無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第63話 兄と、妖

アベル王子とリリス姫に城を案されながら、僕達姉弟は客間へと案される。

あの巨大な竜は、子竜の姿になっていた。そしてアベル王子は、手慣れた様子で右手にリリス姫、竜を左手に抱えている。

そして、婚姻の話が上がっているとはいえ、他國の僕達にこうも國のを話して良いものだろうか? と思うほど、警戒する様子もなく、教えてくれる。アベル王子もリリス姫も、対応は非常に好意的だった。

まあ、勿論、ここに輿れするかもしれない、姉さんに対しての生活に関わりそうな説明が中心だが。

城自は、獨立してからまだ拡張などはしておらず、王族の住む城にしては狹いかもしれません、だとか。

辺境での防衛を擔ってきた家柄なので、城の裝飾などは華ではない、とか。

そんな話の中で、驚くべき話を教えてもらった。

「私達の領の務めであった、『災厄』の鎮靜は、本的に解決したんですよ」

そう、アベル王子が口にした。

「しょーなの! だから、ひめさまには、あんしんして、すんでもらえましゅ!」

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ふふん、と自慢げにを張って、私も活躍したのだと主張するリリス姫。

「あ、こら! 『住む』だなんて、あまりに早すぎるだろう! 姫のお気持ちだってあるんだからな!」

子竜とリリス姫で両手が空かないアベル王子が、リリス姫にコツンと額と額をぶつけて嗜める。

「……私が、ここに、住む……」

改めて言葉にされてみると実が湧いたのか、姉さんは、顔を赤くしながら、より興味を持って案される場を見て回るようになった。

まあ、案するアベル王子も、リリス姫の発言のせいで、若干耳朶が赤くなっているのだが……。

いや、でも問題はそこじゃないような気がするんだが……。

「あの『災厄』を解決されたんですか!?」

僕が驚いてそっちに話題を戻す。

だって、姉さんがもし輿れすることになったら、その報はさらに嬉しい誤算だ。

実は、フォルトナーの『災厄』は、姉さんにとって、例えば未亡人になるとか、姉さん自に危険がとか、懸念はしていたのだから。

「しょうなのよ。あしょこは、あくまが、いたの」

リリス姫が舌ったらずな口調で説明しようとするので、アベル王子が途中で割ってって説明してくれる。

「もう、暫く前になりますが、大地震が大陸を震わせた日があったでしょう? あれは、この地に封印されていた悪魔の復活に伴うものだったのです」

「……え……」

アベル王子の言葉を聞いた瞬間、僕の脳裏に、父と樞機卿が地下の魔法陣の上でを流していた記憶が蘇った。

「まあ、驚かれますよね。まあ幸い、悪魔を封印していた聖剣に妹のリリスが認められたので、彼がそれを手にして滅ぼすことが出來たんですよ」

僕の驚いた表を、単純な驚きの反応と思っているのか、アベル王子が説明を続ける。そして、その片腕に抱かれながら、えっへんといった形容がふさわしい様子で、リリス姫がを張っていた。

悪魔って、悪魔だよな。セーレと同じ。

いやいや、最大の問題はそこじゃない。

地震が起きた日に、父と樞機卿が怪しげな魔法陣の上で自決していたこと。そして、時を同じくして、悪魔が封印を解いて復活したこと……。

僕には、そこに因果関係が全くないようには思えないのだ。

僕は、その後の會話には相がないように対応しながら、このことを対面の場で打ち明けるかどうか、悩むのだった。

ようやく客間に辿り著き、警備兵が扉を開けてくれたので、皆でる。リリス姫と子竜は、部屋にるとすぐにアベル王子の腕から降ろされる。

すると、元ノートンの宰相が僕と姉さんの元に駆け寄ってきた。

「殿下、いや、もう國王陛下でしたな。そして、姫様も……。よくご無事で……。お二人をお殘しして去ることだけが唯一の心殘りでした。本當に申し訳ございませんでした……」

皺だらけの顔に涙を伝わせながら、僕と姉さんの二人の前で頭を深く下げた。

「じい。あの時は、ノートンが酷すぎたのだ。じいを含め、こちらの國を選んだ誰も悪くはない」

「そうです。國では、私はじいにはたくさん守ってもらいました」

僕達は、國にいた頃の彼の呼び方、『じい』と、當時のそのままでその呼稱を口にする。

僕はじいが居なかったら、まともな教育をけることも、帝王學を學ぶこともなかっただろう。

姉さんは、よく僕の母の悪意から遠ざけてもらっていたのだ。

久々のの再會をしていたら、元辺境伯、フォルトナー國王がと若い男を伴って私達の元へやってきた。

「お久しぶりです。ノートン王。フォルトナーの地を治めております、ダリウス・フォン・フォルトナーです。それと、こちらは王妃のアスタロト、そして、次男のカインです」

國王直々の紹介に、こちらも、居住まいを正してそれぞれ禮を執る。

「此度のご招待、それに、王太子殿下と姫君直々のお迎え、痛みります。私はノートンを治めております、エドワード・フォン・ノートン。こちらが、姉のフェリシアです」

「まぁ……。フェリシア様は本當に妖と謳われるのがうなづけるらしさですね。國同士の會談といっても、まずは私的なもの。あまり張なさらないでね? それから……、私は魔族ですのでこんな姿ですが、怖がらないでくださると嬉しいわ」

アスタロト王妃が、そういって微笑む。確かにツノはあるけれど、その優しげな容姿は、私達に恐怖を抱かせなかった。

「でもねー、アスタロトは、まぞくのしてんのーなの! すっごく、つよいのよ!」

アスタロト王妃のドレスの裾から、リリス姫が悪戯な顔をして顔を覗かせて、魔法を撃つ作の真似事をする。

「こら! リリスちゃん! 張をとっていただこうと思っているのに、怖がらせるようなことを言ってどうするの! それに、そんなことを言ったら、あなただって魔王陛下の四天王で、魔王軍の將軍でしょう!」

めっ! と嗜められて、ぺこんとごめんなさいをしている姿は可いのだが……。

僕と姉さんは顔を見合わせる。

どうやらこの王家はとても家族構が不思議なことになっているらしい。

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