《剣聖の馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】》28:空は危険がいっぱいだった

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今まで一度も見たことがない景が俺の目の前に広がっている。

翼竜の背に乗り、ありえない上空を飛んでいて、眼下に大地が広がっているという景だ。

この高さからだと、歩いて半日かかる魔境の森も近くじるなぁ。

ギリギリ端の方に見える森が途切れた場所、あそこがこの前ロイドたちと行った深淵の(アビスフォール)のあるあたりか。

「フリック、そろそろ魔境の森にるから高度を落とすぞ。あんまり、高いところを飛んでると――」

ガウェインがそう言った瞬間、赤いが俺たちの翼竜をかするように通過していった。

「今のは!?」

「魔境の森からの歓迎の挨拶ってところだな。翼竜や空飛ぶ魔をエサにしてる地上要塞亀《グランドフォートレスタートル》が放っただ。あれに當たると翼竜の翼が開くし、最悪撃墜されてあいつらの餌になる」

「さっきの赤い。あの『ドンガメ』で有名な地上要塞亀《グランドフォートレスタートル》からの攻撃なんですか?」

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地上要塞亀《グランドフォートレスタートル》は王都の近郊でも何か見かけたが、地上をのそのそ歩いている様子しか見たことがなかった。

たまに討伐依頼が出るが、突起の多い甲羅が固いだけで、きも鈍く大して強力な攻撃もしてこない。

なので、冒険者たちからは『ドンガメ』と言われ、討伐は容易な魔とされていた。

「ああ、あいつら地べたからの攻撃にはめっぽう弱いが、上を飛んでるやつには最強の天敵となるんだ。わたしも何度か翼竜を撃ち落とされてるしな。って、無駄話はここまで、木の高さギリギリまで降りるぞ――」

ガウェインがそう言って高度を落としていった瞬間――

地上から視界を覆いつくすように、赤いが一斉に撃ち上がってきた。

「うわぁっ! これって!?」

まさか、ここって地上要塞亀《グランドフォートレスタートル》の生地か!?

の數が尋常じゃないんだが!?

俺は翼竜の頭を下に押し下げ、急降下の意思を伝えると、ガウェインの後ろについて赤いの中に飛び込んでいった。

「ヒャッハーーっ!! 熱烈でご機嫌なお出迎えだな!! 連中は腹が空いてるらしいぞ!!」

先行するガウェインが奇聲を上げ翼竜を上手く縦し、赤いを避けるように錐みで木の高さスレスレまで落ちていく。

うっそだろっ! あんな避け方していくのか!?

でも、やるしかない!

俺は相棒となった翼竜の首をそっとでると、ガウェインと同じような軌道を描いて木の高さスレスレまで降下していった。

「うおぉおおぉおっ!」

みしながら落ちていく自分に迫ってきた赤いが頬をかすめる。

ジュっとの焼ける音と匂いがした。

避け切れない……そうか、魔法障壁(マジックバリア)で吸収すれば!?

が放つ赤いの中を落ちていく途中で、ノエリアに教えられていた魔法の存在を思い出していた。

魔法やエネルギーでできたからを守る魔法があった。

「白きとなりて、我がを包みこめ。魔法障壁(マジックバリア)」

魔法を発させると、翼竜の前に白い半明のが展開していく。

魔法障壁(マジックバリア)が下から撃ち上がる赤いを吸収して、すぐに真っ赤に染まっていた。

この様子じゃ、すぐに吸収許容量の限界がきそうだ。

魔法障壁(マジックバリア)を展開すると、下から撃ち上がる赤いの量がさらに増えていた。

「もってくれぇええっ!」

降下する速度を一段と上げると、振り落とされないようにしっかりと荒縄を摑んでいた。

一気に魔境の森の木々が迫ってくる。

ぶつかる直前で荒縄を引くと、ギリギリで翼竜がを引き起こした。

木の高さまで高度を下げると、地上要塞亀《グランドフォートレスタートル》からの攻撃は一斉になりを潛めた。

「ふぅううううっ! なんとかなった……」

「いやあ、面白かったな。魔法障壁(マジックバリア)でやり過ごしてもよかったがな。あれじゃあ、つまらないし」

無事低空に降りてホッとしたところ、隣に並んで飛んでいるガウェインから耳を疑う言葉が聞かれた。

「え?」

「え?」

ガウェインが『あれ、なんか違った?』とでも言いたげな顔をしていた。

「まさかとか思いますけど、さっきの場所を通らなくても行けました?」

「ん? まぁ、行けるがそれじゃあつまらんだろう。せっかく翼竜に乗れるようになったんだし、あれくらい簡単に回避できるようになっておかないと、ユグハノーツの騎士たちの弓はかわせんぞ」

頭痛い……。

この人やっぱ変人だ。

それに俺はこの翼竜でユグハノーツを襲う気は全くないんですけど……。

なんでユグハノーツの騎士たちから迎撃される想定なんだろう。

まさか、昨日弓で迎撃されたのを恨んでいるのだろうか。

俺は半ば呆れながら隣を飛ぶ変人鍛冶師の顔を見ていた。

「なんだ? わたしの顔に何か変なでもついてるか?」

「いえ、ガウェイン様があの地で工房を開いている理由が分かった気がしてきました」

「そうか、フリックもついにわたしがあの地で工房を開いた高尚な意味を理解できるほど馴染んでくれたか。さすがわたしがれ合いを許した男だぞ」

古い知り合いだと言っていた辺境伯ロイドが、街でのトラブル避けるため、あの辺境中の辺境であるヤスバの狩場に工房という名の隔離施設を設けたのではと思ってしまった。

悪い人ではないから、辺境伯も街の人も扱いに困ったんだろう。

悪い人ではない、やることが無茶苦茶なだけの人なんだ。

「さて、後は採取と材料集めだ。ここが目的地だから降りるぞ」

そう言うとガウェインが翼竜から飛び降り、木を伝って魔境の森の中に降りていった。

本當に無茶苦茶だな……大丈夫かな、俺。

ガウェインと同じように隔離されたりしないだろうか。

若干の不安を殘しながらも、俺はガウェインの後を追って魔境の森に降り立った。

このまま主人公が野生人ガウェインに毒されないか不安ですが・・・。

主人公の翼竜も名前を考えてあげないと。食べられないようにw

こんなじでんな要素がり混じってる剣聖の馴染ですが今後ともよろしくお願いします。

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