《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》17.悪役令嬢は顛末に首を傾げる
夕食時、クラウディアはダンスホールでの一件を、リリスから謝罪された。
「ごめんなさい、フェルにも言い聞かせたんだけど……」
部屋に引きこもってしまったフェルミナに、リリスは眉を下げる。
事をリリスとヴァージルから聞いた父親も悩ましげだ。
「しばらくフェルミナは休ませよう」
「ねぇ、やっぱりわたしたちがお屋敷に來るのは、早過ぎたんじゃないかしら」
「だがフェルミナも屋敷の暮らしに憧れていただろう?」
屋敷とは言っているが、公爵家の造りは宮殿に近い。
広大な敷地を有する庭園もさることながら、生活拠點である洋館の部屋數も優に百を超える。だから気分転換にクラウディアも散歩ができた。
フェルミナに限らず、世のご令嬢たちにとって公爵家での生活は憧れの対象だ。
公爵家當主のを引くフェルミナが、人一倍強い思いれを抱いても不思議ではない。
(理想と現実の差が激しかったのかもしれないわね)
確かに室の裝飾や家、食卓に並ぶ料理は豪華だ。
Advertisement
しかし人前のクラウディアたちには學ぶべきことが多々あり、それらをのんびりと楽しんでいる暇はなかった。
公爵家であるがゆえに、周囲から求められるものも多い。
禮儀作法やダンスはもちろんこと、貴族としての一般知識に加え、教養を高めようとすれば時間はいくらあっても足りなかった。
娼館で學んだ知識や経験があるクラウディアだからこそ、他人に気を配れるゆとりを持てたぐらいだ。
とりあえず現時點で、フェルミナの行はクラウディアの不利になっていない。
行を警戒しつつも、判斷は父親とリリスに任せることにした。
部屋に戻ったあとは、ヘレンと一緒にを鍛える。
鍛えるといってもしい型を作るのが目的なので、室で簡単にできるものだ。
娼婦時代は先輩娼婦たちと何が効率的かを話し合い、切磋琢磨していた。
「これでが垂れなくなるなんて凄いですね」
「完全に防げるわけじゃないけど、維持できる歳月は延びるわ」
肘を上げ、の前で合掌すると手の平を押し合う。
の土臺を鍛えることで、房が垂れるのを防ぐ方法だ。
他にもおのラインを上げ魅力的な形にする方法など、実踐によってクラウディアは生み出していた。
「どれも改良の余地はあるでしょうけどね」
「思いつくだけでも凄いです。最近何をやってるのか、よく訊かれるんですよ」
ゆくゆくは他の侍たちにも教えていいかもしれないけれど、タダで教えるのはあまり気乗りがしない。
改良を加えているとはいえ、元々は先輩娼婦たちから教わったもので、彼たちは仕事のためにを磨いているのである。
今は娼婦でもないクラウディアが勝手に広めるのは気が引けた。
時には人に見せられない姿になりながら、二人はをかし、キープする。
雑談しながらなので、飽きることはない。
一日分のノルマを終えたら、お茶休憩だ。
寢る前なので、リラックス効果のあるハーブ茶をヘレンが淹れる。
このときばかりはヘレンも椅子に座り、クラウディアとお茶を共にした。
「あとは化粧品も自分に合うものを揃えたいわね」
「エバンズ商會ですか? 調べてはもらっているんですが、大々的には売り出していないようで、手は難しそうです」
化粧品にはに合う、合わないがどうしても生じる。
その點も抜かりないクラウディアだが、娼婦時代に用していたものは、まだ売り出されていなかった。
他にも容には何が良いかヘレンと話し合い、ほっと一息ついたところで、ドアがノックされる。
「クラウディア様、しよろしいですかな」
控えめなノックで窺ってきたのは、老齢の執事だった。
慌てて立ち上がろうとするヘレンをクラウディアが制す。使用済みのカップが二つある時點で、一緒にお茶を飲んでいたのは明白だ。
そのまま執事に室を促す。
「このような時間に失禮致します」
執事はヘレンに視線を向けたが、何も言わなかった。
他の者の目がないところでの、個人的な付き合いは構わないと判斷されたらしい。
そもそもクラウディアとヘレンが懇意であるのは周知の事実だ。
次いで執事からは人払いを視線で求められるものの、ヘレンなら問題ないと告げる。
「フェルミナ様のことで、お耳にれておきたいことがあります」
それは部屋に引きこもるフェルミナを、父親が訪ねたときのことだった。
リリスに庇ってもらえなかったフェルミナは、なんとクラウディアがリリスを脅して味方につけたと父親に告げ口したらしい。
目を瞠るクラウディアの前で、ヘレンの顔が恐ろしいことになる。
話す執事も、沈痛な面持ちだった。
「旦那様から私にそのような気配はあるか尋ねられ、否定致しました」
「お父様はフェルミナの言葉を信じたの?」
「いいえ、念のための確認でした。そのあと奧様にも尋ねられ、激怒されていらっしゃいました」
「お父様が?」
「奧様が、です。質問する時點で、クラウディア様だけでなく奧様のことも信用していないに等しいと、旦那様を責めておいででした」
父親としては確認に過ぎなかったが、リリスにしてみれば疑われているととったのだろう。
執事に訊くだけで止めておけば良かったのに。
「旦那様からクラウディア様にお話はないと存じますが、ご報告しておこうと思った次第です」
「ありがとう、助かるわ」
(これは完全にクロかしら?)
