《剣聖の馴染がパワハラで俺につらく當たるので、絶縁して辺境で魔剣士として出直すことにした。(WEB版)【書籍化&コミカライズ化】【本編・外伝完結済】》外伝 第二十七話 討伐への一歩前進

「魔竜ゲイブリグスの鱗を割った!? いやいや、そんなの噓でしょ!?」

「あたしがフィーンに噓なんて吐くわけないじゃん。ジャイルの屋敷でちゃんと割ったわよ」

「ええっ!? ラドクリフ家の屋敷!? 今日はソフィーのところに行ってたんじゃ!?」

あ、そう言えば、そうだった。

フィーンにはソフィーのところに行ってくるって話で外に出てたんだった。

「そ、そうだけど! ソフィーのところにいたら、呼び出されたのっ!」

「アルフィーネ、噓を吐くときに目が泳ぐ癖を直した方がいいよ。最初から呼び出されてたんだね。アルフィーネだけ」

「うぐぅ! ちがうもん、ちゃんとソフィーのところにいたんだからねっ!」

「はいはい、そう言うことにしとく。けど、魔竜ゲイブリグスの討伐依頼はけないからね」

「なんで!? あの固い鱗を割れば生である以上、倒せない相手じゃないはず!」

「仮に鱗を破壊できたとしても、鉄を簡単に溶かす炎の息もあるし、空を自由に飛び回るし、鋭いかぎ爪で摑まれたらどう対処するつもり? それに、僕らは魔法を使える人がいない。魔法を使わずに魔竜のきを止められる方法が見當たらないしね。だから、僕には勝機が見出せないよ」

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「気合があればなんとかな――」

「ならないから。アルフィーネが魔竜ゲイブリグスの討伐をしたいのは分かるけど、僕は絶対に勝てる方法がない限り賛できないよって言ってるはずだよね」

フィーンとあたしの間にかわしたルールがある。

依頼は二人が、承諾したしかけないというルールだ。

これまでに、フィーンの選んだ依頼をあたしが斷ったことはないし、あたしが勝手にけてきた依頼をフィーンを斷ることはなかった。

けど、魔竜ゲイブリグスの討伐だけはフィーンが絶対に首を縦に振ってくれない。

「でも、今日はラドクリフ家が討伐の後援をしてくれるって諾を得てきたの! 武も資金も出してくれるって話だし!」

そこまでの話に至ってないけど、ジャイルの様子からして、それくらいの援助は引き出せそうだった。

「確実に倒せる魔の討伐依頼をこなす方が先だよ。なんで、そんなに魔竜ゲイブリグスの討伐にこだわるのさ」

「剣のすごさをみんなに知らしめたいからに決まってるでしょ! 魔法でしか追い払えない魔竜ゲイブリグスの討伐を剣士のあたしがしたら、みんなが剣のすごさに気付いてくれるでしょ!」

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討伐に、魔は邪道。

鍛え上げたの技である剣こそが、魔討伐の王道だと思う。

でも、魔が使える一部の人の方が、重寶されてるのは納得がいかない。

「アルフィーネが魔師嫌いってのは知ってるけど、そんなことのために自分の命を危険に曬す必要はないはずだよ」

「うぅーーー! でも、でも、だって! 鱗は割れるからっ!」

「だめ」

「やだ」

「だめだって」

「やだ、やだ!」

フィーンとの押し問答は、日が落ちても続いた。

夜も更けたところで、フィーンがついに負けをしたようで、とりあえず、ラドクリフ家の話を聞くというところまでは納得してくれた。

ラドクリフ家の援助しだいでは、きっとフィーンも魔竜ゲイブリグスの討伐に賛してくれるはず。

數日後、ラドクリフ家にフィーンとともに再訪すると、ジャイルが出迎えてくれた。

「こちらが相棒のフィーン殿ですか」

「先日はアルフィーネがジャイル様に対し、々とご迷をおかけしたかと思いますが、お許しくださいませ」

ジャイルが頼んだことだし、貴族で近衛騎士団長とはいえ、そこまでへりくだらなくてもいいと思うんだけど。

頭を下げたフィーンの視線が、あたしにもちゃんと頭を下げろと言っていたので、黙ってジャイルに頭を下げる。

「いえいえ、わたしの方が頼んだことなのだ。気にする必要はない。今日は、魔竜ゲイブリグスの討伐について、話し合いをしたいとの申しれだったな。立ち話も申し訳ないので、座って話をしようではないか」

