《12ハロンの閑話道【書籍化】》別次元からの刺客(4)

世間からどう思われているのか與り知らぬところであるが、ジェイクモハメドは自己評価に於いて実に忍耐強く、そして諦めが悪い。従って馬にその質が伝播するのは彼からすれば自然なことであった。

曰く、セヴンスターズはが丈夫である、との評価についての想だ。

なるほど確かに現役競走馬として6歳はそれなりに高齢で、にも関わらず大阪杯、天皇賞春、そして二日後に控えた安田記念と短い期間で立て続けに激戦にを投じている。特にスピードの出る日本競馬では腳部に不安を抱く聲が上がるのも無理はなく、そんな中で変わらぬパフォーマンスを発揮する馬は優れた存在であると。

だからこそ一笑する。私の馬はそのようなスケールで考えられるような競走馬ではないのだ、と。

確かに? 確かに、引退を一年引きばし日本に一年滯在しての競走生活は若干、本當に僅かだけ、やりすぎたかもしれないと思わなくも、まぁなくもなかったように今だからこそ思うときもある。

種牡馬としての価値は最早不変不である。歴史的名馬であることは証明済みであり、認知済みの事。條件がやや特殊な日本競馬での競走績によって変わることはない。

ないのだが。いや、ないからこそ。

「何故勝ちきれんのだ……」

梅雨りも間近の霞ヶ浦ファーム。気た空気と新緑の香り。朝靄の向こうへ目を向ければ白ずんだ灰のセヴンスターズが僚馬である兄弟と仲良く戯れているのがめた。

思っていたよりも水が合った、というのがジェイクの率直な想である。

競走生活の中でセヴンスターズは諸外國を渡り歩いたが、これほどまでに落ち著いた様子を見せているのは、ホームを除けば初めてと言って良いだろう。そのことも疑問に拍車をかける。

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セヴンスターズは世間の評価こそ萬能の天才だが、その実明確な欠點を持った馬であることはジェイクはじめとしてトレーナー達の共通認識である。

端的に言うと、セヴンスターズは直線途中で先頭に立つとソラを使う。

(余所見をして走りに集中しなくなること。大の場合失速を伴う。人間でいうと顔を橫に向けながら走ってみると分かりやすい)

寂しがりやで臆病な格のため、先頭に立ってしまうと周囲の仲間を探してそれに並びかけようとしてしまう。しかしその質は追いかける展開では真逆の利點に変化する。優れた心肺機能とバネのような自在の後腳によって、遠ざかる先頭の仲間においていかれないよう、それまでの疲れなど無かったかのように無限に腳をばし続けるのだ。

故にセヴンスターズの勝利パターンは失速を織り込んだセーフティーリードを取るか、ゴール目前まで追走を続け、直前で差しきり勝つかの二通りになる。

速いペースでレースが流れたのなら無盡蔵の力で、緩いペースで直線を向いたのなら誰よりも速い末腳で。絶対に負けない二つの武が揃っていたからこそ、年間無敗や凱旋門賞二連覇はし遂げられたのである。

しかし日本へ來て、その片方にりが見られていた。

「キレ負け、と言うべきなのでしょうか。日本の競馬は時計の出る馬場ですから、最高速度もそれに伴って高くなります。セヴンスターズは歴史的名馬ですが、フォーミュラーマシンではありません。それ故、歐州でならば勝てていた展開でも、日本では取りこぼしてしまうのかもしれません」

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霞ヶ浦ファーム責任者、小林がジェイクの獨り言のような呟きに答える。

「むぅ。ミスター小林。それでは私の馬は日本で勝つことは葉わないのかね」

「いえ、決してそんな事はありえません。ただ、機械的に勝つことが出來なくなった、それだけのことであると思います」

「ふむ?」

ジェイクは片眉を上げ、仲睦ましげに駆け回る馬を見やる。

競馬場で見せる勇壯な姿とは裏腹ならしい様子に眥が下がる。

「そうとも」

私の馬は生きなのだ。機械ではない。ならば負けることもあるし、勝つこともできるのだろう。

寸前まで控え、勝負所で差しきって勝つ。なるほど確かに機械的に必勝パターンへはめ込んでいたと言えなくもない。それが通用しないとならば、今こそ変革の時である。

「プランはあるのかね、ミスター小林」

「皆様のお力添えを頂きたいと存じます」

「そのための我々、そして君だ。勿論力を貸すとも」

目指すべきは先頭を走るダイランドウや橫に並ぶスティールソードやストームライダー。単純だからこそ難しい。故に勝利は何よりも掛け替えなく、尊いのだ。

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寶塚記念part7

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

前年度優勝馬鉄剣君が今年もかちかちのかち~だからみとけよみとけよ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

