《無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第45話 、恩人を祝う
そうこうして、新しい春の麗らかな日、お父様とアスタロトの結婚式の日がやってきた。
空はらかな青空で、雲ひとつなく、若葉が茂り、ほのかに香る花々が、まるで、新郎新婦を祝福するかのような、そんな良い日だった。
結婚式場は、かつて戦勝式と戴冠式を行った、あの大広間だ。
そこの上段に、今日という日のためにガイア教のシンボルである、小ぶりのガイア神の神像が飾ってある。
「やっと、けっこんしき、だね!」
私は、この日がようやく來たのが嬉しくて仕方がなくて、自室で著付けをしてくれる侍に、この言葉を何度言ったかわからないくらいだ。
「本當に、姫様は、陛下とアスタロト様の結婚式が嬉しくてならないのですねえ」
私に白いドレスを著付けながら、微笑ましげに笑う。
「そりゃあ、そうよ。アシュタロトは、わたしのおんじんで、だいしゅきなひと、なんだもの」
「そうでしたね」
この経緯も、何度侍に繰り返したかわからない。
勇者に裏切られて倒れていたところを、アスタロトに助けてもらって、それが縁で魔族になって。
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アスタロトは、私の裝やら、魔族領での生活をするにあたって、甲斐甲斐しく面倒を見てくれた。
だから、そんな大切な友人がお父様の伴になるのが、とても嬉しくてならないのだ。
「ほら、おしゃべりばかりなさらないで、お髪を整えますよ!」
そんな落ち著きのない私は、侍に嗜められてしまい、大人しく鏡臺の前に腰を下ろす。
いつものツインテールに、白いリボンを結って、リボンで出來たお花の髪飾りを差し込む。
「リリス、準備はできたかい?」
部屋の扉がノックされて、外から私を呼ぶカイン兄様の聲がする。
「あい!」
私が返事をすると、扉を開けて、正裝したカイン兄様が部屋にってくる。
「迎えに來たよ。さあ、行こう」
ひょいっと、だっこをされる。そして、二人で、會場である大広間に向かった。
「うわぁぁ! きれい!」
大広間の大きなガラス窓からは、春の暖かな日差しが差し込み、今日という日を祝福するかのようだ。
そして、各テーブルに用意してあるガラスのグラスにが當たり、きらきらと輝く。
そして、広間は、沢のある白を基調にした布で飾られ、中央には、赤いカーペットが真っ直ぐに敷かれている。
もう、既に招待客もほとんど集まっているようだ。そして、その中には、見慣れた魔王陛下に、四天王の二人も臨席していた。
花婿と花嫁を祝福する聲が聞こえる。
既に、上段中央には、法皇猊下が控えていらっしゃった。
私は、お兄様に連れられて、親族席に向かう。
そうして、新郎と新婦の場を知らせる聲が聞こえる。
大広間が、わあっと、華やいだ祝いの聲で賑わう。
楽団により音楽が奏でられ、カイン兄様が喚んだ妖たちが、二人の周りに小花を散らしてゆく。花嫁の髪の薄紫と、花嫁を象徴する白だ。
そうして、お父様がアスタロトをエスコートしながら、赤いカーペットの上をゆっくり歩いてくる。
二人は、時折顔を見合わせて、とても幸せそうだ。
新郎新婦が法王猊下の元へ到著すると、場がしんとする。
法皇猊下が、神への祈りを始めたからである。
お父様とアスタロトの名前が混じった祝詞と唱え、新郎新婦に祝福を與える。
そして、いよいよだ。
「ダリウス・フォン・フォルトナー。汝は、このを永遠の伴とし、夫として彼を護ることを誓うか」
「はい、誓います」
「アスタロト。汝はこの男を永遠の伴とし、妻として夫を支えることを誓うか」
「はい、誓います」
まあ、宣誓の言葉には、強いアスタロトとの結婚の場合は、『護りあう』の方が似合うような気がしたのだけれど、そんな野暮なことは言わない。
ただただ、この式が終わり、晴れて、互いに伴となることを祝う気持ちでいっぱいだった。
そうして、お父様とアスタロトは指を互いに嵌め合い。
そして、アスタロトは、王妃のティアラを猊下から戴冠されるのだった。
こうして、私の家族が増えたのだった。
式を終え、披宴になってから、隙を見てお父様とアスタロトに近づく。
「おお、リリス」
お父様はとても幸せそうな顔をしている。
だから、めいいっぱいの笑顔で、私は二人にこう伝えたのだ。
「おめでとう。おとーしゃま、お(・)か(・)ー(・)し(・)ゃ(・)ま(・)!」
花も綻ぶ、と形容するのは、こういった幸せな花嫁の笑顔のことを言うのだろう、と思うぐらい、幸せそうな笑顔が、花嫁のアスタロトから帰ってきた。
「ありがとう、リリスちゃん」
し屈んだアスタロトに、ひょいっと抱き抱えあげられて、頬に口づけをける。
不思議なものだ。
私は、かつて勇者一行として魔王を倒しに行こうとしていた。
そんな折に、裏切りにあい、魔族である彼に救われた。
辺境伯の領主から、一國の王國として獨立し、人と亜人の融和を掲げ。
人と、亜人の隔たりがだんだん緩和し、そうして、その命の恩人が私の義母になった。
「おかーしゃま。これからも、ずーっと、いっしょね」
そう言って、私も、アスタロトの頬にチュっとキスを返す。
私達一家は、今もこれからも、とても幸せな時を過ごしていくのだろう。
長く応援していただいて、ありがとうございました。
本作、一旦第一部完結となります(一度、完結フラグを立てます)
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