《無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第52話 、魔道製作中②
結局私の希(一番強い魔法を付與)は葉わずに、それぞれフェルマーが提案した基礎魔法と浮遊魔法を、魔石に付與する作業が続いている。
私は邪魔しないように、出來上がった魔石を覗き込んでいる。
今私が手に持っているのは、火の魔石だ。
親指と人差し指で摘んで目の前にかざして中を覗き込むと、魔石の中に、それぞれの魔法の魔法陣が浮遊しているのが見える。
「……あれ」
その中の一つ、火弾(ファイヤーボール)の魔法陣に疑問を持った。
ーーこれ、蒼炎弾じゃなくて、初級の火弾だ。
火屬の初級魔法はフ(・)ァ(・)イ(・)ヤ(・)ー(・)ボ(・)ー(・)ル(・)と言われているけれど、これは完全に正解じゃない。
中級魔法に位置づくものもあるのだ。それが、蒼炎のファイアーボール。
でも、火の魔石に込められていたのは、蒼炎じゃなかったのだ。
「マーリン。これ、そうえん、じゃないわ」
ちょうど付與が全て終わったマーリンの服の裾をくいくいと引っ張る。
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「これじゃ、いやよ」
その言葉に、首を捻りながらマーリンが私の目の高さを合わせるようにしゃがみ込む。
「初級の火弾ではダメですか?」
その問いに、私は大きく頷く。
「だって、カ(・)ッ(・)コ(・)わ(・)る(・)い(・)でしゅ!」
ふんっと私が腰に両手を添えてふんぞりかえる。
だって、初歩も初歩の火弾なんて恥ずかしいもの、嫌よ!
「うーん」
マーリンは唸りつつ、フェルマーとパズスに助けを乞うように目線をやる。
そんなマーリンの目の前では、彼のをぽかぽかと叩いてぐずる私がいた。
「やだやだなのー! しょーえんが、いいのー!」
そう言って、泣き出してしまった。児化、ここに極まれりだ。
「「「リリス様……」」」
部屋にいる者達が呆れ返っている。
まあ、「でもお子様ですし……」と言う擁護派もいるっぽい。
いや、十五歳のはずだけどね?
結局、マーリン、フェルマー、パズスの三人が仕方ないといった顔で頷き合う。
「火屬だけですからね?」
そう言って、小指を差し出してくるマーリンに、自分の小指を絡めて約束する。
赤い火の魔石の上に、フーガスが手のひらをかざして、呪文を唱える。
すると、すうっと魔石から赤いが出てきて、付與したはずの魔法陣が浮かぶ。
その狀態でフーガスがまた呪文を唱えると、その魔法陣は消えて無くなってしまった。
付與外し……なのかなあ?
そして、マーリンがその魔石の上で、『蒼炎(ファイヤーボール)』の魔法陣を展開してくれる。
あとの要領は同じ。
魔法陣をフーガスがぺりっと剝がして、魔石に付與する。
そうして、皆んなの協力を得て、全部の魔石に魔法を付與する事ができたのだ!
「やったぁ!」
私は、嬉しくてその場でジャンプする。
すると、チチチッと人差し指を立てて、所長のベリトがその指を左右に振る。
「まだまだこんなものじゃありません。これから、技師の手によって、魔導兵、リリス様を実現化するのです!」
ーーなんか、名前ついた! 魔導兵、リリスって何!
「ダン! 魔導技師の出番だぞ!」
そう、ベリトに呼ばれると、いかにもドワーフの親方といった見た目のダンが前に出てくる。
「魔法陣付與の間に、魔導回路用の素材も取って來ましたし、抜かりはありません」
ニヤリと笑って、どんと自分のを叩く。
「このボディですと、両手から魔法を出力で良いですかな?」
一を摑んで、ダンがボディの作りを確認する。
「うん、しょれで、おねがい!」
すると、親方……、間違えた! 技師のダンは、床にあぐらをかいて座りこんで、私が持ってきたボディ七全部のお腹と腕を丁寧に解いていく。
そして、それぞれ一個ずつ魔石をちょうどの中央の部分に埋め込み、そして、腕に魔道回路になるのだという管を差し込んでいく。
そして、溶接を使って、魔石と管の端を溶接していく。それを、左右の手に。
太くて短い無骨そうな指なのに、作業はとても繊細で見惚れてしまう。
最後のボディのい直しも、ささっと、見た目に全くわからない出來に仕上げてくれた。
そうして繰り返すこと、全部で七分。
「完だ!!」
所長のベリトの聲に、「おおー!」と歓聲が上がる。
「リリス様! 今すぐ、稼働実験をしましょう」
興しているベリトに提案される。そんなの當然じゃない! 私だって、もう大興よ!
英霊と、魔導研究所の所員達で、ぞろぞろと練習場へ向かう。ちょうど今は訓練時間じゃないから、お披目前にこっそりやるにはガラ空きで丁度いい。
そして、私は魔法の的がある、魔法訓練の場所へ行く。
的へ向かって片手を差し出し、すうっと息を吸って。
「サモン、ーーーー! そして、やっちゃえーー!」
私が、その子達を呼ぶと、ふっと私を取り囲むようにらしい子達が現れる。
そして、両手を差し出して魔法を的に向かって発する。
的があったはずの場所には、ただの一本も殘ってはいなかった。
まだ、ボディが何かはです♡
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