《【書籍化】馴染彼のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった》もう他人なのだと再認識させる

「せ・ん・ぱ・い」

街燈の下、公園の壁に寄りかかっていた花火が、勢いをつけてを起こす。

そのまま、もったいぶった足取りと態度で、俺の前までやってきた。

気味が悪いほどの笑顔を浮かべて。

「遅かったですねえ? 寄り道したらだめって言ったじゃないですかぁ。もう忘れちゃったんですかぁ? ――って、ちょっと! 無視して通り過ぎるとかありえないんですけど!?」

俺の前に回り込んだ花火が通せんぼするように両手を広げる。

やれやれ……。

「何?」

「何じゃないですよ! 私がわざわざ先輩を待っていてあげたんですよ!」

そういえば花火はいつもこの調子で「してあげた」という言い方をしてきた。

こうやって、こちら側に「してもらった」「申し訳ない」という気持ちを塗り込んでくるのだ。

まあ、今日はもう、そんなふうに思わないけれど。

だって、待っていてほしいなんて頼んでないし、なんなら今、俺は心底げんなりしている。

それにしてもなんで花火はこんなふうに俺に付き纏うんだろう。

俺が好きだから別れたくない――なんてことは100%ありえない。

散々、「俺があまりにダメ人間だから、同で付き合ってあげている」と言っていた花火だ。

……となると、機嫌が悪い時のサンドバッグを逃したくない辺りか。

そうとしか考えられない。

ほんと俺、なんでこんなの下僕サンドバッグでい続けたのか……。

花火も花火だけど、俺も俺だよね……。

自分自にがっかりしながら、ため息を吐く。

「もう一度はっきり言うけれど、俺たちはもう他人だから。こういうことされても困る」

「……っ。それってつまり……本気で私と別れるつもりですか?」

花火は笑顔のままだけれど、目が全く笑っていない。

「そう。言ってる」

「私と別れたりしたら、先輩はまともに生きていけませんよ」

「花火といるほうが俺はまともじゃなかった」

「先輩ってば可哀想。今日一日、ちやほやされたぐらいで、の程がわからなくなっちゃったんですねえ。そういうところがだめなんですよ、先輩は。見た目だけで価値を判斷して近づいてくるような奴らなんて、カスに決まってるじゃないですか。それもわからないような先輩が、私なしでどうやって生きてくんです? こんなふうに言ってくれる人なんて、他にはいませんよ。わかってます?」

別に今日、寄ってきたクラスメイト達に対して完璧に心を許したわけではない。

そのぐらい俺だって花火に言われなくてもわかっている。

でも、子供のころからずっと、すべてにおいて無価値だと花火に言われてきたから、見た目だけでも褒められたことは素直にうれしかった。

そういうのってきっと、ひとつのきっかけなんだ。

せっかくできた接點から、しずつ信頼できる相手を探していけばいいだけだし。

そういうことすべて、俺はもう自分自で判斷したい。

花火の決めたとおり、言いなりになっているのではなく。

「先輩みたいな欠陥人間には、指示を出してくれる人間が必要なんですよ。ほら、はやく謝ったらどうです? 先輩が空気の読めない行で私をイラつかせることなんてしょっちゅうなんで、私も慣れてるんですよ。先輩のおかげで、おおらかな心で許すことを覚えられましたし。でもちゃんと真心を込めて謝って下さいね?」

「それは無理だよ。だって微塵も悪いって思ってないから」

「……っ」

「今の話を聞いて、ますますその気持ちが強くなった。俺の人生に花火はいらない」

花火は大きな目を見開いて固まった後、兇悪に顔を歪ませて引き攣ったような笑い聲をあげた。

「あ、あはっ! ほんっっっと、むかつきます……。先輩みたいなクソ男、こっちから振ってやりますよ!」

「よかった。これで意見が一致したし、こうやって関わることも完全になくなるわけだね」

「……」

花火が髪を振りして、俺を睨みつけてくる。

「もういいだろ。そこどいて」

「これだけ馬鹿にされたこと、絶対に忘れませんから。――先輩、覚えててくださいね?」

花火は晝間、渡り廊下で俺に置き去りにされたことがよほど屈辱的だったのか、俺が立ち去ろうとする空気を出した途端、慌てて去っていった。

もちろん俺は振り返ったりしない。

ちなみに花火が言った「覚えててくださいね」という言葉は、秒で忘れてやった。

でもとにかく、花火側も別れることをれてくれたのだから良かった。

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