《「もう・・・・働きたくないんです」冒険者なんか辭めてやる。今更、待遇を変えるからとお願いされてもお斷りです。僕はぜーったい働きません。【漫畫1巻+書籍2巻】》16 落日のギルド2

貴族が夜會に浮かれて、冒険者達がネームド討伐に沸き立つ歓聲が夜空に響き、寢息へと変わると爽やかな朝が訪れた。

一夜明けて

閑散とした冒険者ギルド。

不穏な風が吹き始めていた。

いつもなら、どんな二日酔いでも合同ミーティングで自分の薫陶をけたメンバーだけは出てくるはずだ。

それが今日は誰もこない。

「やけに靜かだな。誰も出て來ないようだが、久しぶりのネームドだったから、まさかまだ飲んでるのか?」

仕方ない奴らめとギルマスはマスタールームで椅子にふんぞり返りながら愚癡る。

このギルドのメンバーはゾンビのように眠らずに働き続けるなんてのはよくある事だから、まさかエクスの長続きしすぎたバフ魔法が切れたため普通にけなくなっているとは、予想出來なかったのも仕方ない。

コンコンと、思考をす音がマスタールームに響く。

「ギルマス、執事イエスマンさまがお見えになりました。エクスさんへの指名を停止しているとお伝えしたところ凄くお怒りになっております」

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「アポ無しでか?くそっ!あの欠陥魔法使いめ、手間をかけさせおって」

ラードリッヒ子爵家はお得意様だ。

主に、エクスへの指名依頼がギルマスの懐を潤している。

貴族というのは作法を気にするため、たとえ執事といえども今までアポなしで來るなんて事は無かった。

もしかしたら、し気構えが必要な案件かもしれない。

「これはこれはイエスマンさま、今日はいったいどうしたのですか?」

酷く真っ赤な顔をしているイエスマンに、ギルマスは平然と微笑む。

「エクスを至急、連れてきなさい!辭めたというのは本當ですか?」

「いえ、彼はし休んでいるだけです」

平然と噓をつく。

辭めた事は伏せているため、本人から聞いたのだろう。

「ならば、すぐに再開させなさい。それともギルドでトラブルがあったのですか?まさか・・・・労働條件に問題があったとか」

大正解っ!

しかしながら詰め寄るイエスマンにこの真実が見すれば大口顧客を失うため苦境に立たされたギルマスは大博打を打った。深い考えはないが反的に攻撃を攻撃で返した。

しかも厚顔無恥に大きな聲で言い放つ。

「そうだ!彼はもう辭めたんだ。主に子爵さまの無理な要求のせいでな」

執事の顔がピクリと歪む。

これが、なんと通った!

おおっやはり貴族のせいだったかと、自分が1番搾取しておきながら、どんどんとギルマスの中で自己改変が行われていく。

罪をりつける技に優れているからこそ、彼はギルマスにまで昇りつめていた。

「くっ…分かりました。今回の業務には特別に金貨10枚を補填しましょう。さらには高待遇で専屬を用意するつもりがあると伝えてください」

降って湧いたこの味しい話に自分も1枚噛みたいとギルマスは即座にく。

「あー、彼は不信を抱いているので、そのまま金貨を渡しても恐らくは解決しないでしょう。私が間にらせて貰ってもよろしいか?報酬は金貨1枚です」

足元を見られた執事の視線が剣呑なになるが、斷れる話では無く了承した。

「分かりました。その條件をのみましょう。その代わり失敗は看過出來ませんよ。すぐにきなさい」

「ご安心を、イエスマンさま」

ほっとした顔の執事イエスマンを、微笑みながら玄関までお見送り。

執事の後ろ姿が完全に姿が消えたのを確認すると、ギルマスから微笑みという仮面が剝がれ落ち愉悅へと変わった。

「くくくっ…!笑いが止まらんな。あの欠陥魔法使いが思わぬ臨時ボーナスになるとはな。金貨11枚(・・・・・)。これは貯金と合わせてマイホームを買おうか」

ギルマスは躊躇いなく自分の懐へと渡された金貨袋をオールイン。間にり全てをかっ攫う。こういう躊躇いなくけ取る力が無いと偉くはなれない。

「執事のイエスマン様が來たときには肝を冷やしたが、私の手腕により最善な結果を勝ち取ったようだ」

このまま別の國へと逃げればギルマス大勝利だったのだが、自分の策を信じたためにチャンスを逸してしまう。

輝く金貨に宿る魔力が判斷を鈍らせたのかもしれない。

カウンターに戻り、暇そうな付嬢に仕事を渡す。ちょっとしたお使い。

「欠陥魔法使いを呼び戻してこい」

「エクスさんは戻らないと思いますが?」

嫌な顔をする付嬢。

「まぁ聞け。あの欠陥魔法使いもF級に落とされたのがよほどショックだったのだろう。弛んでいたため試練を與えたつもりだったのだが、最近の若者は弱でいかんな。とはいえ、まあしやり過ぎたか」

「は、はあ?」

ギルマスは自信たっぷりに笑う。

「試練のネタばらしをして元のC級に戻してやると伝えてこい。二度と降格もナシだ。1月後に、さらにB級へ上げてやる。これであの欠陥魔法使いも泣いて喜ぶだろう」

「それなら。分かりました。行ってきます」

ビシッと敬禮した付嬢は軽やかに、エクスに會うため駆け出した。

誤字報告ありがとうございます。

見返りなどいらぬっ名も知れぬままの英雄で良いという方以外は想欄で指摘ください。心の中で謝を捧げていますが、システム上屆きません。

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