無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第40話 、戦う

マーリンの提案によって、悪魔の懐にり込む隙を探ることにした。

私の読みが正しければ、狙うべきは『右』。

安全にやるには、まず相手のきを封じなくちゃ……。

そうだ、矢!

エルサリオンの矢に抜けぬものはない。

その矢で、手足全てを壁に打ち付けて、きを封じて仕舞えばいい!

「エリュサリオン! あいちゅの、うごきを、ふーじて!」

「マスター! 承知しました!」

名前を噛んでしまったけれど、當人は認識してくれたらしい。ごめんね。

「ガレス! 奴を壁際まで押しやってくれ!」

エルサリオンが、力のある戦士ガレスに指示をする。

「承知!」

悪魔が、アスタロトやアグリッパ達魔導師の魔法に翻弄されている間に、その魔法の炎すら意に介さず、ガレスは、悪魔に當たりすべく特攻していく。

そんな彼を回復すべく、フェルマーが彼に回復魔法を施す。

ガレスは走り、攻撃を躱し、そして。

ズドオォン!

ガレスが、悪魔に頭から當たりする。

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そして、その勢いで、悪魔のが後退して、壁に背を打ち付ける。

「グハァッ!」

悪魔がき聲をあげる。

「今だ!」

ガレスの聲を合図に、エルサリオンが矢を掛ける。

両の手、両の足、そして、首。

四肢をい止め、けなくする。

「フェルマー! 私とマスターに障壁を! マスター、行きますよ!」

「わかったわ! 理障壁! 魔法障壁!」

私を抱いて駆け出すマーリンが指示し、フェルマーが応える。悪魔に向かって走る私達の周りに、厚い障壁が展開された。

「何をバカなことを! それは所詮杖……」

悪魔は言いかけて、言葉を失う。

それは、私が手に握るものが、刃を持っていたからだ。

手足を穿たれていても、悪魔はせめてもの抵抗として、魔法を放ってくる。

しかし、そのいずれもが、フェルマーの厚い魔法障壁に阻まれて、私達を傷つけることは葉わない。

そして。

「マスター。肋の下の方から、斜め上に、差し込んでください」

マーリンが、私の聖杖を逆に握る手を包み込む。そして、私は、マーリンに耳打ちされたとおり、右目掛けて、下から刃の切先を差し込む。

そして、ドン! と、マーリンはそのまま當たりをするようにして、悪魔の右に、深く、聖杖の刃を突き刺した。

私は、悪魔とマーリンの間に挾まれながら、上目でチラリと悪魔の顔を見上げる。

その顔は驚愕、ただその心だけを現していた。

當たりだ。そう思って、私はニヤリと笑う。

そして、それが正解だと答えるかのように、を穿った刃から、眩しいくらいのが溢れてくる。

「ギャアアアアアア! なぜ解ったァ!」

悪魔がぶ。

「……ひだりじゃないなら、みぎ。そういうヒトはいりゅわ。……わたち、とおなじよ」

淡々とただ刃を差し込みながら、私は悪魔に答える。

「だったらぁッ!」

せめてもと、空間が魔法で生み出した石杭で、私の右を穿とうとするが、それはあっけなくフェルマーの障壁によって々に砕け散った。

パラパラと地面に落ちていく石片の音が虛しさを煽る。

そして、その切片に、黒い煤が混じり始める。

悪魔のだ。

刃で貫いたを中心に、悪魔のが崩壊を始める。

まず右に空が出來て。

そのがどんどん煤と化して、地に落ちていくたびに、その空が拡大してゆく。

『ありがとう、マスター。フォルトナーの新たな英雄よ』

頭の中に、長年の使命をやっと果たせた聖杖の、喜びと謝の想いがダイレクトに伝わってくる。

ーーあなたも、お疲れ様。

聖杖、いや聖剣に心があるのであれば、長い間、滅ぼすこと葉わず、ただただ、長きにわたって封印することしか葉わない。しかも、敵対する月の神の橫槍により、日食の時には力を奪われ、封印すら、邪魔をされる。

どれだけ悔しかったことだろう。

そんなことを考えているうちに、悪魔のは全て黒い煤となり、しずつ、しずつ風に煽られ、消えていく。やがて、そのを形していた全てが、この世から消え去ったのだ。

「マスター……」

マーリンが、私を姫抱きに抱き直して、頬りをする。

「マーリン、ありがとう」

私は、ぎゅうううっとマーリンの首に腕を絡めてしがみつく。

しばらくそうして抱擁をわした後、私は、マーリンからを離して、辺りを見回す。

私が喚んだ英霊達、お父様と兄様達、この國の兵士達、そして、魔族ながら協力してくれたアスタロト。

みんなを見回してから、すーっと息を吸って、私は大きな聲を出す。

「みんな! ありがとう! みんなのおかげで、わざわいは、しゃったわ!」

その終戦と謝の言葉に、歓聲が上がる。

「姫様、萬歳!」

「もう、『災厄』を恐れなくてもいいんだ!」

城中が、歓喜の聲で埋め盡くされたのだった。

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