退室する執事を見送り、ヘレンに新しいお茶を淹れてもらう。
「あの娘は妄想癖というより、虛言癖があるのではないでしょうか」
「そうね……どうしてもわたくしを悪者にしたいようだわ」
やはりフェルミナは前と変わっていないのか。
父親はどう出るだろうとクラウディアが観察していると、事態は呆気なく終息することになる。
この告げ口で、最もショックをけたのはリリスだった。
脅されたら人を裏切る人間だと、他でもない娘に思われていると知り、リリスはフェルミナを連れて屋敷を出る決意をした。
せめて領地で靜養させてしいとリリスが父親に訴えた途端、フェルミナがコロッと態度を変え、クラウディアに謝ったことでこの話は流れることになる。
それからはフェルミナがクラウディアを悪く言うこともなくなり、公爵家には平穏が訪れた。
しかしクラウディアには、これが嵐の前の靜けさに思えてならなかった。
【書籍化】悪喰の最強賢者 ~兄のせいで『加護なしの無能は出て行け!』と実家を追放されたけど、最強の力が覚醒したので無雙します。危険度SSランクの魔物なら、僕が食べ盡くしましたよ?~
「無駄飯ぐらいの役立たずが! おまえにはこの家から出て行ってもらう!!」 神官を買収した兄のせいで、加護なしだと認定されたディオは、體裁を取り繕うことしか頭にない父によって実家を追放されてしまう。 ところが、工作がばれることを恐れた兄に突き落とされたダンジョンの底で、最強の加護が覚醒する。 SSランクの魔物の能力を100體分手に入れ、難なく地上に戻ってこられたので、とりあえず実家に戻って兄の顔でも見てみようか? 僕の追放を撤回し、今度は兄を追い出そうとする父。 泣きながら縋り付いてくる兄。 しかし、親子そろってゴマをすってきてももう遅い。 「哀れだな、兄さん。それから父さん、出ていくのはあなたもですよ」 「へ?」 これは、全てを失い奈落の底まで落とされた少年が、最強の力で成り上がっていく物語。 【※ハイファンランキング日間1位、週間1位ありがとうございます!】
8 107【書籍化】竜王に拾われて魔法を極めた少年、追放を言い渡した家族の前でうっかり無雙してしまう~兄上たちが僕の仲間を攻撃するなら、徹底的にやり返します〜
GA文庫様より書籍化が決定いたしました! 「カル、お前のような魔法の使えない欠陥品は、我が栄光の侯爵家には必要ない。追放だ!」 竜殺しを家業とする名門貴族家に生まれたカルは、魔法の詠唱を封じられる呪いを受けていた。そのため欠陥品とバカにされて育った。 カルは失われた無詠唱魔法を身につけることで、呪いを克服しようと懸命に努力してきた。しかし、14歳になった時、父親に愛想をつかされ、竜が巣くっている無人島に捨てられてしまう。 そこでカルは伝説の冥竜王アルティナに拾われて、その才能が覚醒する。 「聖竜王めが、確か『最強の竜殺しとなるであろう子供に、魔法の詠唱ができなくなる呪いを遺伝させた』などと言っておったが。もしや、おぬしがそうなのか……?」 冥竜王に育てられたカルは竜魔法を極めることで、竜王を超えた史上最強の存在となる。 今さら元の家族から「戻ってこい」と言われても、もう遅い。 カルは冥竜王を殺そうとやってきた父を返り討ちにしてしまうのであった。 こうして実家ヴァルム侯爵家は破滅の道を、カルは栄光の道を歩んでいく… 7/28 日間ハイファン2位 7/23 週間ハイファン3位 8/10 月間ハイファン3位 7/20 カクヨム異世界ファンタジー週間5位 7/28 カクヨム異世界ファンタジー月間7位 7/23 カクヨム総合日間3位 7/24 カクヨム総合週間6位 7/29 カクヨム総合月間10位
8 52【電子書籍化】殿下、婚約破棄は分かりましたが、それより來賓の「皇太子」の橫で地味眼鏡のふりをしている本物に気づいてくださいっ!
