未來を験してきた。

目の前で淡々と語るリシェルの逆行前の話にそんな馬鹿げた話があるかと心イラつきもした。だがの出す暗殺者ギルドの報は全てこちらしか知らぬ真実で。

これから予定して実行しようと計畫段階の話すら言い當てた。

そして、裏切り者ダラスを見抜いた。

正直な話、ジャミルもまさか彼が裏切っているとは思いもよらなかった。

主要メンバーの一人だったのだから。

それでもの報をもとにすれば、間違いはなく。

何より話を聞いていたはずのダラスが逃亡を試みていたと他のメンバーに知らされ確信した。

彼は裏切っていると。

自白剤を飲ませればリシェルの言うとおりで。

彼の前世を験してきたという話は噓だとは言いきれない。

悔しい話だが……むしろ真実と見たほうがいいだろう。

それにしても――。

ジャミルはが座っていたはずの席を見る。

が話す未來は出來の悪い夢語のようで、今ひとつ信憑にかけていた。

まるで子供が考えた出來の悪い絵巻の頭の悪い國王をそのまま現したかのような話なのだ。

だがそれゆえに真実なのではないかとも思う。

「あんたの話が本當なら國に喧嘩を売ることになる。

そんな無謀な賭けに俺たちに力をかせと？」

に問えばにっこり笑い

「ここで死に絶える未來よりはいいはずですが？」

「わからないな。

あんたの話が本當なら、さっさと他國に逃げるのが正解だ。

國相手に本気で戦えると思っているのか？」

ジャミルの言葉には微笑みながら

「戦えるかではないのです。

戦わなければいけない。だから戦います。

私は復讐を誓いました。

すべてを諦めて目をそらし聞こえないふりをして私は後悔しました。

もう一度悔いに満ちた人生を繰り返すくらいなら私は死を選びましょう。

これは誰のためでもない。

私のための復讐です」

と、言い切るの顔は。

１０代のとは思えぬほど憂いをめていて。

彼はどれだけ悲慘な人生をおくってきたのか窺い知れた。

むろん暗殺者ギルドに所屬していたジャミルにとってはリシェル程度の待話などよく聞く話だ。

別段同するほどの話ではない。

それなのに。

なんとなく放っておけないとじるのは、きっとあの子の力なのだろうとジャミルは思う。

まぁ、リシェルがいなければダラスの告で自分たちは全員死んでいたのだろう。

恩義はけたのだ。

それを返すのはかつての主の教えに背く事ではない。

たまには正義の味方側もいいかもしれないな。

ジャミルは大きくため息をつき、どうやってギルド員全員を説得しようか想いを巡らせるのだった。