無雙 ~仲間に裏切られた召喚師、魔族のになって【英霊召喚】で溺スローライフを送る【書籍化&コミカライズ】》第85話 勇者、世界初の外科手ける

まずは、ハヤトの施をすることになった。

彼の周りに、ベリト、フェルマー、フィレモンが立ち、その周りを私や所員を中心とした観客が囲む。

私は背の関係で、マーリンに抱っこしてもらっている。

まず、【視(スキャン)】という特殊スキルを持つ所員が、ハヤトのを掌でなぞりながら、異の存在する場所を探す。

その手が、お腹の中央で止まった。

「ここに、あります」

その言葉に、ベリトが頷いた。

所員の手で、ハヤトは上著をがされ、上半にされた。

「切開をはじめます。種は胃の腑に付いている。そこからの除去を目指します」

ベリトが説明をした後、ハヤトの腹にナイフをあてて、切開しようとしたその時。

「浄化(ピュリファイ)」

フェルマーがそう唱え、まさに切ろうとしたナイフと腹部を綺麗にした。

「おっと……」

ベリトの手が止まる。

「最後にハイヒールをするので、気にしすぎかとは思いましたが、念のために施しました」

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にっこりと笑いながら、フェルマーが告げた。

「まあ、初めての試みです。注意できることはしたほうが良いでしょう。……ご配慮、ありがとうございます」

ベリトが気を取り直して、フェルマーに禮を言う。

「では、改めて、はじめます」

プツン、とベリトが手に持つナイフが、腹部の皮に傷をつけ、そしてそのまま、つーっとを覆う皮を切り裂いた。

不思議なことに、一滴のすら零れなかった。これは、時魔法のせいなのだろうか?

ベリトは、いきなり胃の腑や余計な臓を傷つけないように、慎重に切開する深さを調整する。

そして、幾度か、丁寧にを切り進めた後。

「閉じないように抑えて」

ベリトの指示をけた助手役が、切った腹部を金屬のヘラのようなもので、両側から抑えた。

「胃の腑が見えたか」

フィレモンの言葉に、私はそれが胃(・)と呼ばれる臓であることを認識する。

『災厄』との戦いに參加してきた私は、確かに、臓まであらわになった怪我人を見たことはある。

でも実際、ここまで綺麗な狀態で臓を見ることは初めてなのだ。

「……ッと。そういえば、特に食事制限もしていなかったから、食べたものが胃に殘っていますね」

胃を切開したベリトが眉間に皺を寄せる。邪魔なんだろうな。私からも、胃の中の狀態があまり綺麗には見えなかった。

「手伝って。を取り出す」

新たに助手が加わり、手元をフェルマーに浄化してもらう。

そして、金屬製ので、胃のを除去するのだった。

「……これで、中の狀態が見やすくなった。……って、これか!」

ベリトが、息を呑む。

そこには、胃の壁とも言える場所に、まるで噛み付くようにも見えるように食い付いた、種があった。そして、胃に食らいつく短いの他に、恐らく長いのであろうと思われるも多數そこからびていた。

「これを、どう除去するか……」

想定はしていたものの、その『喰らい付いて離れない』とでもいう様子に、除去方法を悩んでいるらしい。

ベリトが軽くうめいていた。

「……これを植だと見立てれば」

皆が沈黙する中、フィレモンが口を開いた。

「この胃に喰らい付く小さなは、から栄養を奪っている可能がある。そして、種にも長を促す栄養素が含まれていると考えるのが、妥當な線だろう」

そして、一度言葉を區切ってから、再び論じ始める。

「脳を目指して長くびるは、栄養素を元に長する枝だと考えれば、こちらは種と種を支えるを除去すれば、枯れるのではないか?」

「そうですね……。まずは、種とその付近のを除去、そして、後は【視(スキャン)】能力者に経過観察をさせましょう」

ベリトが一度止まった手の方針を立てると、フェルマーが頷いた。

結局、胃の壁に喰らい付く小さなを一本一本丁寧に抜き取り、長くびる(枝?)は切斷して種との繋がりを斷ち切った。

ハヤトのと共に、フィレモンの時魔法の影響をけているためか、その悪魔の種が抵抗を見せることもなく、除去作業はスムーズに進んだ。

そうして、種を取り出し、取り出した種を破壊した。

後は、切り開いたを元に戻すだけだ。

「時魔法と回復魔法って干渉し合うのでしょうか?」

そこで、フィレモンに顔をむけ、フェルマーが首を傾げた。

「時を止めていても、外的要因には影響をけたはずですが……。試しに回復してくださいますか?」

その言葉に頷いて、フェルマーがハヤトの腹部に手をかざす。

「ハイヒール」

フェルマーの手のひらからが溢れ出て、手によってあらわになった部が塞がっていき、最後には、手前の狀態に戻った。

「よかった。ときがとまったままでヒールできないと、いたいものね」

私は、彼が痛みをじる事なく全てが終わったことに、ほっとした。

そうして、殘りの二人も同様に種の除去手を施され、経過観察をすることとなったのだった。

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