まるいの6勝

ライダー5勝

鉄剣4勝

ミツキ3勝

ウワア2勝

トキノ2勝

パカモフ2勝

キャリオン1勝

ラプソ1勝

合計GⅠ26勝

う~ん(恍惚)

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

スターズの11勝れたら37勝だな

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GⅠ壊れる

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

グラッチェシモンさんの1勝も足して差し上げろ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

今年はフルゲートだし顔ぶれ豪華だしいいな

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

ダイランドウいたらもっと大変なことになってたな

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

ダイランドウでないん? 俺の本命だったのに

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

安田のあと割りとすぐフランス遠征って発表されてた気がするが

つか本命なら向ぐらい調べろよ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

ウワアも良く走るな

春古馬4戦皆勤だろ、よくやるぜ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

ちゃんと出てくれるのは本當に偉いと思う

走力云々じゃなくて丈夫なのもステータスだと思う

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

その年のダービー馬とオークス馬が寶塚に揃うのって初?

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

初ではないけどグレード制導の後はたぶんないんじゃないか

何にせよトキノもパカモフも陣営が男前だな競馬ファンのことよく分かってる

いいぞもっとやれでも秋も勝て

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

どっちも個人馬主だしな

今時珍しいと思ったが世代トップのサタンが個人馬主だったからそうでもないか

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

オーナーブリーダーを個人馬主に含めるのはどうなんだw

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

ウォッカがかてねーんだから3歳で出るいみねーよ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

せやろか

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

寶塚は混合GⅠにしては何故か牝馬がよく勝つからトキノはともかくパカモフはいけるんじゃないか。まあ3歳で勝つのはさすがにってじだが

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

3歳牡馬斤量53、牝馬51……割とあるような気がするが

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

どっちも騎手どうなんだ

8はキャリオン捨ててトキノに乗るのか?

國分寺はダイランドウ出ないけど51キロは乗れないだろ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

八はキャリオン、トキノには外人

パカモフは國分寺って馬主のサイトに出てたよ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

ダイランドウにパカモフにと國分寺飛越の年だな

でも皐月でエマニエル飛ばしたのはゆるさねえからな

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

後は枠だな寶塚は外あんま関係ねーけど

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

むしろ外の馬が勝つという謎のオカルトがある

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

実際8枠の勝率が一番高いしな

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

8枠……寶塚……悲鳴……

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

毎年この時期になるとその話になるからもう止めよう

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

枠発表っていつだっけ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

だいたい2時過ぎ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

んじゃもうすぐじゃん

開催最終だけどやっぱライダーにはってしいぜ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

サタン8枠は止めてくれよ頼むぞ本當に

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

なんで? 外枠勝率いいから俺は外の方がいいけど

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

(ワイ児サタンの父親の名前を思い出し察する)

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

キャアアアァァッ!

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

何気にフリート産駒で寶塚出走ってマルッコきゅんだけか

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

當人が二年前に出てるから原點にして頂點だぞ(三著)

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

相手前回より強いけど、まっ、あんときゃガレてたし今なら余裕余裕

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

おいwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

さすがというかなんというか

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

出たぞ枠順

ライダー2枠かまあまあだな

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

う~んこの

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

サタンマルッコ、8枠15番っ!w

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

ゴールドフリート産駒……寶塚……何も起こらない筈も無く……

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

いうて二年前はちゃんと走ったしへーきへーき(震え聲)

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

出ろよ、ちゃんと出ろよ

おい橫田わかってんだろうな

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

わかった!(びよーん)

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

よし、軸にするのはやめよう

俺は馬鹿だけどあの時學んだんだ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

あれは劇場型競走馬サタンマルッコ

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

とはいえさすがにもうないっしょwwwww

心配しすぎww

名無しさん@競馬板 20NN/06/28

はずだった

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すっかり慣れたと思っていたが、やはり新幹線を使っての移々堪えた。

サタンマルッコオーナー兼ブリーダー中川サダハルはやれやれと額の汗を拭いながら関係者席のスタンドに腰を下ろした。ガラスに隔てられた広々とした空間は冷房が効いており、初夏の気で火照ったにはちょうどよかった。

