《【書籍版4巻7月8日発売】創造錬金師は自由を謳歌する -故郷を追放されたら、魔王のお膝元で超絶効果のマジックアイテム作り放題になりました-》第6話「勇者の世界のアイテムを作る」

今日、3話目の更新になります。

もしも、今日はじめてお越しの場合は、第4話からお読みください。

「……あった」

さっき見つけた『健康グッズ』の中に、冷えの人のための回復アイテムがあった。

四角い桶のような形をしていた。

両足をれるスペースがあって、前の方にる文字が表示されている。

「名前は『溫水足湯桶(フットバス)』か」

説明文には、こんなふうに書かれている。

──────────────────

『力強い水流と振が、あなたの足を溫めます。

流をよくして、足の冷えを解消! 全ポカポカ!

さらに足のツボを刺激して、気の流れを良くする効果 (個人差があります)も!

使ったその日から、冷えとは無縁な快適生活をあなたに!』

──────────────────

「さすが勇者がいた世界の本だ。説得力があるな」

「あの……トールさま。一なにを?」

「せっかくこのような倉庫と素材をいただいたので、このアイテムを作ることにしました」

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俺はメイベルに、本のページを見せた。

「これは……足をれる桶(おけ)……ですか?」

「作るのを手伝ってくれますか?」

「は、はい。もちろんです。なんでもおっしゃってください」

桶は掃除道のところにあった。

金屬製の大きなものだ。これなら足を揃えてれられる。

「じゃあ、これを洗ってきてもらえますか?」

「は、はい」

メイベルは桶を手に倉庫を出て行く。

この『通販カタログ』によると、『溫水足湯桶(フットバス)』とは桶の中でお湯を振させるものらしい。

となると、必要なのは火の魔石と風の魔石だ。

確か倉庫のこのへんに、魔石のついた盾があったな。

探したらすぐに見つかった。

調べてみると──

『炎の盾』

敵の攻撃に合わせて、炎を噴き出す盾。

部の魔機構(まじゅつきこう)が完全にこわれているため、作不可能)

『風の盾』

敵の矢を吹き飛ばす暴風を起こす。

部の魔機構が完全にこわれているため、作不可能)

こわれているならちょうどいい。

魔石だけもらおう。

「『創造錬金(オーバー・アルケミー)』起──」

『創造錬金』スキルを起した。

このスキルは、質を変化させることができる。

スキルを起した狀態で盾にふれると──

ぐにゃり。

盾がやわらかくなった。

金屬なのに、ふにふにしている。

この『創造錬金』は、俺が素材と見なしたものは、自由に変化させられるみたいだ。

火の魔石のまわりをぐにぐにと変形させて、魔石を引っ張ると──外れた。

同じようにして、風の魔石も回収する。

盾は、『溫水足湯桶(フットバス)』の素材にしよう。

「お待たせいたしました……って、えええええええっ!?」

「どうしましたか、メイベルさん」

「そ、それ……倉庫にあった盾ですよね?」

「大事なものでしたか?」

「いえ……でも、なんで、やわらかくなってるんですか?」

「どうぞ」

俺が差し出すと、メイベルはやわらかくなった盾に手をばした。

ふにふに、ふにふに。

やわらかいを楽しむように、丸めた盾を突っついてる。

「な、なんでしょう、この覚。小さいころに泥遊びをしたときのような……」

「桶はきれいになりましたか?」

「は、はい」

「ピカピカですね。ありがとうございます」

必要なのはこの桶と、やわらか盾、火の魔石と風の魔石だ。

これを素材にして、異世界のアイテムをコピーしよう。

「『創造錬金』を起。勇者世界の健康グッズ『溫水足湯桶(フットバス)』を作する」

空中に『フットバス』の形が浮かび上がった。

桶と、やわらか盾をはめ込むと──桶のかたちが『フットバス』のような四角形に変わっていく。

『創造錬金』が教えてくれる。

次は火の魔石と、風の魔石をはめ込めばいいらしい。

それが力になり、お湯と、振を生み出してくれる。

イメージのまま、俺は魔石を桶に埋め込んでいく。

さらに集中。

魔石から魔力があふれ出して、水に溶けていくところをイメージする。

たぶん、勇者の世界の『溫水足湯桶(フットバス)』と、まったく同じものは作れない。

文明のレベルが違いすぎる。

だけど、似た効果を生み出すものは作れそうだ。

勇者世界のアイテムの原理はわからない。

だからこっちの世界では、魔力と魔石を利用する。

力強い水流と振が、メイベルの足を溫めて、全流を良くして、冷えを解消してくれるように。さらに足のツボ──意味はわからないけど──を刺激して、快適にすごせるように──

『イメージを確認。アイテム生可能』

目を開けると、『通販カタログ』に載っているのとそっくりな『溫水足湯桶(フットバス)』が見えた。

功だ。

「『創造錬金(オーバー・アルケミー)』──完了」

宣言すると、四角くなった桶が、ほのかなを放った。

表面にれて、調べてみると、

──────────────────

『溫水足湯桶(フットバス)』 (屬:火・水・風) (レア度:★★☆)

火の魔石によって、部の水を溫めることができる。

風の魔石によって、水流と泡を作り出すことができる。

魔石は消耗品のため、定期的に換が必要 (年に1度。新品に換してください)。

洗うときは真水で。洗剤は使用不可。

理破壊耐:★★★ (魔法の武でないと破壊できない)。

耐用年數:25年。

──────────────────

なるほど。俺が作ったものだから、詳しい報もわかるのか。

「……あの、トールさま」

「はい。メイベルさん」

「もう完したのですか?」

「そうですね。できたようです」

「作るとおっしゃってから、10分も経ってませんけど」

「材料が揃っていてよかったです」

「あの……帝國の錬金師って、皆さんこんなじなのですか?」

「錬金師の知り合いはいないのでわかりません」

父親は「調子に乗るな。お前くらいの錬金師はどこにでもいる!」って言ってたけど。

錬金師の工房にはれなかったから、よくわからないんだ。

「結構、たくさんいるんじゃないかな?」

「たくさん……トールさまと同じ力を持つ錬金師が、たくさん」

「そもそも俺が作ったのは、勇者の世界にあったもののコピー品です。驚くことないですよ」

「勇者のアイテムのコピーを。こんな、短時間に……」

「メイベルさん、顔が青いですよ?」

「い、いえ。大丈夫です」

メイベルさんは、メイド服のを押さえて、

「これを、私が使ってもいいのですか?」

「いえ。あげます」

「私に!? コピーとはいえ、勇者の世界のアイテムを!?」

「とりあえず水場に案してください。使い方を教えます」

そんなわけで、俺とメイベルは、城の水場に向かうことにした。

第7話は、明日の午後6時ごろに更新する予定です。

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