《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》46.悪役令嬢は問題に直面する
クラウディアが楽団の楽をけ取ったとされる件については、シルヴェスターがいったん引き取ることになった。
楽の一部が行方不明なのは事実なので、調査する必要があったからだ。
あの時點では、フェルミナが獨自に手した証拠しかなく、真偽は不明だった。
証人である男の配達人は、まだ學園で配達をしていたため、生徒會室に呼び出されることとなる。
念のため、クラウディアとフェルミナがいないところで聴取をけることになったが、彼は確かにクラウディアがけ取ったと証言した。
しかしその証言には、怪しい點があった。
「クラウディアの顔を覚えていないというのか?」
シルヴェスターを前にした配達人は、ダラダラと冷や汗を流しながら答える。
「は、はい……あっしが覚えてるのは黒髪の生徒だったことだけで……サインがリンジー公爵令嬢のクラウディア嬢のものだったので、てっきり……」
「長い黒髪だったとしか記憶にないと?」
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「は、はいぃぃ」
「もう一度見たら、その生徒とわかるか?」
「……どうでしょう、他にこれといった特徴はなかったもんで」
その場に同席した生徒會役員は、全員で顔を見合わせる。
彼がクラウディアと會ったことがあるとは思えない証言だったからだ。
「ならばクラウディアと面通しして確認しよう」
「えっ、でも、わからないかもしれやせんよ……?」
「構わない。判斷がつかなかったら、正直に言ってくれ」
役員の一人が、別室で待機しているクラウディアを呼びにいく。
クラウディアを見た配達人は、驚愕に目を剝いた。
「どうだ?」
「ち、ち、違いやすっ! この方ではありやせん……! こんな別嬪さん、一度見たら忘れられやしませんよ!!!」
配達人の証言が怪しかった點は、この一言に盡きた。
本人の努力もあり、シルヴェスターにすらしいと言わしめるほど、クラウディアの容姿は完されている。
仮に顔に覚えがなくとも、本能を刺激されるのラインを忘れるはずがない。
クラウディアを前にして、「特徴がない」と言えるものなど存在しなかった。
「これで誰かがクラウディアを騙ったことが証明されたな。公爵令嬢を騙るなど、重罪だというのに」
しかもご丁寧にサインまで真似ている。
貴族には権力があり、そのサインには相応の力がある。
公爵令嬢のサインともなれば、商會一つをかすのも容易い。
だからこそ貴族を騙る行為には、重罪が課せられた。
「配達人は私のほうで保護しよう。彼は偽証の証人となった」
學園でのことではあるものの、流石にこれは軽く考えられない。
証言を覆した配達人に、クラウディアは首を傾げる。
(どうして配達人を懐しておかなかったのかしら?)
クラウディアの罪を証言させるなら、裏切れないようにしておけばいいものを。
疑問の答えは、フェルミナが呼び戻されたことで判明する。
「ごめんなさい、お姉様! まさかお姉様を騙る人がいるとは思わなくて……! 配達人もお姉様で間違いないって言ってたから、鵜呑みにしてしまったのっ」
(逃げ道を用意していたってこと?)
フェルミナは、自分も騙された被害者の一人だと主張した。
もしかしたら最初から偽証はバレる予定だったのかもしれない。
そう考えると、下位クラスの人たちの前でクラウディアを責め、悪だと印象づかせることがフェルミナの本命だったのだ。
しかしブライアンのおかげで流れは変わった。
証言が覆ったと知れば、またよく通る聲で広めてくれるだろう。
「フェルミナ、お前が淺慮だったことに変わりはない。今後、生徒會活中は生徒會室での謹慎を言い渡す」
「はい、お兄様……」
フェルミナが偽証に関わっていた証拠がない以上、追求は不可能だった。
ヴァージルに諫められたフェルミナは殊勝に肩を落とす。
(わたくしのサインを流出させたのは彼でしょうけど、立証は無理でしょうね……)
クラウディアのサインを真似るには見本が必要だ。
公爵令嬢のサインともなれば、使われるところは限られた。
力を持つがゆえに、安易にサインしないよう教育もけている。
フェルミナなら「見て」盜むことも可能だろう。機會はいくらでもあるのだから。
ただそれは、フェルミナ以外にも言えることだった。
立証できなければ、屋敷に出りする全ての人が疑われてしまう。
「ディーを騙った生徒と、紛失した楽が問題だな」
溜息をつきながら、ヴァージルは天井を仰ぐ。
生徒に至っては見當もつかない。
當人も捕まる危険がないから、偽証という重罪を犯したと考えられた。
「とりあえず偽証があったことを學園へ報告し、捜査を依頼しよう。楽の紛失は、生徒會の汚點になるが、こちらでもギリギリまでは捜索をおこなう」
楽を自力で見つけられたら、生徒會の傷は淺く済む。
問題が起きても挽回できるとなれば、過度に評価は下がらないからだ。
保管制については學園側が見直しを迫られるだろう。
「では今は楽を見つけるのが最優先ですわね。他の楽は式典場にありますの?」
「あぁ、荷ほどきをして確認を取らせた。紛失したもの以外は式典場に屆いている。フルートとトランペットがった木箱が、一つ行方不明だ」
文化祭で使用するものは、全て木箱にれて屆けられる。
他の荷に混じっていないか確認するため、ヴァージルとフェルミナを生徒會室に殘し、役員総出で學園を見て回ることになった。
流石にことがことなので、教師にも手伝ってもらって捜索する。
けれどこの日、楽が見つかることはなかった。
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