《無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第76話 、フェンリル狼と流する
フェンリル狼を城に保護することになって、私は日々様子を見にいくことにした。
彼は、飼育室の特別療養室に収容されている。
元々あった設備で、病気や負傷中の従魔が、他の獣と離れて靜かに靜養できる環境なのだそうだ。
私は、思い出すのだ。
村人達の、わたしたちに向けられた、彼の無事を願うその瞳。
それに応えなきゃ、と。
私は日々せっせと通う。
看護擔當のテイマーに聞くと、フェンリル狼は完全食なのだそうだ。
「これは、なぁに?」
どう見ても、生とは思えないよくわからない代が皿に盛られている。
「これは、よく叩いてミンチにしたに火を通して、更にペーストにしたものですよ。百%の流食ってところですかね」
テイマーは、私の素樸な疑問にも丁寧に応えてくれた。
生を食べる生きに火を通したを與えるということに、私は不思議に思った。
「どうして、ひを、とおすんでしゅか?」
療養室にろうとした擔當者の服の端を握って、引き留めた。
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私は、悪くいえば仕事の邪魔しているのだが、擔當者は、にっこりと笑って立ち止まってくれた。
「生にはね、ものによっては病気を引き起こす小さな生きが潛んでいるんです」
私は初耳だったので、びっくりして目をパチパチさせる。
でも、確かに、私達自も生ではおを食べないわよね……。
「かねつすれば、それがいなくなりゅ?」
そう尋ねると、「ご名答です」と言って、頭をでられた。
「……っと、將軍閣下に失禮を。同じ年頃の娘がいるもので、つい……」
パッと頭から手が離れて、申し訳ありませんと頭を下げられる。
「だいじょうぶ。なれてましゅ!」
私のその言葉に、くなった擔當者の表が緩む。
「まだ、彼はの機能が完全に回復していない。普段なら自力で殺せる混ざりでも、今は弱ったところを突かれてしまうかもしれません。だから、加熱するんですよ」
なるほど。そして、まだ消化がいい方がいいからペースト狀まで加工するのかしら?
すごく手間隙をかけて丁寧に面倒を見てくれている。
ーーこれなら、きっと元気になるわ!
「このこのこと、よろしくおねがいしましゅ!」
私は安心して、テイマー達に彼の療養をお任せすることにした。
◆
あの調子なら、すぐにあの子は元気になるわ!
私はご機嫌でスキップしながら廊下を進んでいた。
そんな時に、行こうとする先から、警備兵に大聲で呼ばれた。
「リリス様! 陛下がお呼びです! お急ぎとのことで……」
呼びに來た警備兵が私に追いついてくる。
「失禮します! お連れします!」
私の足では、陛下をお待たせすると判斷したのだろう。
彼は私をサッと抱き上げて、早足で歩き出した。
ーーそんなに急の事態?
再び何か問題が起きているようで、心配になった。
だって、まだこの土地で悪さをする勇者一行も見つかっていないのだ。
そうして、私は警備兵に連れられて、陛下の執務室前に到著した。
「ありがとう、ございましゅ」
にこりと笑いかけて警備兵にお禮をすると、はにかんだように、彼は橫に首を振った。
「急いでしいとの、陛下からのお達しでしたので。では、室許可を取りますね?」
その言葉に私は許可を出すために縦に首を振る。
警備兵が執務室の扉をノックする。
「リリス様をお連れしました!」
「れ」
扉の向こうから、いつもの陛下の聲がする。
警備兵は、ドアノブに手をかけて扉を押し開けて、私に、どうぞ、と手で室を促してくれる。
そして、私が室すると、彼はにこりと笑みを浮かべて扉を閉め、そのまま外で警備の任に戻ったようだった。
部屋にると、アスタロト、アドラメレク、ベルゼブブと、四天王勢揃いだった。
「およびでしゅか?」
部屋にり、陛下の執務機の前に立つ。
「ベルゼブブの調査で、また地元の信仰対象になっている獣が勇者にやられたらしい」
そう言って、陛下が執務機越しに、一枚の紙を私に手渡してくる。
「ハクジャと、リュウ……」
地図には、場所を表す赤いバッテンマークと、その獣の名前が記されていた。
「そして、竜を倒した勇者は、魔王城を目指していると、ベルゼブブの配下の監視で判明した」
「……いままでは、ちからだめし、でしゅか?」
なんとなく、そんな想定ができて、私は嫌な気分になりながら陛下に尋ねる。
「……そうらしいな。力試しのために、『土著神』のように大切にされている存在、彼からしたら『邪神』にすぎないのだろう。それに挑んで、己が勝てば満足、だったようだな」
いままでの勇者の向を部下の目を通して監視してきたベルゼブブが、吐き捨てるような口ぶりで言う。
「『倒す』ことが目的で、『殺す』に至っていないのが幸いね」
アスタロトも、忌々しげな口ぶりだけれど、いずれの守護者達とも、死に至ってはいない事を告げた。
「リリス。仕事は前回と同じだ。傷つけられた白蛇と竜を回復し、程度によっては保護してきてほしい」
陛下が私に、真顔で指示をする。
「わかりまちた!」
地元の人たちにとっては大切な守り神。ちゃんと救ってあげなきゃ!
私は、気を引き締めるのだった。
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