頭を上げると、ジャイルはあたしたちにソファを勧めてくれた。

あたしたちがソファに座ると、ジャイルが呼び鈴を鳴らす。

メイドたちが、テーブルの上に々な資料を置いてくれた。

「それは、冒険者ギルドと近衛騎士団と王國軍にある魔竜ゲイブリグスに関する全ての資料だ。もともと、王都の近くの山に住んでいた老いた巨大翼竜だったが、大襲來後、魔竜化した個だそうだ」

「僕の調べたところだと、魔竜化は大襲來の影響だという話も聞いたことがありますが」

「そういう話もある。真偽のほどは分からぬがな。でも、現実として魔竜化し、毎年王都に被害を與えているのは事実である」

「そうですね。資料を拝見させてもらいます」

フィーンはテーブルの上の資料に目を落とすと、無言でページをめくってく。

テーブルの上の資料を読み終えたフィーンが顔を上げたところでジャイルが口を開いた。

「ラドクリフ家としては、依頼をけてくれるなら、々と便宜を図るつもりだ」

「僕たちが魔竜ゲイブリグス討伐するうえでの懸念は二つ。相手が空を自由に飛べる生なのが一點。炎の息を吐いて容易に接近できないのが一點。この二點がある以上、ご依頼をけられる狀況ではないかと判斷します」

「ふむ、フィーン殿が言われることはよく理解できる。アルフィーネ殿がいかに優れた剣士であっても、近づけなければ倒せないのは理解できる」

「ですのでお引きけは――」

「大丈夫だ。まず、魔竜ゲイブリグスは近々飛べなくなる」

「「はぁ!?」」

「飛べなくなるは語弊があるな。棲み処から出られなくなる予定だ。今、我が家で魔竜ゲイブリグスの棲み処に広域の結界魔法を敷く準備を進めておる。このことは他言は無用。喋れば首を差し出してもらうことになる」

ジャイルは自分の首を手で叩くと、聲を潛めた。

魔法を使うのか……。

でも、飛べなくなるのはありがたい。

「もちろん、炎の息を吐けないようにする手筈は整えつつある。君たちには、飛べなくなって、炎の息も吐けなくなった魔竜ゲイブリグスを討伐してしいのだ」

フィーンが懸念してる二點を魔法を使ったとしても、乗り越えられるなら、依頼をけてくれるかも。

「僕たち以上の実績を持つ冒険者や高名な剣士もおられますが……」

「わたしは、自分と同じ若く有能な人に、あの魔竜ゲイブリグスを討伐してしいと思っている。老人たちへ王國も新たな時代に突したと知らしめるためにもな。そのため、若手で一番実力の高い君らでなければならんのだよ」

ジャイルは苦々しい顔をして、テーブルの資料に視線を落とした。

宰相で大貴族家であるラドクリフ家嫡男という肩書きによって、小姓として期から仕え、人後、近衛騎士団長を拝命してるため、王の譜代の家臣からは軽視されているとの噂もあるけど。

家名のあげるとともに、自分のことも認めさせたいんだろうな。

「もちろん、討伐に功した際は、魔竜ゲイブリグスの功労者として、わたしからフレデリック王へ二人のことは伝えさせてもらう」

さすがのフィーンもジャイルの示した條件に、心がいたようだ。

瞬きしなくなった時は、かなり集中して、考え込んでるはずだし。

読んだ報と、ジャイルの提示した狀況下であれば、あたしとフィーンの剣で魔竜ゲイブリグスの討伐はできるか一生懸命に考えてると思われる。

「討伐する時期はこちらが選べますか?」

「うむ、そちらで決めてもらえばいい」

「では、魔竜ゲイブリグスが飛べなくなり、炎の息が無効化されたのを棲み処で確認させてもらってから、準備を整え決行という流れでどうでしょうか?」

「慎重であるな。でも、それくらいしなければ、生きては帰れまい。よかろう。その條件をこちらも飲もう」

ジャイルが差し出した手をフィーンが握り返した。

これで、魔竜ゲイブリグスの討伐に向けて一歩進んだ。

「では、詳しい契約容をもうし詰めましょう」

「ふむ、よかろう」

それから、ジャイルとともに魔竜ゲイブリグスの討伐に関する契約の詳細を詰め、あたしたちは討伐に向け、本格的に準備を進めることになった。

本日も更新読んで頂きありがとうございます。

魔竜ゲイブリグスの討伐にむけ、ラドクリフ家との協力関係になりました。

剣聖アルフィーネが誕生した裏側には、ジャイルの自己顕示と、自分を軽視する親世代への反発心があったのかもしれません。

若くしい英雄を作り出すことで、老人たちの時代の終わりを告げたかったのかもしれませんね。本編では父親の駒として使われるだけ、使われて捨てられてしまいましたが。

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