「アイリーン・セラーズ公爵令嬢! 私は、お前との婚約を破棄し、このエリザと婚約する!」 「はいわかりました! すみません退出してよろしいですか!?」 ある夜會で、アイリーンは突然の婚約破棄を突きつけられる。けれど彼女にとって最も重要な問題は、それではなかった。 視察に來ていた帝國の「皇太子」の後ろに控える、地味で眼鏡な下級役人。その人こそが、本物の皇太子こと、ヴィクター殿下だと気づいてしまったのだ。 更には正體を明かすことを本人から禁じられ、とはいえそのまま黙っているわけにもいかない。加えて、周囲は地味眼鏡だと侮って不敬を連発。 「私、詰んでない?」 何がなんでも不敬を回避したいアイリーンが思いついた作戦は、 「素晴らしい方でしたよ? まるで、皇太子のヴィクター様のような」 不敬を防ぎつつ、それとなく正體を伝えること。地味眼鏡を褒めたたえ、陰口を訂正してまわることに躍起になるアイリーンの姿を見た周囲は思った。 ……もしかしてこの公爵令嬢、地味眼鏡のことが好きすぎる? 一方で、その正體に気づかず不敬を繰り返した平民の令嬢は……? 笑いあり涙あり。悪戯俺様系皇太子×強気研究者令嬢による、テンション高めのラブコメディです。 ◇ 同タイトルの短編からの連載版です。 一章は短編版に5〜8話を加筆したもの、二章からは完全書き下ろしです。こちらもどうぞよろしくお願いいたします! 電子書籍化が決定しました!ありがとうございます!
8 176僕は異世界召喚され召喚士になりました。
失敗から始まった召喚士としての新たな人生、最初から地味に怠けてる主人公が多くの仲間と契約して成長していくちょっぴり殘念な異世界ストーリーここに開幕!!!!! 「俺が現世に戻ることは……ない!」
8 141天才少年、異世界へ
自身のことを、ありふれた高校生だと思っている主人公木村弘一郎が、異世界で一人だけ加護を貰えなくて苦労する、と思いきや持ち前のハイスペックで自由に生活していく話です。 初めての作品なので、期待しないでください。
8 162LIBERTY WORLD ONLINE
『LIBERTY WORLD ONLINE』通稱 LWO は五感をリアルに再現し、自由にゲームの世界を歩き回ることができる體感型VRMMMORPGである。雨宮麻智は、ある日、親友である神崎弘樹と水無月雫から誘われてLWOをプレイすることになる。キャラクタークリエイトを終えた後、最初のエリア飛ばされたはずの雨宮麻智はどういうわけかなぞの場所にいた。そこにいたのは真っ白な大きなドラゴンがいた。混亂して呆然としていると突然、白いドラゴンから「ん?なぜこんなところに迷い人が・・・?まあよい、迷い人よ、せっかく來たのだ、我と話をせぬか?我は封印されておる故、退屈で仕方がないのだ」と話しかけられた。雨宮麻智は最初の街-ファーロン-へ送り返される際、白いドラゴンからあるユニークスキルを與えられる。初めはスキルを與えられたことに気づきません。そんな雨宮麻智がVRの世界を旅するお話です。基本ソロプレイでいこうと思ってます。 ※基本は週末投稿 気まぐれにより週末以外でも投稿することも
8 74