無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第72話 年兵からの、新たな報告

「閣下! ベルゼブブ閣下! 領に奇病が蔓延している村が複數ございます!」

フェルマーとマーリンがゴブリンを、治療しているところに、さらにベルゼブブの部下の年が報告のために駆け込んできた。

「……あ! その癥狀!」

その新たな來訪者は、治療中のゴブリンのを見て、大きく目を見開いた。

そして、治療中のゴブリンを指さしたまま、固まっている。

「……どうした?」

治療の終わった部下からの聴取を終えたベルゼブブが、もう一人の年のそばに近づいて、落ち著かせるように、彼の両肩を支える。

年は、視線を上司ベルゼブブに向けると、ホッとしたのか、ほうっとやっと深く息を吐き出す。

「そう、落ち著け。吐き出したら、自然に吸うようにはできている」

片方の肩から手をずらして、年の背を優しくでてやる。

冷靜冷徹に見えるこの蠅の王(ベルゼブブ)も、部下の年達は慈しんでいるらしい。

心配そうに気遣うその表、そして、丁寧に介抱をする姿を初めて見るので、私はし彼を見直した。

Advertisement

「……話せそうか?」

「はい……」

ベルゼブブの問いに、年がようやく頷いた。

「問題が起こっているのは、貓獣人の村と、犬獣人の村です。なぜか、先程のゴブリンと同じようなになって徐々に弱っていく奇病に侵されているのです……。彼らを助けてあげてください!」

そう言って、年はベルゼブブのスーツの端を摑んでしがみつく。

「……その村に、『勇者』、いや、おかしな人間は來たか?」

「僕が村の異常を発見したときにはもういませんでしたが、それより前に村に立ち寄ったらしいです」

「そうか……」

年からの聞き取りを終えて、ベルゼブブは顎に手添えて、どうしたものかと逡巡しているようだ。

「リリス」

そんな時、私は陛下から聲をかけられた。そして、治療中のゴブリンに寄り添っていた私の元にやってくる。

「あい」

私は、顔を上げて、陛下の瞳を見る。

「彼の治療が終わったら、英霊(エインヘリヤル)のお二人と共に、その村に行ってもらえまいか?」

陛下は、私の次に、フェルマー、マーリンに頭を下げる。

「……確かに、似たような癥狀に加えて、勇者が目撃されているならば、対処法は同じかもしれませんね」

ベルゼブブと、報告に來た年が顔を見合わせて、明を見出しほっとしたように頷きあっている。

魔族領の問題は、四天王で將軍である私の問題。

何より、私はこの國にこのを救われたんだもの。

そして、ノートンの元英雄の問題は、元々は私の問題でもあった。

「……いきましゅ! マーリン、フェルマー。手伝ってちょうだい!」

私は、はっきりとした口調で答え、そして、二人に共に來てほしいと願う。

「マスターの行くところ、どこへでもお供します」

「當たり前じゃないですか。マスターの行くところは我々の行くところですわ」

マーリンとフェルマーが口々に私に答えてくれる。

「……ありがとう」

共にあると言ってくれる彼らの言葉が嬉しくて、火照りで私の頬が赤くなっていることがわかる。

私と英霊(エインヘリヤル)は、一緒。

そう、改めて心に刻んで、私は彼らと共に問題の土地に向かうことになった。

今日はニーちゃんはお留守番。

れも出さずに、あんな大きな子で飛んでいったら、住人がびっくりしてしまうからだ。

ただでさえ、何やら奇病で大変だというのに、負擔をかけたくない。

そういうわけで、私はマーリンとフェルマーの二人を召喚して、マーリンに抱っこされながら、彼らの浮遊能力を使って飛んでいった。

抱っこですよ? おんぶではないですからね?

手の空いているフェルマーが、アドラメレクにもらった地図を見ながら、村がある場所を探している。

「……そろそろ、なんですが……」

地図を手にあたりを見回すフェルマー。

「あ、雙子の村、ありました!」

清らかな小川を挾んで、木の板で建てられた家が特徴的な村が二つ見えてきた。

小川には、村同士を行き來するためなのだろうか、石づくりのしっかりした橋も架かっている。

そして、小さな村と言っても割と立派な畑もあるし、家畜も飼っているようだ。

……とは言っても、どっちの村の家畜もぐったりしているし、屋外に人影もない。

「まずは、左から様子を見てみましょうか」

左からということにあまり意味はない。ぱっと見どちらも様子は同じなので、目についた方から訪ねてみようということになった。

細めの丸太でできた柵のり口部分を通って、村の中にる。

「どなたか、いらっしゃいませんか? 魔王城から病の治療を命じられて派遣されたものですが……」

フェルマーが良く通る聲で扉がしまった家々に向かって聲をかけた。

すると、村の中央の一番大きい家のドアが開いた。そして、その扉とドアノブにもたれかかるようにして、一人の犬獣人が姿を見せた。

「やっと、救いが……」

そう一言呟くと、その逞しいがぐらりと揺らいで、地面にどうっと倒れ込んでしまった。

私達は、慌てて彼の元に駆け寄るのだった。

    人が読んでいる<幼女無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族の幼女になって【英霊召喚】で溺愛スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】>
      クローズメッセージ
      あなたも好きかも
      以下のインストール済みアプリから「楽しむ小説」にアクセスできます
      サインアップのための5800コイン、毎日580コイン。
      最もホットな小説を時間内に更新してください! プッシュして読むために購読してください! 大規模な図書館からの正確な推薦!
      2 次にタップします【ホーム画面に追加】
      1クリックしてください