《【書籍化&コミカライズ】偽聖とげられた公爵令嬢は二度目の人生は復讐に生きる【本編完結】》補完 それぞれの道(ジャミル・マルク・グエン)
「やっとお役免だな!」
背筋をばしながらジャミルが天に向かって手をばした。
リシェルとロゼルトがエルフの里に移り住む事になり、ジャミルはその二人を見送った後、マルクに別れを告げていた。
「はい。5年間お疲れ様でした」
その後ろではマルクがジャミルに微笑んでいる。
「まったくだぜ、エルフの里なんて堅苦しくてにあわないのなんの。
やっとこれで自由になれる」
と、荷を片手ににんまりジャミルが言えば、
「本當に旅に出られるのですか?」
と、マルクが問う。
「まぁな、神殿のおかげで紅蓮の炎は壊滅したし、市民権ももらえて、ギルドの連中も普通に職につけてる。
たんまり金ももらったし、自由に生きてみるのもいいかと思ってな」
「貴方らしいですね」
「それは旦那もだろ。隨分手広くやってるらしいじゃないか」
「おかげ様で、お困りの事がありましたら是非我が商會へ」
マルクが行儀のいい笑みを浮かべて、ジャミルが苦笑いを浮かべる。
Advertisement
この旦那の事だからきっと世界中で活することで世界の向を監視して、聖に害をなすものがいないのか報網を広げているのだろうなと容易に想像できる。
10年後くらいに紅蓮の炎をしのぐ、大規模な報網を確立しててもおかしくない。
「絶対あんたと神殿だけには逆らわないようにしておく」
「賢明な判斷だと思いますよ」
ジャミルの言葉にマルクはにっこり微笑んだ。
「ところで、ジャミル」
「はい?なんですかね旦那」
「最後に一つお聞きしてよろしいですか」
「うん?」
「貴方の本當の名です」
言われてジャミルは口ごもる。
ああ、そうか。もう偽名を使う必要などなかったのか――と。
ジャミルが本名を告げれば、マルクはいい名ですねと微笑んだ。
すでに滅んでしまった故郷。
もう思い出す事もないと思っていた両親。
村ごと盜賊に襲われて散り散りに売られてしまった兄弟や仲のよかった友人達。
ジャミル同様ろくな未來を迎えていないだろうが――
どうせ當てのない旅だ。探してみるか。
ジャミルは荷片手に歩きだす。
どうかお嬢様に幸あらんことをと祈りながら。
■■■
「お父様、いままで本當にありがとうございました」
白いウェディングドレスを纏い、娘のリシェルが微笑んだ。
「……幸せになりなさい」
ドレス姿の娘に微笑めば、リシェルは頬を赤らめて本當に嬉しそうに「はいっ」と微笑む。
エルフ式の結婚は、ウェディングドレスとタキシードを纏った新郎と新婦がエルフの長のもと聖樹の前で二人だけでを誓いあう儀式である。
そのため、グエン達はその姿を見る事はできない。
それでも。
きっとこの子の事だから幸せな笑みを浮かべるのだろうと容易に想像できた。
時折、夢の中で首を切られて町中にみじめに曬された娘の姿が夢に出て來ることがある。
ロゼルトに話を聞いたが為そういった夢を見るのか、それとも逆行前の記憶を思い出したのかはわからない。
結局母親の死から、距離をおいたまま娘の話を聞いてあげなかったがために、娘に不幸な人生を歩ませてしまった。
そして今世でも、まだ父親らしい事は何一つしてあげられていない。
せめてこれからは頼れる父でいられるように、彼がいつでも安心して相談できるような親になる努力をしなければいけないだろう。
「聖様、グエン様、お手をつなぎアーチの前までお進みください」
のエルフに言われ、リシェルは遠慮がちにグエンの顔をみつめたあと、グエンが微笑んで手を差し出せば嬉しそうにグエンの手を取った。
アーチまでは父親がエスコートをし、アーチ下で待つロゼルトがリシェルを連れ聖樹まで連れて行きを誓う。
これが嫁に行く前父としてしてやれる最後の事だろう。
「行こうか」
「はい!」
そう言って二人はロゼルトの待つ広場へと歩き出した。
今までの距離を埋めるかのように、手を強く握りしめたまま。
◆◆宣伝です◆◆
コミカライズに続き【書籍化】していただけることになりました!
Web版はかなり不完全なのでかなりの量加筆&修正させていただいております。
書下ろし番外編つきです!
ベリーズファンタジー様 にて2022年7月 発売となっております。
書影が出た時點でまた改めてお知らせさせていただきます~!
何卒よろしくお願いいたします!!
★コミカライズ★
どこでもヤングチャンピオン様で連載中です何卒よろしくお願いいたします!
(https://www.akitashoten.co.jp/dyc)
★4月號★
ジャミルさん登場ですー!!この回はマンガオリジナルになっております!!シークさんがちゃんと活躍しております!かっこいいですー!
小説版よりめちゃカッコよくなっておりますので是非!!!
★5月號★
こちらはグエンパパがかっこいい&ロゼルト登場回となっております!!
パパの優しさが原作の5倍になっておりますので必見です!!
子どもロゼルトがめちゃめちゃかっこいいので是非!!!
次の更新はエクシス補完回となっております!!
何卒よろしくお願いいたしますー!!!
