無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第68話 計畫、かに混迷をきたす

私は、それから毎日熱心に図書室通いを続けている。

研究所のみんなには図書館で勉強すると言って、何かあったら連絡するように伝えておいた。

そのように所長のベリトに伝えたときは、ベリトがで涙を流しそうな勢いだった。

「將軍自らが、我々の研究していることを學ぼうとなさるなんて!」

どうも、今までの魔導研究所の扱いは良いものではなかったようだ。

そして、新たな勉強仲間に、パズスが加わった。

彼が參加したのは、息子をいかにして魔王らしくプロデュースするかだ。

要は、『魔王に相応しい魔法』を創り、それを魔導兵に組み込みたいという願いからだ。

全く、私は悪戯を組み込むことをかに狙っているし。

パズスは、息子を理想の大魔王に仕立て上げようとしている。

陛下自が興味も見せずに任せきりだから、この計畫、どんどんおかしな方向へ進めようとする輩が湧いている(私だけ?)。

「うーん、これが、つぎの、まほーじんに、うつる、きごう、よね?」

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「そうですね。例えば、陛下が傷を深く負われたら、まず自で回復するための魔法陣、そして、次は第二形態の防を召喚する魔法陣に繋ぐ、そんな時に使いますよ」

今回の仕様はなかなか複雑で、魔法陣をたくさん魔石に付與するだけというわけにはいかないのだ。

ちなみに、召喚魔法の魔法陣を出すのは、私の役目だ。

まずは、鍛治師達が作っている裝備に、『固有の名前』を與える。

そして、私はその魔法陣を出現させる時に、『何を呼ぶか』を指定する箇所に、その裝備の名前を組み込んだ魔法陣を作り上げればいい。

ーーそして、そこに私の悪戯を組み込む余地があるのだ(ぷぷぷ)。

私は、教えてもらったことを応用して、自分の知っている召喚魔法の魔法陣を書き換えていく。

そして、その橫で、パズスがマーリンを捕まえて、熱心に自分の希を伝えている。

「あの、『災厄』の時、貴殿と合わせ技でやった、『串刺し公の火刑場』! あれを是非とも息子に再現させたいのだ!」

「ああ、確かに……。あれは、『悪の魔王』らしいですねえ。そうすると、火の魔石と闇の魔石に魔法陣を付與して、さらに、ベースの無屬の魔石には、二つの魔法を同時起するための魔法陣を付與して……」

マーリンも、魔法陣を練るのは楽しいらしく、二人で前のめりになりながら語り合ったり、魔法陣を描き起こしたりしている。

ーー陛下、『悪の魔王』にされそうですよ?

「そうだ! 拷問道! 拷問道を召喚するのも、勇者と対峙する『悪の魔王』らしくないか!?」

ーーなぜこの人は、そうも息子を『悪』に仕立て上げようとするのか。

(陛下〜。あなたがお父様の特訓から逃げるために命じたこのプロジェクト、おかしな方向へ進んでますよ〜?)

私は、心の中でそう陛下に呼びかけながら、陛下の執務室のある方向を眺めるのだった。

そうして、それぞれが練り上げた魔法陣、作り上げた裝備などを持ち寄り、一つに仕上げる時が來た。

ドワーフ達が作り上げた、素晴らしい防と魔剣には、召喚師である私が名を付けた。

ああ、私がオプションで付けたいあ(・)る(・)も(・)の(・)達にも、お部屋で名前をつけておいたわ!

複數の魔石を陛下に裝備していただかないといけないので、太めの腕に全屬の魔石が並んでいるデザインである。ぱっと見は、とりどりの寶石を並べた裝飾品のように見える。

全屬を今の段階で使うわけではないのだけれど、陛下から、「この魔法も使いたい」という要があったときに、予め魔石を用意しておけば、付與するだけでいいのだ。

後戻りがない。

まずは、第二形態。

『鑑定』のスキルを持つ者に、その魔法陣を手元に出現させてもらう。

続いてフェルマーが、『鑑定』で一定の力以下だったら、という出現條件付きでパーフェクトヒールを起させるという魔法陣を出現させる。

さらに、パズスが強化魔法の魔法陣を出現させる。これはパズスが譲らなかった。

そして私が、回復後に裝備達を召喚して、陛下に裝備させるという容の魔法陣を出現させる。

この四つの魔法陣を、付與師のフーガスが順番に剝がしていって、適合する魔石に付與していくのだ。

フーガスは、繊細な作業の連続に、額に汗の粒を浮かべながら、慎重に作業をしていく。

それが終わったら、同じようにして、第三形態の付與をしていくのだ。

次に、陛下に新たに使えるようになってほしい魔法を付與していく。

普通の魔法の場合は、マーリンとパズスが出現させて、それを付與する。

私は、なんかパズスが命名したというを召喚するための魔法陣を練るのに協力した。

作業は長い。

最後の魔法陣を付與し終わって……。

「……これで、完です!」

研究室にいた皆が、歓喜でわあっと沸き、私はふふっとほくそ笑むのだった。

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