《【書籍化】馴染彼のモラハラがひどいんで絶縁宣言してやった》俺、おまえのこと嫌いだから
俺たちはずいぶんと話し込んでいたみたいで、気づけば西の空が真っ赤に染まっていた。
最近かなり日がびたから、もういい時間のはずだ。
「そろそろ帰ろうか」
俺がそう伝えると、雪代さんは一瞬寂しげに瞳を伏せてから、「うん」と言った。
今の表って……。
「ねえ、一ノ瀬くん。……もしよかったらSNSのアカウント教えてほしいな」
そんなことを言われたのは初めてだったから、驚いて雪代さんを見返す。
花火のふりをして連絡をとった大道寺絵里花を除外すると、俺は今までどのSNSでも花火以外とフレンド登録したことがなかったからだ。
花火だってブロックしてしまったしな。
あれ以來、俺のスマホはアラーム以外で鳴ることがない。
「一ノ瀬くん?」
「あ、ごめん。今誰ともSNSで連絡とってなかったなあと思って」
「そうなの? じゃあ、やめといたほうがいいかな……」
「いや、まさか! なんかあったら遠慮なく連絡してください」
なんとなく照れくさくて敬語になってしまった。
そんな俺に向かって雪代さんがくすぐったそうに笑う。
「なにかなくても話したくなったら連絡していいですか?」
「……! も、もちろん」
「やった!」
雪代さんは、子供みたいなあどけない聲で、心底うれしそうに聲を上げた。
そんな雪代さんを前に、思わずドキッとしてしまった。
もともとかわいい子だとは思ってたけど、今のはそれまでとはどこか違った気がした。
――その後、雪代さんを家の前まで送り屆けて俺が家の近くまで戻ってくると、いつか待ち伏せされた公園の前に今日もまた花火の姿があった。
どうやら花火は、まだしばらく俺に纏わりつくつもりでいるようだ。
まったく、よく嫌ってる相手に対して、こんなストーカーまがいの行を取れるよね。
俺だったらそんなやつ、顔も見たくないけど。
とにかく無視無視。
「――颯馬先輩、私のこと庇ってくれたんですね」
は?
「大道寺さんと私が繋がってたことを話さずにいてくれて、ありがとうございます。私、先輩のにれてさすがに反省しました。今回のことはやりすぎだったかなって」
俺の、なんだって……?
「結局、先輩は私のことが好きでしょうがないんですよね。絶縁するなんて言ったのも、私の気持ちを確かめたかったんでしょう? あまりにの程知らずすぎて、ついついケンカを買っちゃいましたけど、もう許してあげますよ」
さすがに目を剝いて立ち止まってしまった。
俺が花火を好きって、勘弁してほしい。
何を言っているんだ。
ていうかこれは無視していい問題じゃない。
いくらなんでも否定しないと、花火は増長するだけだ。
「先輩、もうくだらないケンカ終わりにしましょ? はい、仲直りのキスを――」
「あのさ、俺、おまえのこと嫌いだから」
「……え」
「庇ったんじゃなくて、これ以上関わり合うのが嫌で黙ってただけだから」
「……な、何言って……」
おろおろして瞳を泳がせた花火が俺の腕にしがみついてこようとする。
花火の指先がれただけでゾッとして、俺は慌てて腕を振り払った。
「せんぱいが……わたしを……きらい……」
振り払われた手を見下ろして、花火が獨り言のように呟く。
俺の気持ちが伝わったならもういい。
さあ、無視無視。
俺は花火を置き去りにして、家の中に逃げ込んだ。
こうやって花火を振り切るのも何度目になるだろうか。
扉を閉めて花火の姿が消えたことでホッとため息を吐く。
「まったく、俺が花火のことを好きって……」
どうしたらそんな発想になるのか本気で信じられない。
花火が今まで俺にしてきたことで、ただのひとつでも俺から好かれるような要素があっただろうか?
ないない。
あるわけがない。
そんなものがあったなら、縁を切りたいなんて思うわけがない。
「絶縁されてるのに、その相手が自分を好きだって思えるなんて、あいつ本當にどうかしてるな……」
まあ、面と向かって全否定したから、さすがにもう勘違いされることはないだろう。
俺が「嫌いだ」と告げたときの花火のあの顔。
あれは自分が拒絶されているとしっかり理解できたという表だった。
「これなら今後はもう俺の前に現れなくなるかもしれないな」
そういう結末を期待しながら自室に向かうと、俺のスマホがピロンっと鳴った。
私が読みたい馴染ざまぁを書いてみました
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