《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》28.悪役令嬢はやっぱり王太子殿下が怖い
自己紹介が済めば、これで初日は終わりだ。
しかし教師に呼ばれ、クラウディアを含めた最後列の四人は生徒會室へ赴くことになった。
そこでもシルヴェスターは、クラウディアをエスコートしようとする。
「シルヴェスター様、學園では他の婚約者候補とも同席する機會があると思います。わたくしばかりエスコートをけては角が立ちませんか?」
「ここは素直にけて、他を牽制するところじゃないか? 心配しなくとも、同席する場面では誰の手も取らない」
やんわり斷るクラウディアに対し、シルヴェスターは引かなかった。
移のたびにエスコートするつもりかと、シルヴェスターを見上げながら小首を傾げる。その意味がわからない彼ではない。
「嬉しくないか?」
「嬉しいですけど……」
どうせ自分の反応を楽しみたいだけかと思うと、面白くはなかった。
俯きながらシルヴェスターの袖を引っ張る。
あざとい仕草は、クラウディアにだってできた。
「シルヴェスター様のことですから、わたくしがいないときは平等に他の方をエスコートなさるのでしょう? でしたら、わたくしもされないほうがいいですわ」
聲に甘く嫉妬を滲ませれば、シルヴェスターは穏やかに笑う。
「私がクラウディアにれたいのだが」
「そして他のご令嬢にもおりになるの?」
「その言い方は語弊があるな。わかった、これについては諦めよう」
(よし、勝った!)
言い分が通って、クラウディアは喜ぶ。
しかしシルヴェスターの表を見た途端、背筋が凍った。
(お、怒るほどのこと……?)
シルヴェスターは穏やかに笑うばかりだ。
けれど、そこにはない。
ない、はずなのに。
いつもは読めない表に、怒りをじた。
戦くクラウディアへ、シルヴェスターが顔を近づけ、囁く。
「妹君は、君からあざとさを學んだのかな?」
(ひぃいいいっ)
バレている。
フェルミナのあざとさも。
クラウディアの手管も。
そう……これで、たくさんの客を楽しませてきた。
にもかかわらず、不機嫌になったシルヴェスターに冷や汗が流れる。
(え、あれ? ちょっと待って……)
何かが引っかかった。
あざとさがいけなかったのかと思ったけれど、違う気がする。
シルヴェスターは、クラウディアからフェルミナが學んだのか訊いてきた。
それだけ目にする機會があったのか、ということだ。
事実は違う。
クラウディアの手管は娼婦時代に學んだもので、フェルミナに技を盜まれるほど屋敷では見せていない。
けれどもし、今のクラウディアが多くの男と経験を積み、學んだと勘違いされたのなら?
シルヴェスターは純粋に、他の男にもしていたら嫌だと嫉妬してくれたのだろうか。
(流石に深読みし過ぎかしら)
単にあざとさが気に食わなかったと言われても、納得できる話だ。
シルヴェスターはそういった不満も口に出さないから、わかりにくいだけで。
ただ……本當に嫉妬なら、嬉しいとじてしまう自分がいる。
それだけ親しみを持ってくれていることに他ならないから。
ふわりと空気が揺れ、銀髪が遠のく。
何事もなかったかのように歩き出すシルヴェスターを見送る。
広くなった背中に、いつか見たビスクドールのような可憐さはない。
制服は男それぞれ同じデザインにもかかわらず、彼の後ろ姿には風格があった。
機嫌を損ねただけではない近寄りがたさをじ、し遅れて歩く。
そして何気なく窓越しに下位クラスの教室を見て、一瞬鼓が跳ねた。
娼婦時代に見知った顔があったからだ。
(彼も學園にいたのね……)
その人の要領の良さを考えると、上位クラスでも不思議ではない。
下位クラスに留まっている理由に思いを馳せる。
思考の海に沈みそうになったとき、暢気な聲が廊下に響いた。
「お姉様だけじゃなく、あたしも生徒會役員に選ばれるなんて栄ですっ」
満面の笑みを浮かべながら、フェルミナが言い放つ。
四人が生徒會室へ呼ばれた理由がそれだった。
空気を変えるような明るい聲に、クラウディアはほっと息を吐く。
思考は途切れたものの、若干張り詰めていた空気が和んだからだ。
今だけはフェルミナに救われた気がした。
「フェルミナさんも頑張っていたもの、當然よ」
「えへへ、ありがとうございます」
あくまでクラウディアを慕っているように見せたいらしく、フェルミナは照れる。
なら冷めた目も隠しなさいよ、とクラウディアは目だけ笑っていないフェルミナに気付いたけれど、指摘はしなかった。
【書籍化】斷頭臺に消えた伝説の悪女、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏を望む【コミカライズ】
☆8/2書籍が発売されました。8/4コミカライズ連載開始。詳細は活動報告にて☆ 王妃レティシアは斷頭臺にて処刑された。 戀人に夢中の夫を振り向かせるために様々な悪事を働いて、結果として國民に最低の悪女だと謗られる存在になったから。 夫には疎まれて、國民には恨まれて、みんな私のことなんて大嫌いなのね。 ああ、なんて愚かなことをしたのかしら。お父様お母様、ごめんなさい。 しかし死んだと思ったはずが何故か時を遡り、二度目の人生が始まった。 「今度の人生では戀なんてしない。ガリ勉地味眼鏡になって平穏に生きていく!」 一度目の時は遊び呆けていた學園生活も今生では勉強に費やすことに。一學年上に元夫のアグスティン王太子がいるけどもう全く気にしない。 そんなある日のこと、レティシアはとある男子生徒との出會いを果たす。 彼の名はカミロ・セルバンテス。のちに竜騎士となる予定の學園のスーパースターだ。 前世では仲が良かったけれど、今度の人生では底辺女と人気者。當然関わりなんてあるはずがない。 それなのに色々あって彼に魔法を教わることになったのだが、練習の最中に眼鏡がずれて素顔を見られてしまう。 そして何故か始まる怒濤の溺愛!囲い込み! え?私の素顔を見て一度目の人生の記憶を取り戻した? 「ずっと好きだった」って……本気なの⁉︎
8 136白雪姫の継母に転生してしまいましたが、これって悪役令嬢ものですか?
