《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》22.悪役令嬢は妹を諭す
クラウディアが帰宅すると、屋敷は異様な雰囲気に包まれていた。
出迎えてくれたヘレンが理由を説明してくれる。
「あの娘の虛言癖が再発しました」
「今日はお父様もリリスさんもおられるのよね?」
「はい、帰ってくるなり旦那様に泣きつかれた次第です」
騒ぎを聞きつけたヴァージルも合わせて、みんな居間に集まっているという。
どうせフェルミナは、自分の都合の良いようにしか話していないだろう。
居間にれば、全員の視線がクラウディアへ集中した。
「いやっ、來ないで!」
怯え、を震わせながらフェルミナは父親へを寄せる。
お父様助けて……と言い募る妹の姿を、クラウディアは悲しげに見つめた。
「まだ誤解が解けていないようですわね」
「お姉様があたしを突き飛ばしたんじゃない! 目撃者だっているんだからっ」
「クラウディア、本當なのか?」
父親の問いかけに、首を橫に振ることで答える。
みんなフェルミナの噓を疑いながらも、目撃者がいるなら……と判斷に迷いが生じていた。
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しかし流れはまだこちらにある。
そう確信して、クラウディアは言葉を続けた。
「わたくしが突き飛ばした瞬間を見た者はおりません。だって突き飛ばしていないもの。フェルミナさんが仰る目撃者は、フェルミナさんのびを聞いただけです」
フェルミナが走り去ったあと、クラウディアは周囲を確認していた。
近場にはクラウディアが親しくしているご令嬢しかおらず、仮に敵対勢力がフェルミナに便乗して偽証しても、見えたはずがないとすぐに暴けるのだ。
「それこそわたくしがいていないことは、一緒にいたご令嬢が証言してくださります」
確かにクラウディアはフェルミナの傍にはいたが、お茶會の間は大誰かと會話していた。
そんな中で不自然なきがあれば、誰かが見ているはずである。
「どうせその方たちともグルなんでしょ!? 酷い、あたしが人の子だから、寄ってたかってイジメるのね……っ」
フェルミナの言葉に、リリスが傷付いた顔をする。
この子はどこまで実母を傷つければ気が済むのかと、クラウディアは頭痛を覚えた。
形勢が悪いと見るや、論點を変えるところも小賢しい。
けれどこういう場では的になったほうが負けだ。
冷靜に話しているほうが、傍目には正しい印象を與えられる。
だからあえて、フェルミナの話にのった。
「フェルミナさん、それは違います。あなたはもう歴とした公爵夫人の娘なのですから」
「だからって過去は消えないじゃない! お姉様は、お父様にされるあたしが憎いのよ!」
「いいえ」
「噓言わないで! 憎くないはずがないでしょう!?」
(今日だけで、このやり取りは二回目ね)
帰宅前、シルヴェスターと話したことを思いだす。
そして同じように、きっぱりと告げた。
「悪いのはお父様であって、フェルミナさんではありません。逆にフェルミナさんは、わたくしが憎いのですか?」
実の父親に放置されていた子が憎いかと尋ねられて、憎いと答えられるわけがない。
(だってあなたは被害者で、聖人を気取りたいのですものね)
フェルミナの姿勢は、前のクラウディアのときと変わらず一貫している。
あくまでフェルミナは悲劇のヒロインであり、悪役令嬢はクラウディアのほうなのだ。
「あ、あたしのことはいいから、お父様を悪く言わないで!」
「いいえ、言います。どうしてフェルミナさんが庇わないといけないの?」
「お父様はお母様とに落ちただけだもん!」
「そしてわたくしとお兄様を放置したのね。全てお父様の所業だわ。それなのに、わたくしがフェルミナさんを憎む理由があるかしら?」
「だから、あたしがお父様にされてるから……」
「それもお父様のお気持ち一つでしょう? 捨てる、捨てないの選択権をお持ちなのはお父様なの。だったらわたくしは、権利を持たないあなたを憎むより、お父様に認められるよう頑張るわ。そちらのほうが建設的だもの」
逆の立場だったら、フェルミナはクラウディアを憎んだだろう。
前のクラウディアと同じように。
きっとそれが普通の覚だ。
シルヴェスターだって、人の子なんて憎悪の対象でしかないと言っていたくらいなのだから。
けれどクラウディアは、人生をやり直したことで、客観的に事を見るようになっていた。
だから親の罪で、子どもに責任は生じないと言える。
至極當然のことだけれど、男間の話でも、浮気した男ではなく、浮気相手のを恨むのはままあることだ。
(娼館に本妻が乗り込んできたこともあったけど、不貞を責めるなら旦那を責めなさいよね)
當時は、相手が娼婦なだけマシだろうと思ったものだ。
ではなくお金で繋がっている縁なのだから。
酸いも甘いも噛み分けたクラウディアの思考に、フェルミナは眉を寄せる。ついていけないらしい。
結果、同じ言葉を繰り返した。
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