《【書籍化&コミカライズ】偽聖げられた公爵令嬢は二度目の人生は復讐に生きる【本編完結】》0話 プロローグ

こんなはずじゃなかった。

マリアは心の中で呟いた。

一度目で失敗したからこそ、二度目の人生は――功させるはずだったのに。

「リシェル・ラル・ラムディティア。

お前のした數々の悪行。

知らぬとは言わせない!!」

王宮の舞踏會會場で王子がバサリと書類を広げた。

「これがその証拠。

犯罪者と結婚することなどできぬ!!

――婚約破棄だ!!!」

貴族が集まる王族主催の舞踏會で。

ガルシャ王子の聲が響く。

そう、用意していたのは。

リシェルが領地に支給された國の資金を流用したという濡れの資料。

もちろんこれはマリアが仕組んだもので、リシェルが地位を剝奪されたあと、マリアがその噓を見抜いてリシェルに謝されるという筋書きまである。

本當の聖リシェル・ラル・ラムディティアを平民の分に落とし、自分の意のままにる。

それが偽聖マリア・ファン・レンデーゼの策略だった。

マリアの予定ではここでリシェルは泣き崩れるはずだった。

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だが王子に証拠を突きつけられても、リシェルは平然とその様子を見ている。

一つ変えない。

銀髪のしい14歳のリシェルはまったくじないのだ。

あれ?前世と違う?

逆行前では泣き崩れたはずだったのに。

今回は泣かないの?

王子の隣でマリアが不思議そうに見ていれば

「証拠?

そのような造されたものが証拠だというのか?」

異論を唱えたのはリシェルの父グエン・ラル・ラムディティア。

「な!?

造などと、この期に及んでしらを切る気か!!!」

ガルシャ王子がグエンに反論すれば

「署名に押されているその印を使用しだしたのは1年前。

2年前の書類になぜその印が押されているのですか。殿下」

グエンの問いにガルシャの顔が青くなる。

「そ、それは……」

「証拠というのならそれ相応の査をしてから、斷じるべき。

このような子供でもわかるような造に気づきもしない。

その上大衆の面前で裁くなど言語道斷。

婚約破棄?

公爵家と王家との間にわされた婚約は我が國ではの條約と同じ。

その條約を一方的に破棄するというのなら、それ即ち宣戦布告!!!

我領地ラムディティアの威信にかけてその勝負けてたとう!!!!」

言ってグエンが剣を抜き、會場にどよめきが走る。

「ち、違うっ!!誰かあれを取り押さえろ!!!!」

ガルシャの言葉に従い兵士達がグエンを取り押さえようとしたその瞬間。

「「聖への忠誠を(カルシャシャーン)!!!!」」

別のところから聲が聞こえ、突如舞踏會広場に神姿の男達が姿を表し、こうとした兵士達の首元に容赦なく剣をつきつけた。

その服裝は神達が魔族と闘う神闘服で。

そのに刻まれた紋章で彼らの素はすぐ知れた。

神殿の暗部を司る。戦闘部隊。「神の従者」

「んな!?」

王子とマリアが驚きの聲をあげれば、會場の扉から一人の男が現れる。

全ての神と神殿を総べる長。大神エクシス。

「たかが弱小國の王子ごときの分際で。

様と婚約破棄?

思い違いも甚だしい。

その罪。萬死に値します」

言って、杖をひと振りすれば王子は派手な音をたてて壁に叩きつけられる。

「ただで死ねると思わないでいただきたい。

味わったことのない苦痛を。

永遠の苦しみを!!

死ぬこともできぬ地獄を味わわせてあげましょう!!」

と、そのままぐりぐり足で踏みつけた。

その目は神とは思えぬほど殘酷で、その場に居合わせた貴族達に引き気味に距離をとられていた。

「おい、アレどっちが悪役かわからねーな」

「貴方は黙っていてください」

とエクシスの両隣を歩いていた護衛騎士らしき男二人がぐりぐりと王子を踏みつけている後ろでドン引きしている。

「ど、どういうことだ!?」

踏まれながらもなんとか王子ガルシャがべば、

「簡単な事だ。

そこにいるリシェル・ラル・ラムディティアこそ聖なのだよ」

と、今度は金髪の麗なエルフ達が登場する。

エルフの里にだけ住まう神に最も近いといわれる種族エルフ。

彼らが人間の前に姿を現す事はあまりない。

高位の神でなければ會えないのだ。

そしてその後ろには明らかに武裝しているであろう竜人達も舞踏會場へ場してきた。

急展開に。

マリアはついていけなかった。

何がどうなっているのだろう。

婚約破棄されて――リシェルが平民に落とされて――慈悲深いマリアが拾ってあげる予定だったのに。

なぜこんな展開になっているのか。

逆行前と全然違う!?

誰かこの狀況を説明してぇぇぇぇぇぇぇ!!!

マリアは心の中でぶのだった。

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