《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》37.連合王國の王子は戦友をむ
ルキからクラウディア――ローズ――の話を聞いたときは、驚くと同時に安心した。
自分への不満から、教會へ寢返るのではないとわかったからだ。
ただ現地で味方を探すということは、スラフィムの助力が足りてないことを意味する。
その點に関しては反省しかなかった。
を分けた兄弟なのに、二人の間にある距離を否定できない。
心はどうであれ、いざというときはルキを切り捨てるしかないのだから。
(そうならないように、自分はもっと力を付けないと)
シルヴェスターが襲われたと聞いたときは、心臓が止まるかと思った。
現地の犯罪ギルドを使ったナイジェル樞機卿の狡猾さに奧歯を噛みしめる。
彼はドラグーンを使わずに、現地の犯罪ギルドへ報を流した。
結果いつもなら先手を打てたスラフィムも後手に回ってしまった。
ドラグーンもそうだ。
ナイジェル樞機卿から事後報告をけて現狀確認をおこないはしたものの、シルヴェスターが襲われた同時刻、ドラグーンは盜りを命令されただけだった。
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してやられた、と思わずにはいられない。
(まさか通がバレているんでしょうか)
たまたまという可能も否めないが、ことは慎重を期す。
加えて迅速に行しなければならない。
ナイジェル樞機卿に関することは、つくづく頭の痛い問題だった。
(これを機にシルヴェスター殿下と話を詰められたらいいんですが)
以前から教會がおこなっている悪事については訴えている。
けれどスラフィムがドラグーンと繋がっている事実は隠さねばならず、確証をシルヴェスターに與えられていなかった。
(もうその段階ではないようです)
これ以上、後手に回るわけにはいかない。
ハーランド王國の信頼の比重が、アラカネル連合王國から教會へ傾けば終わりだ。
ハーランド王國が教會へ対し全幅の信頼を置いていないからこそ、アラカネル連合王國には希があった。
自分のを削ってでも、スラフィムはシルヴェスターから信頼を勝ち取らなければならない。
そのためにはルキのこと、ドラグーンとの繋がりを話す必要がある。
また、今回の失態で求められるものも多いだろう。
シルヴェスターが襲われてしまったのは、完全なるスラフィムの落ち度だ。
付ける隙を見逃してくれる相手ではない。
仮に今回は見逃されても、大きな借りを作ることになる。
終始胃痛を抱えながら、スラフィムはシルヴェスターと協議を重ねた。
風向きが変わったようにじられたのは、黒髪のと向き合ったときだった。
「スラフィム殿下の敵は、教會ですか? それともナイジェル樞機卿ですか?」
緩やかなクセのある黒髪。
素の薄いアラカネル連合王國では珍しい髪だ。
それ以上に、強い意思を宿した青い瞳が印象的だった。
凜とした聲音に心が震える。同時に、協議中の胃痛が蘇るのをじた。
(抜け目のない人です)
表面的には笑顔を作りながら、プレッシャーをじずにはいられない。
けれど決して嫌じゃなかった。
瞳の青さが、空ではなく海を思わせたから。
母なる海は、恩恵を與えてくれるが厳しくもある。しかもその厳しさは尋常ではない。
島に生まれた者にとって切っても切れないもの。
命の源であり、祈りの対象。
(クラウディア嬢は、瞳に霊を宿しているんですね)
そう思わずにはいられなかった。
穏やかなさざ波の音。暴風が吹く荒波の音。
両方を脳裏に描きながら言葉を返す。
「目下の敵は樞機卿です。彼は修道者としても風上に置けません」
スラフィムにとって重要なのは國の利益だ。
必要に迫られれば、人道的ではない選択だってする。
ナイジェル樞機卿が教會のためにやっているというなら、否定できる立場にはないだろうけれど彼は度を超えていた。
アラカネル連合王國――アラカネル王家は教會を敵視しているが、消滅させたいわけではない。共生したいのだ。
だがナイジェル樞機卿とは手を組みたいとは思わない。
それは教徒であるシルヴェスターもクラウディアも同じだろう。
(特にクラウディア嬢は人的な方のようですから)
ローズとして娼館へ赴いた話や、サニーやケイラに対する姿勢を聞いた。
常日頃から完璧な淑とうたわれる彼は、分で相手を判斷しない。
ナイジェル樞機卿よりよっぽど人道的で崇高な人だった。
クラウディアとなら共に戦える。
スラフィムが導き出した答えは、ルキと同じだった。
【コミカライズ&書籍化(2巻7月発売)】【WEB版】婚約破棄され家を追われた少女の手を取り、天才魔術師は優雅に跪く(コミカライズ版:義妹に婚約者を奪われた落ちこぼれ令嬢は、天才魔術師に溺愛される)
***マンガがうがうコミカライズ原作大賞で銀賞&特別賞を受賞し、コミカライズと書籍化が決定しました! オザイ先生によるコミカライズが、マンガがうがうアプリにて2022年1月20日より配信中、2022年5月10日よりコミック第1巻発売中です。また、雙葉社Mノベルスf様から、1巻目書籍が2022年1月14日より、2巻目書籍が2022年7月8日より発売中です。いずれもイラストはみつなり都先生です!詳細は活動報告にて*** イリスは、生まれた時から落ちこぼれだった。魔術士の家系に生まれれば通常備わるはずの魔法の屬性が、生まれ落ちた時に認められなかったのだ。 王國の5魔術師団のうち1つを束ねていた魔術師団長の長女にもかかわらず、魔法の使えないイリスは、後妻に入った義母から冷たい仕打ちを受けており、その仕打ちは次第にエスカレートして、まるで侍女同然に扱われていた。 そんなイリスに、騎士のケンドールとの婚約話が持ち上がる。騎士団でもぱっとしない一兵に過ぎなかったケンドールからの婚約の申し出に、これ幸いと押し付けるようにイリスを婚約させた義母だったけれど、ケンドールはその後目覚ましい活躍を見せ、異例の速さで副騎士団長まで昇進した。義母の溺愛する、美しい妹のヘレナは、そんなケンドールをイリスから奪おうと彼に近付く。ケンドールは、イリスに向かって冷たく婚約破棄を言い放ち、ヘレナとの婚約を告げるのだった。 家を追われたイリスは、家で身に付けた侍女としてのスキルを活かして、侍女として、とある高名な魔術士の家で働き始める。「魔術士の落ちこぼれの娘として生きるより、普通の侍女として穏やかに生きる方が幸せだわ」そう思って侍女としての生活を満喫し出したイリスだったけれど、その家の主人である超絶美形の天才魔術士に、どうやら気に入られてしまったようで……。 王道のハッピーエンドのラブストーリーです。本編完結済です。後日談を追加しております。 また、恐縮ですが、感想受付を一旦停止させていただいています。 ***2021年6月30日と7月1日の日間総合ランキング/日間異世界戀愛ジャンルランキングで1位に、7月6日の週間総合ランキングで1位に、7月22日–28日の月間異世界戀愛ランキングで3位、7月29日に2位になりました。読んでくださっている皆様、本當にありがとうございます!***
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