《無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第67話 、魔法陣の勉強をする
魔導研究所へ、帰還の挨拶と進捗の確認をしに行ったその日の夜、私は、自分のベッドの上で、大きなぬいぐるみ二を自分に向かい合わせて、お話をしていた。
まあ、要するに一人で人形遊びという風に見えるのかしら?
「ねえねえ。へーか、かっこいい、ぶそうにしゅるんですって」
私がぬいぐるみ達に話しかける。
それに答えるように、ぬいぐるみが喋っているように、私(・)が(・)喋る。
「えー。ぼくたちみたいに、かわいいのがいいよ〜」
「うんうん、そうだよね!」
ぬいぐるみ二のを傾けて、うなずいているようにかす。
「やっぱり、しょーよね? うん、へーかは、かわいくなるように、しましょう!」
私はぬいぐるみ達に向かって、うんうん、と首を縦に振る。
「じゃあ、あなたたち、きょーりょく、してね!」
「「うん!」」
と、やりとりしていると、ドアをノックしてから、侍のアリアが私の部屋にやってきた。
「リリス様? こんな夜分に、まだ起きていらっしゃるのですか? 明日、起きられなくなってしまいますよ」
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どうやら、アリアはまだ私の部屋から燈りがれているのを見て、気になって様子を伺いに來たらしい。
「しんぱい、ありがとう、アリア。もう、ねりゅわ」
アリアににこりと笑いかけて、私は寢に潛り込む。
すると、アリアがそばにやって來て、まずは、おしゃべりをしていたぬいぐるみたちを、ベッド脇に戻す。
次に、私の上掛けをちゃんと私の肩にかかるように上げてくれた。
「おやすみなさいませ、リリス様」
そう言って、アリアが、ベッド脇の小さな明かりを消す。
そうして、彼は部屋を出て行き、私は眠りに落ちていくのだった。
次の日の朝。
「サモン、だいけんじゃ、マーリン!」
私は、支度と朝食を終えると早速マーリンを喚んだ。
「おはようございます、マスター。今日はお早いお呼びですね?」
窓から差し込む朝日に、し眩しそうに目を細めながら、マーリンが尋ねてくる。
「あのね。まほうじん、かきかた、しりたいの」
そう。魔法陣を構する文字。円陣の中に描かれる、その文字や記號などが、その魔法陣の起容を決めるのだ。要は、あれが『仕様』だと言ってもいい。
一般の魔導師は、魔法を習得する場合も、完された魔法陣そのものを頭に叩き込むだけ。それを書き改める必要はないので、研究者以外はその構言語まで習得しようと思うものではないのだ。
私も、一部の文字はわかるのだが、全部はマスターしていない。
研究職の魔導師というわけでもないので、不要だったと言ってもいい。
ーーだけど、私には是非とも魔導研究所で今開発している、陛下の魔導兵開発に組み込みたい機能があるのだ!
おそらく魔導兵の開発を見て発されたことは察しているのだろうけれど、マーリンは私を見て驚きの表をする。しかも、そのために朝から呼び出されたのだ。きっとその熱心さに驚いているのだろう。
「マスターは熱心ですね。あれを習得なさりたいのですか。では、図書館に行って、お勉強をしましょうか」
マーリンが抱き抱えようとするので、それを制止して、私は引き出しの方へ駆けていく。
「……ノートとペンも、いりゅわ!」
ゴソゴソと中をあさって探し出して、マーリンの元へ戻ってくると、彼は私のことを微笑ましそうにずっと見守っていたようだ。目元が細められていて、優しげだった。
そして、今度こそ「だっこ」と要求して、マーリンに抱き上げてもらい、城にある図書室に向かうのだった。
「こんにちは」
司書に挨拶をして室をする。
「リリス様が、魔法陣の描き方を勉強したいと仰られてね。魔法陣に関する本はどのあたりにあるかな?」
マーリンが司書さんに尋ねてくれた。
「まあ。將軍という地位にありながらも、さらなる向學心をお持ちだなんて。素晴らしいですわ! ご案しますから、ついてきてくださいね」
司書さんが私に向かって微笑んでから、カウンターから出てきてたくさんある蔵書達の詰まった書棚をって案してくれる。
「ここですわ。そして、ちょうど読み書きする機と椅子もございますので、こちらをご利用ください」
「ありがとう」
私が、司書さんの丁寧な案にお禮を言うと、また彼はふんわり笑って、一禮をしてからカウンターへ戻って行った。
「では、本を選びましょうか。……まずは、基本からですかね」
ずらりと並ぶ、魔法陣関係の中から、マーリンは初級の本を二冊取り出す。
「しょれは?」
「これは、魔法陣を構する言語と記號、そして、基本の命令形式……、つまり、書く順番ですかね。それをまとめた本ですよ。あとこっちは、初級魔法の魔法陣が描かれた本ですね」
じゃあ、まずはそれから教わる事にして、本をテーブルに載せ、私を椅子に座らせてくれてから、マーリンが私の隣の椅子に腰掛けた。
私は、持ってきたノートを広げてその上にペンを置いた。
マーリンは、書棚から取り出した二冊の本を広げる。
「まずは、基本の火弾(ファイヤーボール)を例にして説明しましょう」
こうして、私の魔法陣勉強會が始まったのだった。
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