無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第36話 悪魔、目を覚ます

私がしばらくパズスの腕の中で、その日の神の剣に魅られていると、突然大きな地震に襲われた。

「何事だ!」

「この辺りに、活火山はないはず!」

「それよりも、まず、ここから出ないと!」

に閉じ込められてはまずいと、マーリンが判斷し、皆に待避を促す。

皆んな、それに従って、走って窟と、小さな落石を避けながら待避した。

私は、パズスにずっと抱かれたまま避難していたので、あたりの様子がおかしいことに気づく余裕があった。

「ねえ、あれ、なに」

ようやく、防衛壁を潛って、城る。そして、その庭から、私は空を指さした。

空には、晴れた雲一つない空と、太。そして、それに近づく……、真っ赤な球

時々、地平線近くだと、綺麗なオレンジになるのは見たことがあるけれど、それは、そんなじゃなかった。

「ち、のいろ……」

そして、その真っ赤なの球は、徐々に太に近づき、覆い隠し始めた。

「日食? だが、その時期ではないはず……」

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「……じゃあ、あれは月なのか?」

禍々しいをした月によって、今まさに日食が起ころうとしていた。

災いの谷から、黒い霧と魔の群れが湧いてくる。

『災厄』の始まりだ。

その頃には、アベル兄様は飛龍隊を指揮して、臨戦態勢をとっていた。

そして、お父様は、砦の影に隠れて待機する魔導師隊に対して、指示を飛ばしている。

その魔導師団の中に加わって、アスタロトも、魔法による參戦をしてくれていた。

慌ててやってきたニーズヘッグも、元の大きさに戻り、ドラゴンブレスやその鋭利な牙や爪で応戦している。

そうして、いつぞやの勇者パーティーのメンバーも、奴隷戦士として、前線に立たされていた。

私の國に基本奴隷制度はないのだけれど、犯罪者に限り、適に合わせて奴隷制度が適応される。彼らはその対象にされたのだろう。

「サモン、エインヘリヤル」

私も、今いる英霊達に加えて、さらに戦力を要求する。

「マスター! ありがとうございます!」

私の軍師でもあるマーリンが、そのサポートに謝を述べるとともに、すぐに英霊達に指示を飛ばす。

「魔導師、弓師は、砦から攻撃。聖に回復師は、怪我をした者の回復を優先しながら、合間に攻撃。剣士と戦士は、浮遊しながら前線で戦え!」

私の英霊召喚數が増えたことと、ニーズヘッグに、アベル兄様の飛竜隊の活躍もあって、いつもより、魔達を殲滅するスピードは速かった。

「だいじょぶ、かしら」

私は、前線に向かったパズスに取り殘され、砦の安全な場所でみんなを見守っていた。

実は、私には、彼らを召喚して魔力を供給するしかがないので、見守るしかないのだ。

ーー悔しい。私も力になりたい。

そんな時、大きな音がして、災厄の谷にある、さっき見に行った窟が天井から崩れ落ちるのが見えた。

そして、その瓦礫の中から、巨大な生きが姿を現した。

あ(・)の(・)悪魔だった。

お父様が、これでもかというくらいに刮目して、驚愕している。

「悪魔は、聖剣によって封印されている、はず……」

皆が、その異様な大きさと姿に驚愕し、攻撃の手が止まり、一瞬その場を靜けさが支配した。

お父様の言葉が耳にったのか、悪魔が聲を発した。

「聖剣? これかァ?」

悪魔は嘲笑うような口調で言った後、彼の腹に刺さったままの剣の柄を手に取る。

「空を見ろよ」

言われて、私達は空を見上げる。

まず、晝間なのにとても暗いことに気がついた。

そして、天を仰ぐと、あるはずの太の上には、真っ赤な禍々しいをした月が覆い被さっていた。

「狂信者共の邪法によって、月の神は邪神に墮ちたようだ。そして、太を覆い隠し、この剣の力を無効にしてくれている。……これはもう、ガラクタさァ!」

そう言って、柄を握りしめると、剣を腹から引き抜き、投げ飛ばした。

そして、それは、偶然屋上にいた私の足元すぐ近くに転がった。

「いくら『怠惰のブーシュヤンスター』といえども、流石に飽き飽きだ。さァ! 今までの鬱屈をどうめてもらおうか。人を一人ずつ引きちぎろうか。それとも、全てを破壊し盡くそうか! ギャハハハハハ!」

そう言って、手始めとばかりに、飛竜隊の一人を捕獲して、手足を一本ずつ引き抜き始めた。

「痛い、痛い! やめてくれえええ!」

騎士が泣きぶ。

「ハイヒール!」

フェルマーが唱えれば、彼の奪われた手足は再び生えてくる。だが、悪魔は新たに生えたその手足を再び引き抜くだけ。それではいつか、心の方が先に壊れてしまう。

「非道なことをするな!」

気高きエルフであるエルサリオンが、世界樹の弓で悪魔の両目を目掛けて矢を掛ける。

「ちっ、忌々しい」

悪魔が、目に刺さった矢を引き抜いている間に、パズスが飛んでいって、捕獲されていた騎士を救い出した。彼は、パズスの腕の中ですでにぐったりと気を失っているようだ。

そんな中、私は、足元に転がった聖剣に吸い寄せられるように、それを手に取った。重そうに見えたそれは、意外にしっくりと私の手に馴染む。

「……え?」

それは、いつの間にか柄飾りだった赤い石を先端中央に戴き、その周りを花弁が覆うような形になり、私サイズの小ぶりのロッドに姿を変えていた。

そして、頭の中に不思議な聲がしたのだ。

『気高きフォルトナーの子よ。私を手にし、戦いなさい』

ーーえ? でも、私には戦うなんてないはずよ?

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