「もう夏も近いわね。ちょっと歩くだけで汗かいちゃうわ」

飲みを手にした妻ケイコが隣に腰を下ろす。そのケイコを中川は胡な眼差しで見た。

「よぉケイコ。今更なんだがそんな帽子、お前持ってたか?」

「持っているから被ってるんですよ。はいこれ」

「おう。いやそのなんだ……なんかバカっぽ……ぐえっ!」

ケイコの拳が飲みごと頬に押し付けられ中川は潰れたカエルのようなき聲を上げた。

日本の競馬には特にこれといったドレスコードは無いが、ケイコの裝いはロイアルアスコットにならったそれだった。ヒラヒラレースや飾りのついたつばの広い帽子にフォーマルなドレス。子供の卒業式や結婚式でも出番がなさそうなオシャレな格好だが、どれだけ似合っていようが見慣れぬ中川からすれば変わった格好である。

ちなみにケイコは適當に誤魔化したが、帽子は昨年凱旋門賞の折フランスへ行った際、當日用の洋服を一揃えさせたついでに緒で購したものである。

「ふう。でも天気がよくてよかったわ。年によってはこの時期から雨が降り出す場合もあるものね。あら……あちらにいらっしゃるの、ジェイク殿下じゃない?」

周囲を見渡したケイコはターバンの一団を見やり、ぼやいた。

「ねえあなた。挨拶に行ったほうがいいんじゃない?」

「えぇ? まぁ、そうだけどよ」

「気後れしているの? 外國の馬なんかに負けないっていつもイキ巻いてる癖に」

「いやそんなんじゃねぇよ。よし、いくぞ」

とはいえ心気は進まないようで、段差を降りる足もちょこちょこと小幅だ。相変わらず妙なところで気の小さい旦那の姿に噴出しながらケイコも後に続いた。

ターバンの集団の一角に差し掛かったところで二人の姿を見咎めたボディーガードと思しき男が立ちはだかった。

『ムムッ? ああよいよい。他の馬主の方だろう。これは失禮を』

その奧からジェイクは立ち上がり二人を迎えた。異國の言葉に口をパクパクとさせる中川に変わり、ケイコが前に出て恭しくお辭儀をした。

『お久しぶりです殿下。ドバイ以來でしょうか』

『おや、これはケイコ夫人。相変わらず外國語が達者でいらっしゃいますな』

『主婦をしていると時間があるもので、々と學ぶ時間が取れるのです』

『ははは、私の子供達にも聞かせてやりたいくらいだ。それに夫人。今日は隨分とおしい姿ですな』

『まぁ。ありがとうございます。うちの旦那ったら変な帽子だな、なんて言うんですよ』

中川はなにやらよくわからない言葉で會話を始めた妻の姿に眼を白黒させた。

『それで殿下。このヒトが私の夫です。ナカガワ・サダハルといいます』

ケイコが指し示した手の平にビクリと背筋をばした中川へジェイクは鷹揚に手を差し出した。

「ハジメマシテ、ナカガワ・サン。ジェイク、デス」

「あわわわはじめましてこんにちは」

『ハハハ、ご主人は人見知りのようだ。まるで私の馬のようです。どうですか、今日は私共と一緒にレースを観戦いたしませんか?』

「お、おいケイコ。おれは英語なんてさっぱりだぞ」

「英語じゃなくてアラビア語ですよ。殿下は英語でも通じますけど。レースを一緒に見ないかってってるわ」

「フ、フン。どうせ勝つのはうちのマルッコなんだ。どこで見たって同じだから構わないぜ」

「んもう。変な意地張らないでよ。『殿下、是非ご一緒させてください』」

栄ですとも。ささこちらへ。今日は私の馬が勝たせていただきますよ。何しろこの日のために特訓してきたのですよ』

ジェイクは中川の肩を叩きながら背中を押して席へう。何気に世の富豪がんでも葉わないシチュエーションなのだが中川にその自覚は無く、ただ言葉の抑揚からなんとなく意味合いを察知し、

「いやいやいや。今日"も"うちのマルッコが勝たせていただきますよ」

と言い放った。

ジェイクは日本語に明るくない。とはいえ馬と共に半年近く暮らしていれば、彼の明晰な頭脳は自然と現地の言語を習得していくのである。正確な言葉は理解できずとも、中川と同じく同じ馬主のよしみから言葉の意味合いを"なんとなく察した"。

