《斷罪された悪役令嬢は、逆行して完璧な悪を目指す(第三章完結)【書籍化、コミカライズ決定】》40.王太子殿下は苦悶する

れられた喜びと、気が利かない自分の至らなさに発狂しそうになる。

(私は大バカ者だ!)

無防備なクラウディアを人目に曬す選択をしてしまうなんて。

たちが周りを固めているだろうが、だからといって安心できるのだろうか。

ことクラウディアに関しては、差はないようにじられた。

夜を共にする期待と不安。

今まで経験したことのないの波に襲われ、まともに思考が働かない。

ただでさえ関係では間違うことが多いのだ。

昨日もミスしたところである。

(下手だと思われて嫌われたらどうする? いや、本番はしないが)

一度はじまってしまったら、止められる自信は皆無だった。

だからあくまで一緒に過ごすだけに留めるつもりだ。

同じベッドで眠りたいとは思っているけれど。

れなければ大丈夫なはずだ。暴走したら、それこそ失されるぞ)

有言実行の大切さをに刻む。

を隠さないとしても、クラウディアが大事にしたいものを壊すつもりは頭なかった。

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浴が終わっても悶々とした気分は晴れず、酒のボトルに手をかける。

(待て、理を失うわけにはいかない)

酒は考える力を鈍らせる。

弱くはないがリスクが僅かでもあるなら避けるべきだろう。

仇のように酒のボトルを睨み付ける。

酒のボトルからしたら八つ當たりもいいところだ。

それからほどなくしてクラウディアの來訪が告げられた。

最初は立って出迎えようと思った。

手を広げ、よく來てくれたと。

しかし招待狀を送ったわけでもなく、今からパーティーがあるわけでもない。

部屋著での迎え方としては仰々しい気がした。

(正解がわからぬ……!)

これ以上、クラウディアを待たせるわけにもいかず、結局ソファーに座ったまま彼を迎えた。

(偉そうに見えていないだろうか)

分でいえば、シルヴェスターより偉いのは父である國王ぐらいだ。

だからといってする人に高圧的で良い理由にはならないし、そんな相手を従えるような関係は願い下げだった。

クラウディアもまないだろう。

心証が悪くならないか心配になるけれど、長続きはしなかった。

現れたクラウディアに見れてしまったからだ。

まだ完全に乾いていない黒髪は、普段と比べてボリュームがなく。

それだけで限られた者しか見られない姿だとわかる。

しっとりしたが薄暗い照明の下、艶めかしく映った。

潤んで見える青い瞳はどの寶石よりもしく魅力的で、そこへ映り込む自分が誇らしい。

が自分だけを見ている事実が嬉しかった。

落ち著かない様子なのは、お互いに部屋著だからだろう。

普段の隙のない佇まいからは想像できない可憐さに、今にも押し倒したい衝に駆られる。

けれど先に後悔が溢れた。

「部屋著の君を曬すなんて、私はどうかしていた」

やはり自分が訪ねるべきだったのだ。

頭を抱えたくなるが、クラウディアから視線を外せない。

気付いたときには手をばしていた。

伝わってくる溫に、神経どころか理まで焼き盡くされそうになるが何とか耐える。

「この上著をがす権利を私にくれるか?」

自分でも驚くほど甘えた聲が出た。

どこにそのような聲帯があったのか。

けなくも聞こえるが、口から出た言葉をなかったことにはできない。

シルヴェスターはクラウディアの答えを待つしかなかった。

らかな二つの膨らみ越しに見上げる背徳に項がゾクゾクする。

この狀況を許されているのが不思議だった。

それだけクラウディアも自分をしてくれているのだと思うと極まる。

恥じらいながら頷きが返ってくると、じっとしていられなかった。

吹けば吹き飛ぶ綿にるかのように、殊更優しくクラウディアのを指で伝う。

腰から背中へ、指の腹だけでれた。

(怖がらせてはいけない)

男とではの作りが違う。

ヴァージルほどではないが、シルヴェスターもクラウディアからすれば力のある大きな男だ。

振る舞いを間違えれば、すぐに威圧を覚えるだろう。

慎重に立ち上がり、肩へ指をらせるとその華奢さに戦く。

デコルテを出すドレスでも見慣れているはずなのに、部屋著で無防備さが強調されているためだろうか。

すっぽり手の平に収まる肩、れたから伝わる微かな震えに、より優しくせねばと意識を改める。

しかし付く頬にをかき立てられた。

上著のガウンをがす瞬間に垣間見た、細く白い首筋が脳裏から離れない。

すぐにでも全へ口付けたい衝を堪え、クラウディアの手を引く。

ベッドへえば、従順に応じられた。

抵抗なく靜かについてくるクラウディアに、何故か目頭が熱くなる。

このおしさをどう表現すればいいのかわからなかった。

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