《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》19.王弟殿下は思い悩む
「レステーア、どういうつもりだ」
「どういう、とは?」
自室に帰るなり、側近を睨み付けた。
質問の意図がわかっているはずなのに、聞き返されるのが忌々しい。
淡い碧眼を細めて、綺麗な笑みを向けられるのも。
「からかってるのか? 相手はシルヴェスターの婚約者候補だぞ」
「初って、こんなに初々しいものなんですね」
「おいっ!」
クラウディアを悪く思っていないのは事実だ。
一番苦手なタイプにもかかわらず、彼が甘えた聲でラウルを呼ぶことはなかった。
それだけで好が持てた。
同時に、保たれた距離に寂しさもじてしまった。
でも、心とは違う。
違うはずだ。
「まだ數えるほどしか會っていないんだ。クラウディアも驚いたに違いない」
「そうですね、こんなに早く名前で呼ばれるようになるなんて、ぼくもビックリです」
「もてなしに報いただけだ」
お茶會の開催にあたり、クラウディアはコーヒー専門のカフェへまで足をばしたという。
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自らコーヒーを飲み、オーナーからバーリ人の嗜好について教わった話は、他ならぬオーナーから聞いた。
全て親任せにして、ドレスだけ著たがるご令嬢とは雲泥の差だ。
「クラウディア嬢は素敵な人ですよ、ラウル。あなたの選択は間違っていません」
「選んだわけじゃない」
「あ、に落ちたんでしたか」
「今すぐ口をい合わせてやろうか」
「ラウルは刺繍が得意ですもんね。そういえば、クラウディア嬢もお得意のようですよ」
刺繍は淑の嗜みと言われるが、ラウルは縁があって習う機會があった。
腕前を披したことはないものの、親しいものの間では有名だ。
「それを言うなら、ご令嬢のほとんどは得意だろう」
「口先だけじゃなく、実際にです。リンジー公爵も自慢にされて、シルヴェスター殿下も気にっておられるとか」
「婚約者はクラウディアで決まりか」
「まだわかりませんが、その線が濃厚でしょうね」
家格や評判を鑑みても、クラウディア以外が選ばれる可能は低いだろう。
シルヴェスターがどう思っているかはわからないが、ヤツは昔からが読めない。考えるだけ無駄だった。
「気落ちしないでください。決まっていない以上、まだラウルにも芽はありますよ」
「やめろ。第一、リンジー公爵家には何の利點もないだろうが」
王太子が生まれる前ならいざ知らず、今のラウルは國王にとって邪魔者でしかない。
いくら王族という分があっても、公爵家が嫁に出したいと思える相手でないことは明白だ。
「利點はあるでしょう。リンジー公爵家は広大な農園を所有していますが、その領地は海に面していません。海路に融通が利く王族の力はしいはずです」
「だったら、ますますシルヴェスターとの婚姻が進みそうだな」
「諦めるんですか?」
「それ以前の話だと言っている。オマエはクラウディアに、火中の栗を拾わせたいのか」
「……クラウディア嬢を守りたいんですね」
「この話は終わりだ。クラウディアに協力するのはいいが、決して茶化すなよ」
「クラウディア嬢は聡明な方です。ラウルのようには、からかえませんよ」
「おいっ、誰か針と糸を持ってこい!」
口の減らない側近だ。
ラウルが用意された針に糸を通すと、わかりやすくレステーアは退散する。
そのまま布を手に取って、ラウルは刺繍をはじめた。
(に落ちた、か)
気持ちに答えが出せない。
ただ不思議と、青い瞳には安らぎを覚えた。
クラウディアの傍は居心地が良い。
お茶會の會場に並べられた、一人掛けのソファを思いだす。
あれほど心から楽しめたお茶會は、今までになかった。
が苦手だと、バレているのか勘ぐったぐらいだ。
(けど打ち明けたときは驚いていたな。無意識のにじ取っていたのか)
人が意識できることは、自分が思う以上にない。
レステーアもクラウディアの知能力の高さを褒めていた。
人の機微に聡いのも、視線に敏なのも、無意識下で拾う報が意識にのりやすいんだろう。
観察眼が優れてるとも言えるが。
(有能なだ)
見た目も麗しく、社界では完璧な淑と評されている。
仮に、彼への好意が親ではなく、なのだとしても。
(巻き込むわけにはいかない)
どれだけラウルが否定しても、未だ王位にと推す聲は消えない。
それも王太子派が畫策するきを見せるほどだ。
何とか穏便に済ませられないかとラウルはいているが、下手をすればを見ることになる。
(せめて、この出會いに謝しよう)
おかげでクラウディアのようなもいると知れた。
知っていれば、今後また別の機會が得られるかもしれない。
重ねて、自分に言い聞かせる。
不安定な現狀を忘れるな、と。
「もし……もし、もっと早くに出會えていたら」
この気持ちに名前を付けられただろうか。
関係に、希を持てただろうか。
自分のの上を呪ったのは、ラウルにとって、これがはじめてだった。
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