無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第30話 、心が溫かくなる

マーリン(お守り)とニーズヘッグに乗って、バッサバッサと飛ぶこと數時間。

ぐんぐんと下の景は、人間の住まいの様相から、魔族の村落の様相に変わってくる。

そして、その間を繋ごうと、人々が道づくりをしているのも見える。

「ねえ、マーリン」

私は、その様子になんだか極まって、彼に聲をかける。

「どうしました? マスター」

マーリンが穏やかな聲で答えてくれる。

「みちが、できていくわ」

私が地上を指をさすと、「ああ、確かに」とマーリンも呟く。

「マスターとマスターの兄君と一緒に、危ない場所は整えましたからね。作業するものも、今後その道を通って行き來する人達も、安心して通ることができる街道になることでしょう」

そう言って、風に靡く私の髪のを整えるように、大きな手のひらで私の頭をでてくれる。

「マーリンとフェルマーもよ」

私がそう言うと、マーリンは、嬉しそうにで笑みの形を描いた。

それはそうと、ニーズヘッグのおかげで、実家と魔族領(職場)の行き來が、楽々にできてしまうんだから、ありがたいことである。

「ニーちゃん、だいかちゅやく、ね!」

乗りとして大活躍のニーズヘッグを労うように鱗をペチペチとでると、ニーズヘッグの照れ笑いが聞こえる。

「えへへ、そうですか? リリス様のお役に立てて嬉しいです!」

ーーあれ? ニーズヘッグって古竜だよね? その割に、なんだか子供っぽい。

子竜の姿ばかり取らせているから、私みたいに、容姿に神が引きずられてきているのかしら?

まあ、可いからいっか。

そうして、しばらく空の旅を楽しむと、前方にあるニーズヘッグの頭のさらにその先に、魔王城が見えてきた。

「ひさしぶりでしゅ!」

その懐かしい城の全容を見ると、家族との別れの寂しさは吹っ飛んで、今度は懐かしい魔族領の人々の顔が浮かぶ。

アスタロトやアリアは元気かな。

ベルゼブブはどこか見えないところで暗躍しているのだろうか。

陛下は相変わらず、書類に埋もれているのかしら。

ーー孔雀はどうでもいいわね。

と、約一名はどうでもいいや、と思考からポイっとしつつ、その城を目掛けて飛んでいくのだった。

ニーズヘッグが、バサリ、バサリと羽ばたきをして、速度を落としてゆっくりと城の屋上に著地する。

そして、マーリンが私を抱き上げて、一緒に屋上に降りてくれた。

「リリス様! お帰りなさいませ!」

警備兵が挨拶をしてくれる。

「ただいまでしゅ」

そんな実直に仕事をこなす兵士に、ねぎらいの気持ちを込めて、笑顔で返事をする。

「まずは、へーかに、ごあいさつ?」

片腕で抱っこをしている狀態のマーリンに、尋ねてみる。

「そうですね。陛下は、マスターのお仕えしている方ですから、それが禮儀というものでしょう」

頷いて、そう答えるマーリン。

そうね。

陛下の溫に甘えさせていただいて、だいぶ長く城を開けさせてもらってしまった。

そのお禮もしないとね。

マーリンに抱っこされながら階下にある陛下の執務室に向かう。

人にすれ違うたびに、「お帰りなさい」と言ってもらえるのが、嬉しくて、心がじんわりと溫かくなる。

「マーリン」

私は、マーリンと、この気持ちを共有したくて、名を呼んだ。

「どうしました? マスター」

廊下を歩く足を止めて、マーリンが私に尋ねてくる。

「あのね? ここも、わたちの、おうち、なのね!」

私はそういうと、満開の笑顔で笑う。

そんな私に目を細めるマーリン。

「そうですね。ここはマスターの、大切な第二の家ですね」

そうして、私の頬をでてくれた。

そんな會話をしながら歩いていると、見慣れた陛下の執務室の扉にたどり著いた。

マーリンにノックしてもらって、私が聲をかける。

「リリスでしゅ」

れ」

陛下に、許可をけて、室る。

やっぱり陛下は書類に埋もれていた。

「くじゃくは、いったい、なにをしてりゅの」

その有り様を見て、確か宰相のはずであったアドラメレクへの苦言がれ出てしまう。

「あれはあれで、仕事を任せている。責めないでやれ。でだ」

陛下が、書類を決裁する手を止めて顔を上げた。

「お帰り、リリス。待ってたぞ」

その言葉に、嬉しくなって、つい、ぱあぁぁっと顔が緩んでしまう。

そして、その様子を汲んで、マーリンが、私を床に下ろす。

私は、陛下の元に駆けて行った。

「……ただいま、もどりまちた!」

ぎゅっと抱きついて、挨拶するのだった。

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