《剣聖の馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】》29:採取も実は初めてだったりする
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降り立ったところは魔素木(マナウッド)が生して魔素霧(マナミスト)が濃に立ち込めた場所であった。
この前、ロイドたちと通った場所とは反対側の位置だった。
こっち側もやっぱり魔の気配が多い。
そんな魔境の森の中をガウェインが鼻歌じりに草をかき分け進んでいた。
「おっと、あったあった。まずは吸魔草を引っこ抜いて集めてくれ」
先行していたガウェインが、大きな紫の実をいっぱい付けた草を引っこ抜いていた。
俺とアルフィーネは魔討伐専門の冒険者だったので、実はこういった採取系の依頼はやったことがなかった。
冒険者は大きく3つのタイプにわかれる。
俺みたいに魔を討伐するのを専門にする冒険者を『ハンター』。
希な植や鉱などを採取収集することを専門にした冒険者を『サーチャー』。
古代跡の調査、探索、発掘を専門にした冒険者を『エクスカベーター』。
ただ、冒険者の大半は魔討伐を行う『ハンター』で、『サーチャー』や『エクスカベーター』を目指す冒険者の數はなかった。
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『サーチャー』や『エクスカベーター』の數がない理由は明快で、『ハンター』に比べ依頼數がなかったり、低額だったりして稼げないからだ。
冒険者は基本依頼を達して日々の糧を得る生活をしている。
だから、稼げないと明日の飯の心配をしなくてはならないため、依頼の多い『ハンター』になる者が多い。
俺もアルフィーネも王都で裝備を整え冒険者になった時點で、孤児院からもらった支度金は使い果たしていたので、稼げる『ハンター』として魔討伐依頼をけていったのだった。
なので、俺には植や鉱など採取に関する知識はほとんどない。
「吸魔草ってどんな効果があるんです?」
紫の実をいっぱいつけた草を見つけながら、ガウェインに吸魔草の効果を質問していた。
「こいつか? こいつは実が魔素霧(マナミスト)を溜め込む質を持っててな。その実を末にして他の材料を混ぜると、魔師の杖にはまっている魔力消費を低減する魔石になるってわけさ」
「魔石。ああ、ノエリアの杖の先に付いてたやつですね」
「そうだ。お前は魔法も使えるからな。魔石をはめ込んで魔法を使った時に魔力を低減できるようにしておこうと思ってな。他にも面白い仕掛けをしてやるから楽しみにしておけ」
吸魔草を引っこ抜きながら、ガウェインがニコリと笑っていた。
魔力は杖なしでも十分にありあまってる。
だけど、剣に魔石をはめ込んでもらって魔力の低減ができるようになるなら、その方がありがたい。
ただ、その他の仕掛けが気になり過ぎる。
ロイドの剣を見たところ、ガウェインが普通に打ってくれれば一級品の剣なので、彼の言う面白い仕掛けはいらない気がしてならない。
「普通に打ってもらった剣で大丈夫かと……」
「そんなのつまらんだろ。フリックは魔法の才能を持った剣士だ。せっかくだから、その質に合った剣を作る方が絶対にいいと思うぞ。よし、吸魔草は実だけ使う。ちなみに草の部分は魔力回復ポーションの材料らしいぞ」
「へぇ、この草が魔力回復ポーションの材料ですか」
両手いっぱいに集めた吸魔草から、紫の実をもぎ取ってガウェインの背嚢(バッグ)に詰め込んでいく。
數百個の吸魔草の実が集まった。
「草はかさばるから置いていくが、生で食っても多は魔力が回復することくらいは覚えておいた方がいいな」
そう言って、ガウェインが実を取り終わった草をもしゃもしゃとほおばり始めた。
俺も半信半疑だったが、一つ吸魔草を手に取ると、口の中に放り込んだ。
途端に口いっぱいに青臭い味が広がる。
青臭い味に我慢できずにすぐに口から吐き出した。
「ぺっ、ぺっ、これ食いじゃないですよね?」
「當たり前だ。草だし」
そう言ったガウェインは普通にその草を食べていた。
なにか納得がいかないが、相手がガウェインなのでしょうがないと思うしかない。
「さて、次は吸い茸だ。狂気豬(マッドネスボア)に寄生してるから、そいつを退治するとしよう。あいつらの住処はこっちだな」
危険な場所である魔境の森を、自分の庭であるかのように歩いていくガウェインの後に俺はついていった。
しばらくガウェインの後ろについて森の中を歩いていくと、前方から魔の鳴く聲が聞こえてきた。
「がふっ、がふっ、がふっ!」
「相手の方が、お出迎えしてくれたみたいだな。フリック、どうせなら強化魔法の練習臺にしろ。わたしはちょっと休憩しておく」
そう言ったガウェインが脇の切り株に腰を下ろし、水筒から水を飲み始めた。
そのガウェインとれ替わるように前から巨大な軀の豬が突っ込んできた。
「おわっと!!」
急に突っ込んできた狂気豬(マッドネスボア)の牙を摑み、突進をけ止める。
強化魔法で筋力を上昇させたことで、巨大な軀の狂気豬(マッドネスボア)の突進でもビクともせずにけ止められていた。
「がふっ、がふっ、がふっ!」
牙を摑まれた狂気豬(マッドネスボア)は、俺を振り払おうと前腳を踏み込んで暴れる。
だが、俺の増強された力の前に振り払うことができずにいた。
「いいぞー。がんばれー」
「ぶもおおおおぉ!」
俺に押さえ込まれた狂気豬(マッドネスボア)は苛立ったようにび、更に力を増して押してくる。
俺は牙を押さえていた手を離すと、前につんのめった狂気豬(マッドネスボア)の首をなまくらな剣で斬り飛ばしていた。
狂気豬(マッドネスボア)の首だけが先に地面に落ち、その後かなくなったが地面に崩れ落ちた。
この剣であの切り口になるなんて……。
強化の魔法はやっぱり剣の腕を上げてくれるようだ。
振り抜く力、速さがともに増したことで剣自の切れ味というよりも、衝撃波で切り裂いたようになっていた。
「綺麗な斷面だな。剣の切れ味が全くないのは見れば分かるんで、純粋にお前の腕で斬ったというところか」
切り株に腰を下ろして休憩していたガウェインが、まだを噴き出している狂気豬(マッドネスボア)の首元を見て呟いていた。
「これもガウェイン様の作り出した強化魔法の効果だと思います。これくらいの魔なら剣を傷めずに斬れるようになったかと」
「……そうか。じゃあ、あれ全部を頼むわ。わたしは狂気豬(マッドネスボア)の頭部に生えた吸い茸を採取してるのでよろしく」
ガウェインがそう言って指を差した先には、數十頭の狂気豬(マッドネスボア)がこちらに向かって突進してきていた。
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