外れスキル『即死』が死ねば死ぬほど強くなる超SSS級スキルで、実は最強だった件。
【一話1000字程度でスマホの方にもおススメです!】 主人公は魔導學校を卒業し、スキル【即死《デストラクション》】を手に入れる。 しかしそのスキルは、発動すれば自分が即死してしまうという超外れスキルだった。 身一つで放り出され、世界を恨む主人公。 だが、とある少女との出會いをきっかけに、主人公は【即死】の隠された能力に気付く。 「全て、この世界が悪いのよ。この世界の生きとし生けるもの全てが」 「……ふうん。で、仮にそうだとして、君はどうするんだ」 「私の望みは一つだけ。ねえ、私と一緒にこの世界を滅ぼさない?」 「すっげー魅力的な提案だね、それ」 最強の力を手に入れた主人公は、少女と共に自分を見捨てた世界に復讐を果たすことを決意する。 隠れ最強主人公の、復讐無雙冒険譚。 ※カクヨムにも改稿版の投稿始めました! ご一読ください! https://kakuyomu.jp/works/1177354054893454407/episodes/1177354054893454565
8 180お薬、出します!~濡れ衣を著せられて治療院から追放された薬師さんが辺境で薬屋を開きました。極めたポーションは萬能薬と呼ばれて回復魔法を超えるようです~【書籍化コミカライズ企畫進行中】
田舎から出てきた15歳の少女メディは町の治療院で薬師として働いていた。ある日、患者が毒殺されそうになる事件が発生する。 多數の目撃者や証言により、メディが犯人とされてしまった。先輩に當たる治癒師がメディの高評価に嫉妬して陥れたのだ。 「やっぱり薬なんて危ないわ。治癒魔法こそが安全よ」 今までの功績に免じて、院長はメディを追放処分とした。しかし治癒魔法ではすべての體調不良は癒やせない。 何年も入院していた患者の難病を癒やすなど、メディは治癒師顔負けの実力を発揮していた。 治療院の評判に大きく貢獻していたのだが、彼女がいなくなると雲行きが怪しくなる。 一方、メディは新天地で薬屋を開くことにした。萬病をも治すという噂が広まり、いつしか客層もおかしなことになっていく。 王國最強と呼ばれた『極剣』の女剣士や破滅的な威力の魔法を放つ『皆殺し』と呼ばれたエルフ魔術師と、気がつけば特級戦力が集うようになった。 メディは今日も聲を張り上げる。 「お薬、出します!」 やがて治療院は新たな動きを見せるが、やはり傾き始める。 メディの薬屋は辺境を飛び出して名が知られるように――
8 64シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす〜
世に100の神ゲーあれば、世に1000のクソゲーが存在する。 バグ、エラー、テクスチャ崩壊、矛盾シナリオ………大衆に忌避と後悔を刻み込むゲームというカテゴリにおける影。 そんなクソゲーをこよなく愛する少年が、ちょっとしたきっかけから大衆が認めた神ゲーに挑む。 それによって少年を中心にゲームも、リアルも変化し始める。だが少年は今日も神ゲーのスペックに恐れおののく。 「特定の挙動でゲームが強制終了しない……!!」 週刊少年マガジンでコミカライズが連載中です。 なんとアニメ化します。 さらに言うとゲーム化もします。
8 72【書籍化・コミカライズ決定!】過労死寸前だった私は隣國の王子様と偽裝結婚することになりました
書籍化・コミカライズが決定しました! 情報は追ってお知らせいたします。 宮廷付與術師として働くフィリス・リールカーン。彼女は國內で初めて宮廷付きになった付與術師として活躍していた。両親を失い、多額の借金を肩代わりしてくれた婚約者とその家に恩返しをするため、日夜パワハラに耐えながら仕事に打ち込む。 しかしそんな努力も空しく、ある日突然信じていた婚約者から婚約破棄を言い渡されてしまう。知らぬ間に浮気されていたことを知り、悲しみと怒りが溢れるフィリス。仕事で朝帰りをしている時に愚癡を漏らしていたら、見知らぬ男性に聞かれてしまった! しかもその相手は、隣國の王子様だった! 絶體絶命の窮地に陥ったフィリスに、隣國の王子は予想外の提案をする。 「フィリス、お前は俺の嫁になれ」 これは無自覚な天才付與術師が、新天地で幸せを摑む物語。
8 52俺の転生體は異世界の最兇魔剣だった!?
ある日、落雷により真っ黒焦げに焼けた自稱平凡主人公の織堺圭人はなんやかんやあって異世界の最兇と言われている魔剣に転生してしまった⁉︎ 魔剣になった主人公は、魔剣姿から人姿となり封印の祠での魔物狩りをして暇潰しをする日々であった。 そしてある日、貪欲な貴族によって封印の祠の封印が解かれた。そこからまたなんやかんやあって祠を出て學校に通うことが決まり、旅をする事に‼︎ 第一章 祠 閑話休題的な何か 第二章 神を映す石像 ←いまここ ※超不定期更新です。
8 115転生しているヒマはねぇ!
異世界で転生する予定になり、チキュウからマタイラという世界の転生界へと移動させられた『カワマタダイチ』。 ところが、控え室で待たされている間に、彼が転生するはずだった肉體に別の魂が入れられ、彼は転生先を失ってしまう。 この大問題を、誤魔化し、なおかつそうなった原因を探るべく、マタイラ転生界の最高責任者マーシャが彼に提示したのは、冥界に來た魂を転生させるこの転生界の転生役所で働くことだった。 ニホンでやる気を持てずに活力なく生きていたダイチは、好みの女性陣や気の合う友人に勵まされながら、少しずつ活力を取り戻し、それでも死んだままという矛盾に抗いながら、魂すり替え事件やマタイラの冥界と現界を取り巻く大問題と、わりと真面目に向き合っていく。
8 76