無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第55話 元勇者と悪魔

まず一つ、この世界の空間に、次元の裂け目が出來た。

そこから、するりとり込んで來たのは、の肢と漆黒の悪魔のツノ、コウモリの羽を持つ者。

悪魔だ。

「この辺りから、『怠惰』が消えた気配がしたのよね」

そう言って、愉しそうに赤い舌を覗かせてを舌なめずりし、笑う。

「まあ、あれも、そもそも封印されたこと自けないんだけれど。それにしても、消滅させられるって言うのは、そうそうないことだわ。何があったのかしら」

そう。

この悪魔は、同族が倒されたことには一欠片の憐憫も持ってはいない。

ただ、『愉しそう』だから、覗きに來てみただけ。

悪魔とはそういう生きなのだ。

世界は多次元である。

その各次元に世界があったり、なかったり。

創造主と言われる存在がいて、人などの住まう世界があったりする。

悪魔は、その世界の何処も住処としていない。

次元の隙間を住処とし、気にった世界があれば、壊し、悪戯し、し、好きに生きているのだ。

そんな悪魔は全部で七人いる。

『傲慢』、『強』、『嫉妬』、『憤怒』、『』、『暴食』、『怠惰』。

リリスが『怠惰』を冠する者を倒したはずなのに、なぜ『怠惰』がっているのかというと、それは、現在再生中だからだ。

悪魔は決していなくはならない。

その源は、生きとし生けるものの悪なる。それが彼らを創造するからだ。

どこか一つでも、生きるものがいる世界があり、負のを抱く命が一つでもある限り、悪魔に『完全なる消滅』はありえないのだ。

そうして、『怠惰』を一時的に倒した世界、リリスの住む世界に、別の悪魔が侵したのだ。

「ん〜。なんか味しそうなニ(・)オ(・)イ(・)がするわ〜。『傲慢』で愚か者のニオイが」

ふふふ、と、赤いで弧を描いて、彼はそのニオイの主を探して飛び回る。

そして見つけたのだ。

殺人未遂という罪を犯し、奴隷となったかつての勇者ハヤト。

そして、その殺人をほう助して奴隷となった、その仲間の魔導師マリアと弓師のフォリンだ。

彼らは奴隷として、戦時中は戦闘に駆り出され、平時は鉱山で働かされる。

「わざわざ、日本から召喚されて勇者になったっていうのに、本來の力を発揮する事も出來ずに、奴隷になんかされていなきゃならないなんて!」

そうんで、採掘用のピックを投げ捨てた。

「ちょっと、危ないよ、やめてよ!」

ピックの先がれそうになったフォリンが、ハヤトを睨みつける。

「私だって、エルフの里から期待されて人里に出てきたっていうのに! 怒りたいのは私の方よ! あんたのせいじゃない!」

フォリンがハヤトに向かって怒鳴ると、マリアもそれに同調する。

「この狂い! 別のれたいからって、あんな事するから、私たちまで巻き込まれているのよ! あれがなければ、私は魔王を倒して賢者にだってなれたのに!」

「俺の栄は!」

「私たちの栄譽は!」

罵り合いの聲が延々と鉱山のの中に響き渡る。

「うふふ。見ぃつけた。……あの子達ね」

彼らのいるの外から、罵り合いをする彼らの様子を見て、悪魔はニヤリと笑う。

「私、『傲慢』のプライド様にうってつけの、贄(オモチャ)がいるじゃなぁい」

プライドは、人の姿に擬態し、彼らに近寄っていった。

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