『……いやいやいやいや、私の馬は最高です。もう日本の競馬にもすっかり馴染んだ頃でしょう。今日という今日は一年前の雪辱を果たす時ですとも、ええ。ええ』

「ははははは、いやいやいやいやいや、うちのはまだ負けてませんからねぇ?」

『ワハハハハ、競馬に永遠や絶対など無い事をお互いよく知っているではありませんか』

「ワハハハハハハハ」

『ハッハッハッハッハッ』

この二人、なんで言葉が通じないのに會話してるんだろう。ケイコは溜息を吐いて馬場へ意識を向けた。がんばってね、マルちゃん。と心ので念じながら。

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正直なところ、橫田はパドックでった瞬間から、いやーーな予がしていた。遡るならば枠順が発表された金曜の段階から。もっというと隣番がキャリオンナイトとスティールソードであることを確認した瞬間その覚は一層強くなったりもした。

見ている。

とても見ている。

スタンドに近い阪神2200mのスタート地點。ゲート奧で乗りをしつつも橫田は己が騎乗馬サタンマルッコの視線が気になって仕方なかった。

見られている訳ではない。見ているのだ。前を歩くキャリオンナイトを。いや、もうこれははっきりと睨んでいるのではないだろうか。睨んでいる。そうだな、認めよう。橫田は観念した。

サタンマルッコはキャリオンナイトをメンチ切って睨みつけていた。

あぁ~ん??? おぉ~ん??? スカしやがってんだてめスッゾコラ。

言葉にするならそんなじ。

首を揺らす様はチンピラのソレ。チラリとこちらを見たキャリオンナイトが息を吐いた姿が鼻で笑ったように見えたのか、益々ボルテージが上がっていた。背後のスティールソードがうんざりしているような気さえしてくる。

覚えがある。あれは後ろを歩くスティールソードに敗れた青葉賞、ジャパンカップでもそうだった。クエスフォールヴに負けた時も同じだ。敗北を理解するこの馬は自分が負けた馬に因縁を付けずにいられないのだ。多なオトシゴロといえばオトシゴロだが、もうそろそろ落ち著いてもいいんじゃなかろうか。

遠い目をしながらとりあえず宥めにかかる。

「ほらマルッコ。ゲートりが始まるぞ。レースが始まるんだ。頑張ろうな」

「ブモ」

(牛かよ)

牛も斯くやの野太い鳴き聲。とはいえゲートにればレースに意識を向けてくれると思っているのだが。

奇數番號からゲートりが始まる。⑮番のマルッコは①番のウーサワイアーと同時に導されてゲートに収められた。フンッ、と思い切り息が吐かれると同時に背中から力が抜ける。やはり自分のすべきことは見失っていなかったかとし安心する。

マルッコにとって寶塚記念は既に無理をして勝つ必要のあるレースではなくなっている。

サタンマルッコという競走馬は既に能力を示し終えた馬だ。競馬界からはレースの結果よりも無事に引退することこそを求められている。橫田もそれは理解している。

だがそれはそれとして、やれるだけの事はやるつもりでもあった。

二年前は直前のトラブルで力を発揮できなかった。4コーナーで見た景は目に焼きついている。あれだけのリードを持ちながら勝ちを逃した。今日はその雪辱も兼ねているのだから。

「頼むぞ相棒」

「ぶるるん」

奇數番號が終わり次は偶數番號。いよいよ始まる。右隣のキャリオンナイトがってきた瞬間、一瞬背中が熱くなったが頭を下げると同時に燃え上がりかけた火が鎮火された。念仏でも唱えたのだろうか。

よしよし分かっているじゃないかマルッコ。と思いかけたその剎那。

ガンッ

と音にきが止まる。

「あっ、こらテツゾーっ」

ガンガンッ

細原の慌てる聲と共に左隣のゲートから振が伝わった。

ガンガンッと二度。これはつまり、隣の馬が気にらないと意思表示した枠蹴り。左隣は何者か。ゼッケン番號⑯番スティールソードに他ならない。

"!?"

ぬらあ、と頭が持ち上がる。

耳はきっちり絞られ頭の後ろ。心なしか首筋の管が浮いているように見える。

(早くゲート開け、早くゲート開け)

最早何事も起きぬことを橫田は祈るしかなかった。

2015……寶塚……うっ、頭が……

安田より前にこっちの話がほとんど出來ていたという

次回は臺風で仕事休んだら日曜にあげると思います

日曜更新がなかったら察して下さい……

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