《無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第51話 、魔道製作中①
闇屬を加えたため、パズスを追加しました。
そんな中、所長のベリトはやる気マンマン。鼻息も荒そうな勢いだ。
まず、皆が集まった研究室の中央に置かれた機に、私の設計図を広げる。
マーリンはその橫に、持ってきた魔石とボディとなる人形を並べた。
「まずは付與師ですかな……。フーガス、君に任せる」
「はい」
すると、フード付きローブをダブダブと著こなした、ちょっと小柄な丸メガネをかけた年が一歩前に出る。
「そして、ボディに魔石を埋め込み、出力回路を作る技師は……。ダン、君が適任だな」
「どんな回路構築でもお任せあれ」
ベリトが指名すると、今度は壯年のドワーフ技師が一歩出てきて、どん、と自分のを叩いた。
「まずは全ての魔石に転移魔法を付與する。……ベルゼブブ様、そしてフーガス、こちらへ來てくれるかい」
所長が指示すると、テーブルの上に載せられている六個の魔石の前に、二人が近寄る。
「ベルゼブブ様、転移魔法の魔法陣を、手のひらに展開していただけますか?」
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フーガスが、ピンセットのようなものを両手に持って、依頼をする。
「しょれは、なんれしゅか?」
ピンセットが気になったので、私はフーガスを見上げて尋ねる。
「ああ、リリス様は初めてお目にされるんですね。これは開発用魔道でして、展開した魔法陣を発者から切り離すことができるなのです」
それは凄い。
そんな質問をしている間に、ベルゼブブが、片手を魔石に向けて差し出し、複雑に描かれた闇にる魔法陣を展開していた。
大小何重にも重なった円陣の中に、數字や記號、古代語が緻に描かれている。
その、ベルゼブブが展開した魔法陣を、フーガスが両手のピンセットで用に摘む。すると、ぺりっと薄ーい丸いクレープ生地かのように剝がれたのだ!
「はがれたわ! しゅごい!」
私は驚きで自然と目が大きく見開いてしまうのがわかる。そして、前のめりになってしまう。
「リリス様に、私の技を見ていただけて栄ですよ」
私はきっと、側から見たら興味津々というを現したような姿なのだろう。
フーガスが、微笑ましそうに私を見ていた。
「さて、これを魔石に付與しますよ」
フーガスは、ピンセットで魔石の上にかざす。
そして、何事かぶつぶつと唱えている。
しばらく唱え続けると、薄い円盤狀の元々闇にっていた魔法陣のがさらに強くなる。
そして、フーガスがそのタイミングでピンセットを魔法陣から離すと、下にあった魔石に、魔法陣がすうっと吸い込まれていった。
「はい、これで付與ができましたよ」
「ふわぁぁ!」
魔法陣を吸い込んだ魔石を私は、その中を覗き込むようにしてじいっと見る。
よおく見ると、魔石の中で極小の魔法陣が漂うように浮遊している。
「しゅごい! きれい!」
ちょっと照れ臭そうに笑いながら、フーガスは眼鏡を持ち上げて位置を直す。
「さて、殘りの六個もお付き合い願います。ベルゼブブ様」
そう言うと、二人は頷いて、殘りの六個の魔石に付與をしてくれたのだった。
そして、七個全部に転移魔法を付與し終わると、ベルゼブブは「用は済んだな」と言って、消えていった。
「さて、あとは、屬ごとに何の魔法を付與するかですが……」
あ、そうだ。マーリンはいるけれど、フェルマーを喚んでいないわ!
「サモン、だいせいじょ、フェルマー! サモン、だいまおう、パズス!」
私が片手を差し出すと、金の魔力が溢れ出て、フェルマーとパズスの姿を形作り、二人自が現れた。
「あら? 隨分沢山の方がいらっしゃるんですね」
人でいっぱいの研究室に突然呼び出されたフェルマーとパズスは、辺りをきょろきょろ見回す。
事態を飲み込めないだろうから、説明しないとね。
「マーリン、せっけいず、とって。フェルマーとパズスに、みちぇてあげて」
殘念ながら、テーブル中央にある設計図には、私の背では手が屆かなさそうなので、マーリンから渡してもらうことにした。
その設計図には、実現方式と共に、各屬の魔法陣を展開してもらう師の名前が書いてある。その中に自分の名前を見つけて、呼ばれた理由を汲んでくれたらしい。
「私は、と聖屬の魔法陣を展開すればよろしいのですね」
「私は、闇魔法、と」
にっこりと微笑んで尋ねてくるフェルマー達に、私は「うん!」と頷いた。
「では、どんな魔法を付與しましょうか」
ようやく、といった様子でフェルマーが私達に聲をかける。
「じぇーんぶ、いっちばん、ちゅよい、まほー!」
私は、はーい! と片手をあげて、元気よく希を述べた。
「「「……」」」
返事がない。
あれ? 誰も同意してくれないよ? なんで?
「例えば私の火屬魔法の中で上級のは隕石召喚(メテオ)ですが、……それをリリス様が、その魔法威力を以って、ボコボコと発現なさるとなると……」
マーリンが、口元を掌で隠して、うーんと唸っている。
「魔王城、いえ魔族領が焦土になりそうで怖いのですが……」
所長のベリトが青い顔をしている。
ーーええっ!? 私そんな危険人じゃないよ!?
「火弾(ファイアーボール)、氷の楔(アイスエッジ)、風の刃(ウインドカッター)、石の礫(ロックエッジ)、太線(サンレイ)、聖なる(ホーリーレイ)、闇の弾(ダークボール)。この七つで十分だと思うのですけれど……」
フェルマーの提案に、室にいる者達が皆深々と頷いた。
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