無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第25話 街道作計畫①

「おお! 魔王陛下からの書簡が屆いたぞ!」

ある日、宰相閣下とお父様が、一通の封蝋の押された手紙を手に、私達兄妹に報告にやってきた。

「和平條項と、両國間の易についての締結書だ! これで、両國で平和にやっていけるし、なんなら、お力も借りられるようだ」

そして、お父様が私の頭をでる。

「これで、お前が魔族であろうと、遠慮なく実家に帰ってこられる」

そう言われてお父様を見上げると、目を細め、それは嬉しそうに微笑んでいた。

「ありがとう、ございましゅ」

そう言って、私は、お父様の足に抱きつく。

ーーそうか。そのこともあって、お父様は喜んでくださっているのね。

私は、私のことを思ってくださる、お父様の親としての想いに、心が暖かくなった。

「ですが、流石に今まで流がありませんでしたから、道がありませんね」

皆がテーブルを中心にして集まってくる。

そして、宰相閣下が、テーブルの上に、広域の地図を広げた。

大陸の北東の端に、舊王國領があり、それは今ではすっかり小さな領土となってしまっている。

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そして、東部を中心として大規模に領土を持つ、フォルトナー新王國。私達の領だ。

その私達の領のみと接するように、北西から北にかけて魔族領が広がっているという狀況だ。

「道を作らねばなりませんね。それと、道になってもいないような場所は、魔の棲みつく森もありますから、それらの駆除も必要かと……」

なかなか、道を作ると言っても、一から作るのは大変なようだ。

宰相閣下が、地図をいく通りかなぞって、どう道を作るべきが思案される。

「うーん、やはり、なるべくやたらに伐採を避けたとしても、『魔の森』の排除と、ワイバーンの巣窟になっている、『飛竜の谷』の魔駆除は必要かと……」

そう言って、お父様、お兄様達、私を見回す。

「森の伐採なんかは、僕のゴーレムやノーム達に頼めると思うんだけれど、それをやりながら魔の襲撃があると、流石にきついかなあ……」

カイン兄様唸る。そして、私を見下ろした。

「ねえリリス。マーリン様を喚べるかい?」

「あい」

私は、お兄様の問いに頷いた。

「サモン、だいけんじゃ、マーリン」

すると、その會議の場に、マーリンがとともに姿を現す。

「マスター。お呼びで?」

そう言いながら、マーリンは私に呼ばれたことが嬉しいかのように、笑顔だ。

「うん!」

笑顔で答えると、マーリンが、挨拶とでもいうように私を抱っこした。

ーーこれ、固定位置なのかしら?

そんな再會の挨拶が終わると、カイン兄様がマーリンに話しかける。

「マーリン殿、急にお呼びだてして申し訳ありません。実は、魔王領との正式な國が決まりまして……」

「カイン殿、皆様。お久しぶりです。……魔王領との國ですか。それは、魔族であられるマスターには嬉しい出來事ですね」

そうして、マーリンが私ににこりと笑いかける。

「はい、易に関しても可能になるそうで、良いことなのですが、いかんせん、今まで流がなかったため、道がないのです」

そこに、問題事項について、宰相閣下がマーリンに説明する。

「なるほどね。どれ、地図に描かれた、この線が、道を作りたいというところかな?」

ふむふむ、と言って、マーリンがその地図を覗き込む。

「私も、ノームやゴーレムなど、作業ができそうな者たちを招ぶつもりなのですが、魔の襲撃もありうる地區ですので、英霊(エインヘリヤル)の皆様にもご助力を願いたく……」

ふむふむ、と、マーリンが頷く。

「魔の森でしたら、隕石召喚(メテオ)で一撃でも良さそうですけれど、その後、道に直す方が大変そうですねえ」

ーーいや、怖いこと言わないでくれる、マーリン。

みんなも、口を開けてポカーンとしちゃっているじゃない!

その視線に気がついて、マーリンは首を傾げる。

「そんなに、唖然とした顔をなさらなくとも。戦略的にも意味はあるんですよ?」

あまりにも呆れられた様子に、意外だとでもいうように、マーリンが反論する。

しずつ伐採して、見つけた魔獣をしずつ狩る。一見、普通の方法に思えます。ですが、これには落としがある」

そして、マーリンが地図の二箇所を指さす。

の森と、その付近にある、小さな村の名前だ。

「伐採の途中で、魔が群れをなして、人の住む場所がある方向に逃げ出したらどうします?」

「た、確かに……」

お父様が、額に冷や汗を流す。

「すみません。私も、國民を危険に曬すところでした……」

カイン兄様も、項垂れて呟く。

そんなカイン兄様を私はめるように、その背をでる。

「ありがとう、リリス」

カイン兄様が、顔を上げて、私に小さく笑いかけてくれた。

「マスター。フェルマー殿を喚べますか?」

「うん。サモン、だいせいじょ、フェルマー」

すると、を帯びたフェルマーが現れる。

「久しぶりです。マスター」

その顔はとても嬉しそうだ。

「あんまり喚んでくださらないと、拗ねてしまいますからね」

ふふっと笑って、冗談まで言われてしまった。

「ところで、マスター。なんの用でしょうか? この場は……、何かの會議のようですね?」

は、おっとりと首を傾げた。

「私が喚んでもらったんだよ、フェルマー」

マーリンが、フェルマーに聲をかけると、彼は、彼の方にを向ける。

「マスター方が、魔族領とこの新しい王都の間に、國用の道を作りたいとおっしゃっている。だが、この魔の森は、人々の脅威になるだろう。そこで、私の魔法、隕石召喚(メテオ)で一気に潰したいのです」

「確かに……、どれだけ、何がいるかわからない森であれば、一気に殲滅した方が良いでしょうね」

意外と力を持つ人からすると、一気に殲滅というのは、安全策という考え方もあるのね。

「そこで貴に、周囲に副産の巖石などが飛び散らないように障壁を作っていただきたいのですが……、それほどの強度の障壁を作ることは可能でしょうか?」

と、その言葉で、フェルマーが、その秀麗な眉を片方上げる。

「……その仰りよう、まさか、私にそれができないとでも?」

うふふ、と笑ってマーリンに逆に問い返す。

ーー怖いよ! フェルマー!

「いえいえ。できると見込んだからこそ、お呼びだてしたのです」

力のあるもの同士の力の探り合いは、ちょっぴり怖かった。

うーん、魔族領がしくなってきた。

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