《無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第39話 、明を見いだす
悪魔を焼くが細くなり、その天に浮く扉が徐々に閉じていって消えていく。
殘された悪魔を見ると、まともにをけた面半分の表皮が焼け焦げている。
私はフェルマーの元に駆け寄っていく。
「あくま、しんだ?」
フェルマーを見上げて尋ねると、彼は私を抱きあげてくれた。
「多分、まだ……」
そう、フェルマーが言いかけた時。
「……死んでなどないわ。我は、この世界の理では、この世界の神剣で『心臓』を貫くことでしか殺せない」
そう言って、焼け焦げた悪魔がいて語った。
「……あなた、バカァ?」
ぎゅっと聖杖を抱きしめながら、思わず聞いてしまった。
「は?」
眉間に皺を寄せて聞き返してくる、悪魔。
「なぜ、てきの、わたちに、じゃくてん、おしえちゃうの?」
うん、本気でこいつは馬鹿なのだろうかと思ったのだ。
自分の殺し方を教えるバカは普通いない。
勿論、圧倒的に彼の方が強くて寄せ付けない程の強さの場合は別だ。
だが、今、決定打は與えられないにしても、散々痛い目に遭わされたところではないか。
そこに、自分の殺し方を教える?
ありえない、と思った。
「その聖剣は、もはや剣の形狀をしていない。それでどうやって我が心臓を穿つのだ? そして、かつての英雄が、なぜ心臓ではなく腹を刺して封印するのみにとどまったのか……、心臓はこ(・)こ(・)にあるとは限らないだろう?」
そこまでいうと、ニタリと笑う。
「フェルマー」
彼にこっそりと耳打ちする。やっぱりあの人お馬鹿さん?って。
そうすると、フェルマーは困ったように苦笑した。
「あれ、でもどうやって……、これでさしゅんだろう?」
形狀は完全に杖。鋭利な刃など、どこにもなかった。
そんなことを考えていると、不意に誰かに首っこを摑まれて、吊し上げられてしまった。
「えっ!」
フェルマーも私も、戦力を削げたと思っていた悪魔が目の前にいたことに驚愕して目を見開く。
そして、私を捕らえたのは、悪魔だった。
「マスター!」
英霊達がぶ。
「こんなちびっ子がどうやって俺の心臓を刺すというんだ。そして、俺の心臓はここにはないぞ」
そんな中、悪魔は私を吊るしながらゲラゲラ笑う。
首が苦しい。
「ちび、って、ゆーな!」
蹴り飛ばそうとしても、足が短くて屆かない。悔しい。
「マスターを放せ!」
弓使いのエルフ、エルサリオンが私の首の服の布地に矢を命中させて、私は悪魔の手を離れ、宙に浮く。
そこをすかさず割ってってきた、マーリンが私をけ止め、そのまま、地を蹴る勢いで急いでその場を飛び去った。
それを見て、フェルマーも、位置をずらして安全を図る。
「マーリン、エルサリオン、ありかとうございましゅ」
お禮を言うと、「マスターが無事でよかった」そう言って、ぎゅっと抱きしめてくれた。
皆んなに大切にされているようで、とても嬉しかった。
ーーって、余韻に浸っている場合じゃない。
英霊達は、一時とはいえ私を捕えた悪魔に怒りを覚えた者が多かったらしく、再び、矢が飛びい、剣戟の音が響き、魔法が炸裂する音がする。
けれど、それが決定打にならないとすると、どうしたらいいんだろう。
心臓が、左にない。
ちらっとみたら、エルサリオンの矢が眉間に突き刺さっていたから、多分あそこでもないのだろう。
ーーあ。
「わたちと、おなじ?」
私が呟くと、マーリンが、「どう言うことでしょう?」と聞き返してくる。
「しんぞうが、み(・)ぎ(・)にあるってことかも……!」
そう、私とおなじように!
「……確かに、その可能は高いですね」
ふむ、とマーリンが他の英霊達と戦っている姿を見る。
あとは、どうしたら、刺(・)し(・)貫(・)け(・)る(・)のか。
すると、再び頭の中に聲がした。
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