それから、3日。

きがあった。

まず始めにいたのは意外にも王家。

ラードリッヒ子爵家により、王家の末娘に獻上された謎の魔道？は、今も魔石なしで冷たい風を吹き続けていた。

ハッキリ言って不気味以外の何でもない。

當然、王家は裏にいるこのぶっ壊れ魔道？の製作者の調査にいており、ようやくその全容が明らかになったのだ。

「報告が纏まりました」

隠により調査報告書を渡された爺やは、大魔導師エクスについて、ほぼ正解を摑んだのだが、２行目ですぐに顔をしかめた。

「ご苦労。・・・この報告書は真(まこと)なのか？」

「真に座います」

《エクスのギルドカード》

rank:抹消

title:欠陥魔法使い

name:エクス

sex　:男

age :19才

data:160cm,45kg

job　:魔導師

命題(テーマ)　【効果時間延長(エクステンション)】

犠牲(カルマ)　〈初級魔法しか使えない〉

（なぜ抹消されている？いったいエクスは何をやらかした？しかもギルドのつけたこの蔑稱は何だ？）

続けて、２枚目を捲る。２枚目には斷片的な報から、エクスの持つ推定能力が報告されていたのだが、報を得る毎に爺やのに震えがはしった。

「ぬぐぅ、コヤツは人間なのか？」

「はい、人族です」

《エクスの推定能力》

謎の冷たい風が吹く魔道

永遠氷

湧き続ける水壺

消えぬ燈り

溫泉の霊との契約

家妖の使役

バフによるゾンビ効果

バフによる仮初の命

大森林警ら業務の影のエース

スライムウォーターを常飲（不味い）

「これは真か？」

「真に座います」

を捨てた隠からは平坦な聲が返ってくる。

「あ、いや疑っているわけではないのだが。　ううむ、攻撃力は無さそうなものの王家に弓を引かれると不味いな。ゾンビ、仮初の命、黒魔法の可能もあり非常に不味い」

最後の頁、３枚目に手をかけた。

王家は人心掌握のプロだ。

世の中には金でかない人間がいる事を知っている。変わり者の魔導師などその典型だ。

名譽や権利や特殊素材などは、いくら金を積んでも手にらない。

そんな本人の隠れたを暴き、ベストなタイミングで與えてコントロールするのが、王家のお家蕓である。

それを可能にするのが《願読み取り》という王家の寶である。

あくまでもその時の願なので変わる事はあるが確度は高い。

今回も、使った。

よって３枚目は、とても重要だ。

委細不明の規格外の大魔導師に、いったい何を要求されるのやら。

國の滅亡とか、魔王の再來とか、賢者の石を求められると非常に不味い。

「どうか、この國に災いを呼ばぬ人材である事を祈るばかり。抱え込みたいが、エクスの人像すら読めないのに、その要求なんてさらに予想がつかない。エクス、お主は何を企んでおるっ！！」

ごくりとツバを飲み、爺やは天に祈りながら、３枚目を開いた。

《エクスの願》

もう・・・・働きたく無い

「んんん？？？…これは真か？」

「真に座います」

本日、三度目の真発言。

もはや大安売りである。

爺やはドッキリであってしいと悪戯好きの第三王ルーラを探すが、騒の種を持ってきた姫様は何処にもいない。

隠には、平坦な目でじっと見られる。

「これは、いったいどうしたもんかの〜？この歳になっても世界は驚きに満ちておるとは」

「如何(いかが)致しますか？」

心が揺れない隠は、平坦な聲で次の指示を仰ぐ。

「如何も何もエクスは働きたくないのだろ？こんなの爺にどうしろというのですか、姫様ああ！」