《無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第69話 陛下、試作品を獻上される
そうして、出來上がった『魔導兵魔王』化するための腕を、ベリトと共に獻上するために、陛下の執務室を訪れた。
執務室のドアをノックして聲をかける。
「リリスと、ベリトでしゅ」
「れ」
すると、あっさりと陛下の聲で許可が下りる。
ベリトが扉を開けてくれて、二人で部屋にる。
中にると、相変わらず書類に追われている陛下と、それをサポートしている宰相のアドラメレクがいた。
「珍しい組み合わせだね。例(・)の(・)(・)の進捗報告か何かかな?」
アドラメレクが私達に聲をかけてきた。
私とベリトは、顔を見合わせて頷き合う。
元々、私の手柄にするより、研究所の果にしようと思って、ベリトに説明をさせるために、彼を連れてきたのだ。だから、アドラメレクの問いに、ベリトが口を開いた。
「はい。リリス將軍から仰せつかっていた、陛下を強化するための魔導裝備が完しましたので、そのご報告と、ご説明に伺いました」
ベリトがそう言って來訪の目的を告げると、陛下が書類に決裁する手を止め、顔を上げる。表は心なしか明るい。
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「ほう! 出來たのか!」
何せ自分を強化するための裝備品。やはり興味があるらしく、そのまま椅子から立ち上がって、私達が立っている場所までやって來た。
そして、アドラメレクもそばに來る。
「ああ、立ち話もなんだな……、あっちのソファで聞こうか」
複數人で集まった狀態を見て、陛下がはたと思い付いたように、ソファを指差した。
「そうですね。仕様についての説明もございますし、々お時間がかかりますから、その方が良いでしょう」
ベリトもそれに同意し、全員でソファの方へ移する。
陛下とアドラメレクが並んで座り、その向かいに私とベリトが座る。
そして、ベリトが、とりどりの魔石が並んだ腕と、仕様書の束をテーブルの上に陛下に向けて並べた。
「こちらが、陛下ににつけていただく腕です。この寶石のように磨いた石は、実は様々な魔法陣を付與した魔石です」
まず、ベリトが腕を手のひらで指し示すと、陛下がそれを手に取ってじっくりと眺める。
そして、その橫からアドラメレクも興味深そうに眺めていた。
「これだと、寶石の頭文字で言葉遊びをする寶飾品のようだな」
「ああ、『DEAREST』とかですか? まあ、陛下にはいらっしゃいませんけれどね」
「一言多いぞ、アドラメレク!」
見た目の出來の良さにまで気を遣っていることを陛下が褒めているのに、孔雀が茶々をれて陛下を怒らせていた。相変わらずこのペアは仲がいい。
ちなみに、遠い異國で使われる言葉で、D=ダイヤモンド、E=エメラルド、A=アメシスト、R=ルビー、E=エメラルド、S=サファイア、T=トルマリンで、『DEAREST(最なる人、しい人)』と意味になるのだそうだ。
「まあまあ……。そして、的な仕様書は全てご覧になる必要はないと思いますが、最後のページにリスト化しております、この腕で使用可能になる魔法の一覧は把握しておいてください」
陛下達を宥めつつ、次にベリトが資料の束を陛下に指し示した。
陛下は、パラパラと仕様書全をめくってから、最後のページで手を止めて容をじっくりと眺める。
「ほう。これは凄い」
「はい、陛下は基本的に魔力量と魔法威力には優れておられます。ですから、魔石に封じられた魔法陣の助けがあれば、今まで縁のなかった強力な魔法も行使可能となるでしょう」
陛下は一つ一つの魔法を確認しては、口に笑みを浮かべて満足そうに頷いている。
「素晴らしいラインナップだな。……だが、あまり聞き慣れない魔法名もあるのだが……。『串刺し公の火刑場』? なんだか隨分と々しいが」
陛下が、隣に座るアドラメレクと目を合わせて、「知っているか?」と尋ねている。そして、聞かれたアドラメレクは首を橫に振っていた。
「その辺りは、パズス様が、子息であられる陛下のために、より『魔王』らしい新たな魔法を構築してしいと、マーリン殿と共同で練られた魔法がいくつかございまして……」
まさか、「より悪の魔王らしく」だなんて言っていたとは言えない。ベリトはこういう時の機転が素晴らしかった。
「ほう、父上が……」
陛下は素直にしていた。
「それにしても、これは是非、試しに使ってみたいものだな」
陛下がそう言って、ちらっと私に視線が向けられた。
ーーん? なんで?
「……再戦はしておきたいしな」
え? やだよ。それ、串刺しだの火炙りの魔法が詰まってるんだよ?
私を実験臺にしようとか考えるのは、絶対にやめてほしい。
ーー待、ダメ、絶対。
そんなやりとりをしていると、突然執務室の扉が強く叩かれ、その向こうから息が切れがちなアスタロトの聲で、室許可が求められた。
「れ、何があった」
陛下が即座に険しい顔に戻って、室を許可し、腰をずらして口の方にの向きを変えた。
「勇者が、いえ、ノートンの元勇者が逃げ出し、魔王城を目指しております!」
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