主人公のソシエは森で気を失っているたところを若き王に助けられる。王はソシエを見初めて結婚を申し込むが、ソシエには記憶がなかった。 一方、ミラーと名乗る魔法使いがソシエに耳打ちする。「あなたは私の魔術の師匠です。すべては王に取り入るための策略だったのに、覚えていないのですか? まあいい、これでこの國は私たちのものです」 王がソシエを気に入ったのも、魔法の効果らしいが……。 王には前妻の殘した一人娘がいた。その名はスノーホワイト。どうもここは白雪姫の世界らしい。
8 103勇者になれなかった俺は異世界で
第四回ネット小説大賞 一次突破 第五回ネット小説大賞 一次突破 第1回HJネット小説大賞 一次選考通過 突然、クラスごと異世界に召喚され、クラスメイト達は勇者になっていたがその中でたった1人だけ勇者になれなかった少年、高理ソラ。勇者になれなかった彼は、女王に見捨てられ半殺しされ亜空間に放り込まれてしまう。何も無い亜空間の中で彼の命が盡きようとしていた時、彼の命は大魔王に救われてしまう。これは、大魔王に命を救われた少年が復讐を目的に成長して行く物語。たぶん。 漫畫の方が1~4巻まで発売されているので、書店やネットで見かけた際は是非! 2022年2月1日から更新再開です。 數日は過去の話を読みやすくまとめたモノを投稿していきます。 そのあとから続きを投稿予定です
8 53あなたの未來を許さない
『文字通り能力【何も無し】。想いと覚悟だけを武器に、彼女は異能力者に挑む』 運動も勉強も、人間関係も、ダメ。根暗な女子高生、御堂小夜子。彼女はある晩、27世紀の未來人から大學授業の教材として【対戦者】に選ばれる。殺し合いのために特殊な力が與えられるはずであったが、小夜子に與えられた能力は、無効化でも消去能力でもなく本當に【何も無し】。 能力者相手に抗う術など無く、一日でも長く生き延びるためだけに足掻く小夜子。だがある夜を境に、彼女は対戦者と戦う決意をするのであった。 ただ一人を除いた、自らを含む全ての対戦者を殺すために。 跳躍、打撃、裝甲、加速、召喚、分解、光刃といった特殊能力を與えられた対戦者達に対し、何の力も持たない小夜子が、持てる知恵と覚悟を振り絞り死闘を繰り広げる。 彼女の想いと狂気の行き著く先には、一體何が待っているのだろうか。 ※小説家になろう、の方で挿絵(illust:jimao様)計畫が順次進行中です。宜しければそちらも御覧下さい。 https://ncode.syosetu.com/n0100dm/
8 183勇者のパーティーから追い出されましたが、最強になってスローライフ送れそうなので別にいいです
ある日、精霊大陸に『星魔王』と呼ばれる存在が出現した。 その日から世界には魔物が溢れ、混迷が訪れる。そんな最中、國々は星魔王を倒す為精鋭を集めた勇者パーティーを結成する。 そのパーティーの一員として參加していた焔使いのバグス・ラナー。だが、スキルの炎しか扱えない彼の能力は、次第に足手纏いとなり、そして遂に、パーティーメンバーから役立たずの宣告を受ける。 失意の內に彷徨った彼は、知り合った獣人をお供にやがて精霊大陸の奧地へと足を踏み入れていく。 精霊大陸がなぜそう呼ばれているのか、その理由も深く考えずにーー。
8 81魔法が使えないけど古代魔術で這い上がる
地元で働いていた黒川涼はある日異世界の貴族の次男へと転生する。 しかし魔法適正はなく、おまけに生まれた貴族は強さを求められる家系であった。 恥さらしとバカにされる彼は古代魔術と出會いその人生を変えていく。 強者の集まる地で育ち、最強に鍛えられ、前世の後輩を助け出したりと慌ただしい日々を経て、バカにしていた周りを見返して余りある力を手に入れていく。 そしてその先で、師の悲願を果たそうと少年は災厄へと立ち向かう。 いきなり最強ではないけど、だんだんと強くなる話です。暇つぶしになれば幸いです。 第一部、第二部完結。三部目遅筆… 色々落ち著いたら一気に完結までいくつもりです! また、まとめて置いているサイトです。暇潰しになれば幸いです。良ければどうぞ。 https://www.new.midoriinovel.com
8 113