無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第75話 、守護獣を保護する

私達が守護獣を連れて魔王城に戻る頃には、もうすっかり空は暗くなっていた。

丸い月が照らす夜空は深い藍。そして空には無數の星々が、私が一番しいと競うかのように煌めいている。

まあ、帰りが夜になってしまったけれど、空を飛んで行くのであれば、夜であってもあまり危険はないので、私達は、守護獣に負擔を與えないように、ゆっくり目に城へ向かった。

そして、私達はようやく城に到著した。

ーー流石に、もう陛下もお仕事終了かしら?

陛下の執務室前に行くと、ちょうどアドラメレクが部屋から出て來たところだった。

「あ! くじゃく! へーかと、えっけん、できりゅかしら?」

ちょうど良いところに! と思って彼を呼び止める。

「……だからその呼び方は……」

出會いざまに、『くじゃく』と呼ばれて肩を落とすアドラメレク。

「……だって、ラクなのよね」

そう。私はの舌の短さゆえなのか、どうしても噛む。

そして、彼の名前は長すぎるのだ。

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(一度呼んだら、楽すぎて癖になったということでもあるけど……)

「まあいいでしょう。……陛下は、あなた方のお帰りをお待ちですよ。仕事を任せておいて、先に休まれるような方ではありませんからね。ところで、そのお客様は?」

ガレスが抱いている巨大な狼を見て、怪訝そうな顔をする。

「あのむらの、しゅごじゅうよ。ゆーしゃに、きられて、たおれていたの。だかりゃ、ちりょうして、ほごしました」

「調査をお命じなさった村の水源近くに住んでいたようで、勇者により毒、呪詛狀態に陥った彼のが、水源を汚染していたようです。ただ、彼は長い間怪我を負いを流しすぎましたので、保護が必要と判斷して連れてきた次第です」

私の拙い説明に、マーリンが続けて詳しく説明を足して、フォローしてくれた。

「なるほど、では、結果報告に加えて、彼の保護の許可を頂かなくてはね」

アドラメレクは、私達が任務を全うしてきたことと、その説明に満足したのかニコリと笑い、一度閉めたドアのドアノブを押して開けてくれた。

「陛下。リリスが戻りました」

「そうか。れ」

アドラメレクに答える陛下の聲は、いつもの室許可の時よりも、幾分らかい口調だった。

その聲に促されて、私達は狼も連れて室した。

「これは見事な狼の守護獣だな」

がこびりついていなければ、は白に白銀混じり。とてもしかったことだろう。

「はい。このこが、ゆうしゃにきられて、そのどくと、のろいを、すいげんにながしてたのれしゅ」

「長くを流したらしく、が悪い。他者による手助けが必要だ。だから、連れてきた」

私の言葉に、ガレスが保護して連れてきた理由を告げた。

「この獣は、長くあの雙子の村を守護してきたらしく、村の者もしているようです。ですから、城で丁重に世話をして、無事に住処に返してあげて頂きたく……」

フェルマーが陛下に彼の今までの功績を伝え、そして、無事に返してしいと陳した。

陛下は、その言葉に深く頷いてくださった。

「……うーん、そうすると、従魔の管理を一手に引きける宮廷テイマー達が適任ですかね? 彼らは、手負いの獣の面倒を見るのに長けています。いかがでしょう、陛下」

「そうだな。彼らは優秀なテイマーだ。多くの獣の生態を知しているから、療養時の食事なども、そのものに合うものを見繕えるだろう」

アドラメルクの提案に、陛下が同意した。

「では、テイマーの責任者を呼びましょう」

そう言って、アドラメレクは部屋の外で警護している警備兵に、その旨を伝えた。

そして、テイマーの責任者をしばし待つ。

「……お待たせしました。陛下」

陛下のお呼びと聞いて、急いできたのだろう。彼の呼吸は隠してはいるものの、わずかに荒かった。

「……と、これは見事な狼……。いや、その中でも特殊な『フェンリル種』ですかな?」

疲れているのかと思いきや、ガレスが一旦床に寢かせた狼の元にやってくる。

そして、興味深そうに、ただし、眠っているので起こさないようにしながら観察をする。

「やはり、希種の『フェンリル種』ですね。もう、この魔族領でも滅多に目にすることはありません! 無事に助けていただいて良かった……!」

彼曰く、『フェンリル種』とは、伝説のフェンリルそのものではない。けれど、狼が突然変異して、大きく、そしてしくなったものを、伝説の『フェンリル』の名を冠して呼ぶのだそうだ。

まあ、大が皆略して『フェンリル』と呼ぶのだそうだが。

「彼の世話はぜひ私にやらせていただきたい!」

種の保護も我々の仕事だと、彼が熱心に陛下に申し上げた結果、彼らに面倒を見てもらうことになったのだった。

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