一等航法士 ・チャン・ウェンテェン:同甲板長 ・カオ・ルーリン:ゾンファ共和國軍準將、私掠船用拠點クーロンベースの司令
8 113無能魔術師の武器 ~Weapon Construction~
10年前、突如誰にも予測されなかった彗星が世界を覆 った。その後、彗星の影響か、人々は魔法を使えるよ うになった。しかし黒宮優は魔法を使うことができな かった。そして、無能と蔑まれるようになった。 そして、彼はある日、命の危機に襲われる。 その時彼はある魔法を使えるようになった……。
8 77一目惚れから始まった俺のアオハルは全部キミだった...
中學ではバレー部キャプテン、さわやかイケメンの青木 奏太 中學時代いじめや病気を乗り越えて、心機一転高校では新しい自分になろうと心躍らす赤井來蘭 そんな2人は出席番號1番同士 入學式、隣に並ぶ來蘭に奏太は一目惚れをする 中學時代のいじめの記憶がトラウマとなり、ことある事にフラッシュバックしてしまう來蘭を懸命に守る奏太 その度に來蘭は強くなり、輝き出していく
8 78ルームメイトが幽霊で、座敷童。
とある日のこと。そうだ、その日だ。その日を境に、変わってしまったんだ。俺の日常は。幽霊や妖怪の退治からトイレ掃除まで行う『なんでも屋』を経営する俺にやって來た數々の依頼。さてと、今日も行きますか。 ◆攜帯版ので見づらい方は、エブリスタ版(http://estar.jp/.pc/_novel_view?w=21377746)をご覧ください。第七話までまとめた形となっています。 ◆第一部完。第二部は2016年連載開始。 ◆「電子書籍大賞2013」最終ノミネート作品です。
8 115無冠の棋士、幼女に転生する
生涯一度もタイトルを取る事が出來なかったおっさんプロ棋士。 最後の挑戦として挑んだ名人戦は敗北し、一人家で晩酌を楽しんでいた。 そして、いい加減眠ろうと立ち上がった所で意識を失い、命を落としてしまった。 そして気づくと、幼女になっていた。 これは幼女に転生した無冠のプロ棋士おっさんが、史上初の女性プロになり名人のタイトルを手に入れようと努力する、そんなお話。
8 89