無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第59話 妖姫、目覚める

私が、アスタロトと共に実家に帰省していたある日のこと。

「ノートン王から書簡が屆いたんだが……」

お父様が執務室から一通の書簡を手に、家族が集まる居間にやってきた。宰相も一緒だ。

タイミングよく、アベル兄様、カイン兄様、アスタロト、私全員が揃っていた。

「ノートン王と言うと、前王が亡くなった後に就いたって言う、まだ年のエドワード王のことですか?」

そこは報通のカイン兄様が皆んなにノートンの勢に説明を加えつつ、尋ねる。

「ああ、そのノートン王だよ」

お父様が、私たちが集まるソファに腰を下ろし、宰相はその傍らに立った。

「用件はなんです? 我が國が獨立してから流は斷絶していましたよね」

アベル兄様が訝しげな顔をする。

「お前の縁談だ」

「……は!?」

お父様の口から飛び出した、自らのに降って湧いた縁談話に、アベル兄様が呆然とする。

「……それは、我が國の統にノートンのれろと言うことですか?」

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カイン兄様はその真意が測れないらしく、面白くない思を想定しているのか片眉を上げる。

「いや、王妃でなくとも構わないと言うし、無理ならカインでも良いと……」

「……それは、本當にどういう……」

カイン兄様は理解出來ないといった様子で首を捻る。

私とアスタロトも、顔を見合わせて首を捻った。

「私からご説明しましょう」

そこに、宰相が口を挾んできた。

「前王はあんな方でしたが、その子……、いえ、現ノートン王はまだいながらも聡明で賢い方なのです」

そして、そのノートン王は前王が溺れていた妾腹。そして、今回の縁談話に上がっているのは、その異母姉の亡くなった前王妃の児のフェリシア王だと説明する。

「異母姉弟とは言っても、お二人はとても仲が良く、あんな國でしたが、姉弟手を取って生き抜いておられました……。ですが、姫はノートン王の母である現王太后に疎まれており、何者かに毒を盛られることもしばしばでして……。私も、お二人をお殘しすることは気になっておりました」

そう説明すると、宰相は苦い顔をした。

「……その何者かって言うのも、王太后なんじゃないの?」

カイン兄様が尋ねると、宰相は苦々しい顔をしながら頷いた。

「はい、恐らくは。王太后は、我が子を王位に就けたがっておりましたが、所詮高級娼婦上り。それに対して、フェリシア王は有力な侯爵家の出の王妃腹。……亡くなった王妃殿下も、王太后となった當時の寵姫の手のものに毒殺されたのではと言う噂も當時からありましたな……」

「フェリシア姫が有力な家に嫁げば、彼を擔ぎ出される。さらに、男児を産めば……。その可能を嫌っていそうだな、その王太后とやらは」

お父様が、顎に手を添えて唸る。

「そんな環境であってもご姉弟仲は非常に良ろしかった。……恐らくは、ノートン王の本意は、フェリシア姫の保護にあると思われます。あとは自のご出自を疑っておられましたから、もっと深い思もあるやも知れません。……お若い方ですが、聡い方ですので」

宰相閣下が、殘してきた姉姫と若きノートン王を心配しているのか、心苦しげな表で推察を述べる。

「それにしても、これはまたしい方だな」

アベル兄様は、書簡に添えられてきた姿絵を見て溜息をつく。見惚れている兄様の顔はすっかり呆け顔だ。

私も見せてもらったけれど、それはもう、儚げでしい姫君の姿絵だった。

「その姿絵は、誇張ではありません。ノートンの『妖姫』と謳われるほど、儚げなしい容姿をお持ちの姫ですから」

確かに、絵姿に描かれていた姫は、淡く波打つ金髪に菫ような淡い紫の瞳。薔薇の頬にほっそりとした手指で、儚げに消えてしまいそうな貌だった。

なんだか、この縁談をけるなら、アベル兄様になるのかな? 私は思いながら、すっかり絵姿に心を奪われている兄様を見守るのだった。

同じことを思ったのか、カイン兄さんがそっと私に耳打ちする。

「……アベル兄さんって、意外に面食いだったんだね」

その言葉につられて、私とカイン兄さんはくすくすとかに笑い合った。

僕とミレニアが眠り続ける姉さんを見守っていると、ようやく姉さんが目を覚ました。

「……エドと、ミレニア? 私は……」

ベッドに橫たわったまま、姉さんがまだ弱々しい聲で僕達の名を呼び、そして、辺りを見回して自分の置かれた環境を確認する。

「……また、なのね。エド」

そして、々な記憶と自分の今の置かれた環境から、當たりをつけたのだろう。溜息を吐きながら、僕に、そ(・)う(・)だ(・)ろ(・)う(・)と問いかける。

「はい。姉さんは、……王太后の手の者に毒を盛られ、倒れたのです」

すると、姉さんの頬に、つうっと一筋涙が伝った。

「……ひっそりと生きていることさえも、許してもらえないのかしら……」

「……姫様……!」

姉さんの悲痛な呟きに、ミレニアも涙をわれて、自分も涙ぐみながら、彼は姉さんの頬をハンカチでそっと拭った。

「姉さん」

僕は嘆く彼の名を呼ぶ。

「なあに、エド。……あら? いつもよりも狀態がいいわね。ミレニア、を起こしたいから、手伝って」

姉さんはミレニアに手伝ってもらって半を起こしてもらい、その下に背もたれ用の大きめのクッションをあててもらう。

「で、話ってなあに?」

を起こした姉さんが、僕を見つめる。

「……フォルトナー王國に嫁いでいただきたい。あなたのの安全と、最後の清いを持った王族としての責務として」

僕のその言葉を耳にして、姉さんはそのしい瞳を大きく見開き、息を呑んだ。

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