《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》31.悪役令嬢は念願を葉える
「ブライアン、お待たせしたわね」
「いいえ! 待つのは慣れていますから。むしろクラウディア様は早いぐらいです」
権威を見せ付けるためか、上位の貴族には毎回待たされるという。
それでも貴族になる前に比べればマシだとか。
(やっぱり大きな尾を振っているように見えるわ)
嬉しそうな表といい、前のめりの姿勢といい、ブライアンは全でクラウディアと會えた喜びを表す。
これが演技なら、劇団にることを薦めたい。
ニカッと人好きする笑顔を見せられると、つられてクラウディアの顔も綻んだ。
「今日は、朗報をお持ちしました!」
「あら、それは楽しみね」
ブライアンが攜えた木箱を機に載せ、蓋を開ける。
緩衝材から顔を出した瓶に、クラウディアは目を輝かせた。
「やっとクラウディア様にお贈りできる品質になりました」
今までは商品を運べても、かかる日數などから品質の劣化が激しかった。
ついに理想的な輸送路を開拓できたらしい。
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木箱から取り出された化粧水がった瓶も、心なしかキラキラして見える。
今夜から早速試そう。
「まずは手で試して様子を見てください。問題がないようならお顔にもお使いいただけます」
「手順は心得ているから安心して。あとは質に合うかどうかね」
「クラウディア様のご要にお応えできるよう、商會を上げて取り組みます。それと……」
「それと?」
ブライアンの視線を追うと、ヘレンへ行き著く。
提案するようでいて、まごつくブライアンに照れが混じっているのをクラウディアは見逃さなかった。
(ヘレンも人だものね)
加えて格も良ければ、スタイルも良い。
の大きさでいえば、クラウディアよりも大きいくらいだ。
(今後、更にエバンズ商會は発展するでしょうし……)
嫁ぎ先としては悪くない。
むしろ最良といっても過言ではなかった。
爵位こそ低いものの貴族である上、下手をすれば中級貴族より贅沢ができるほどエバンズ男爵家には資産がある。
(何よりブライアンは優秀だし、人柄も良いわ)
仮に事業に失敗しても、彼なら立て直せるだろう。
悪くはない、けれど。
(一番はヘレンの気持ちよね)
見たじ、ブライアンの熱のこもった視線を、ヘレンは歯牙にもかけていない。
路へ向かう道のりは、まだまだ遠そうだ。
「クラウディア様の分はオーダーメイドになりますから、一般向けに侍の方々にもご使用いただいて、ご意見をいただければと」
「わかったわ。ヘレンと、あと何人かに試してもらいましょう。希の年齢層はある?」
「年齢層ですか?」
クラウディアの問いかけに、ブライアンは小首を傾げた。
質問の意図が伝わっていないことに、クラウディアは溜息をつく。
「あなたは十代と五十代の質が同じだと思うの?」
「あ……!」
加齢によっても衰える。
購買層をどの年代に設定するかで、客が求めるものも変わってくるはずだ。
クラウディアの指摘に、ブライアンは頭を抱えた。
「どうして気付かなかったんだろう。そうですよね、同じはずがない」
しかしブライアンが見落とすのも無理はなかった。
現狀、世に出ている化粧水は年齢ごとの區分がない。
貴族の婦人や令嬢は、盲目的に王室用達の品を利用するか、年齢で質が変わるごとに合うものを探すかで行が分かれた。
また上級貴族であればお抱えの薬師に依頼することもあり、商會にまとまった要が集まりにくいのだ。
更に貴族から散文的に集まる要には、オーダーメイドで答えるのが通例だった。
「使えないわけじゃないから安心して。ただ意見を集めるなら、年齢も意識しておくべきね」
「はい。では十代から三十代の方でお願いできますか?」
このあとリンジー公爵家では、侍たちによる化粧水爭奪戦がおこなわれることとなる。
確定枠であるヘレンは參戦しなかったものの、爭奪戦の苛烈さをクラウディアに語った。
「最終的にマーサさんが審判になって試験者が決まりました」
「ケガ人が出なくて良かったわ。でも、みんな自分の化粧水は持ってるわよね?」
公爵家で働く侍のほとんどは貴族に縁あるものたちだ。
平民出でも、公爵家の給金があれば化粧水は買える。
「試験的でもクラウディア様と同品質のものが使えるんですから當然です」
「今後、侍の手當にエバンズ商會の化粧水も追加しようかしら?」
「いいんですか!?」
いつにないヘレンの食いつきっぷりに、クラウディアは目を瞠る。
何がそれほど彼を惹き付けたのかわからなかった。
「エバンズ商會のものは質が良いけれど、化粧水よ?」
「主人と同じ品質のものを使えるなんて名譽に等しいですから! それもクラウディア様と同じものとなれば更に価値が上がります!」
完璧な淑と稱されるクラウディアだが、その評価は所作に限らない。
貌もまた広く知れ渡っていた。
しでもそのしさに近付けるならと、しがらない令嬢はいないとヘレンは斷言する。
「きっとご令嬢方の間でも爭奪戦が起こります。數に限りがある以上、中級貴族でも購は難しくなるでしょう。希価値がつくことは必至です。侍には、手當というより報奨にしたほうがいいかと」
そのほうが侍たちのモチベーションも上がると言われ、頷く。
提案をけた執事はピンときていなかったものの、侍長のマーサからも強く推されたことで、この報奨は認められることになった。
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