《【書籍化】斷頭臺に消えた伝説の悪、二度目の人生ではガリ勉地味眼鏡になって平穏をむ【コミカライズ】》大切な友人との再會
に狂うって、馬鹿みたいだと思わない?
ええ、あえて言うわ。王妃レティシアは殘念すぎる頭を持った究極の馬鹿だったって。
私には一度目の人生の記憶がある。
心ついた頃にぼんやりと思い出した記憶。歳を経るにつれ今が二度目の人生であると理解した私は、當時の愚かな振る舞いについて大いに反省した。
いや、ないわ……。稅金の無駄使いに、悪い商人との繋がり、挙げ句の果てには侍を流刑って、まじで最悪だわー……。
何も考えずにあんなことができてしまったのは、ひとえに勉強をしてこなかったからだ。
後悔に苛まれた私は決意した。
今度の人生は勉強に捧げる。ガリ勉地味眼鏡になって平穏な一生を過ごすのだと。
どうしてもう一度人生をやり直す幸運を得たのかはわからないけれど、とにかく再び斷頭臺に登ることだけは回避したい。
だからこうして學園の図書室で猛勉強をしている。ウェーブのかかった艶やかな黒髪をお下げにして眼鏡をかけた地味な格好は、黒薔薇妃と謳われた前世なら到底考えられなかっただろう。
Advertisement
(これが正解よ。勉強したことは裏切らない。このまま就職でもして、一度目の人生を償いながら、結婚なんてせずに生涯を過ごすの)
爵位剝奪の上に捕らえられてしまった両親を、もう二度とあんな目には遭わせない。
既にアグスティン殿下との婚約は斷った。両親は殘念そうにしていたけれど、冷徹な目であっさりと殺してくれた相手になんて會いたくないし、もう好きでもなんでもない。
私は地味に慎ましく、これからも世界の片隅で生きていくのだ。
決意を固め直したところで、前に人が座る気配がした。
顔を上げると、私の學年でもトップクラスの人気を誇るセルバンテス公爵家の嫡男、カミロ様が斜め前に腰掛けたところだった。
私みたいな地味眼鏡とは本の格が違う、學園のスーパースター。
炎のような赤い髪に、若草の瞳が室だというのに輝いている。
流行に従ってし著崩した制服姿もだらしなくは見えず、むしろ彼の魅力を引き上げているようだ。
Advertisement
17という年齢よりもしだけ上に見える悍な顔立ちは、先輩の生徒たちにも絶大な人気を誇るとか。
カミロ様はアグスティン殿下の従兄弟で王弟の息子、つまりは王室の一員。
実のところ前世では嫁いでから得た唯一の友達で、よく世間話をする仲だった。
そして私が処刑される直前、唯一助けようといてくれたのが彼だ。
嬉しかったな。迷をかけられないと思い斷った時、本當は泣きそうなくらいに嬉しかった。
學式で彼を見つけた時、本當はお禮が言いたかった。
前と同じように他のないおしゃべりがしたかった。
けれど學園最底辺の地味眼鏡がヒーローに聲をかける訳にもいかない。
だから今の私たちは挨拶すらわした事がない完全な他人なのだ。
カミロ様は歴史の參考書を開いて勉強を始めた。明日は魔法の試験があるのだけれど、彼の績はいつもトップだから必要ないということらしい。
魔法が得意な人って羨ましいな。私には魔法の才能がなくて、こうして勉強でを立てる道しか選ぶことができなかったから。
「……駄目だ。わけがわからん」
カミロ様が諦めたように呟くのが聞こえて、私は魔法の參考書に落としていた顔を上げた。
若草の瞳と視線がわると、驚いたように丸くなって、頬に朱が散った。どうやら自分が獨り言をしたことに気付いたらしい。
「ごめん。うるさかったよな」
「いえ、そんなことはありませんけど」
驚いた。カミロ様って、歴史が苦手だったのかしら。スーパースターに欠點なんてないと思っていたわ。
「何がわからないのですか? 私でわかることなら解説しましょうか」
ついそんな申し出をしてしまったのは、彼が本當に困った様子だったからだ。
歴史の本や參考書を機に積み上げて、なんとか調べようとしているのが伝わってくる。私みたいな地味に教えられるのは不快かもしれないけれど、そう思うなら斷ってくれたらいい。
「良いのか⁉︎ 助かるよ」
そう思っていたのに、カミロ様は嬉しそうに目を輝かせると、私の隣の席に移してきた。
「ほらこの、この國が五つに割れてた冬の時代ってやつあるだろ。この時キリア國がこの國との貿易を停止させたんだけど、なんでそうなったのかわかんなくってさ」
「ああそれなら、キリアが東國との貿易を開始したからです。部紛爭で荒れ果てた國より、金の取れる國との繋がりを——」
自分の參考書を取り出して、じっくりと解説をする。
カミロ様は真剣な面持ちで頷き、時に質問をしながら、私みたいな底辺地味子の解説を嫌がりもせずに聞いてくれた。
窓から差し込んだ夕日が、彼の赤い髪を鮮やかに見せている。制服の黒いジャケットを背景に、細かなチリが輝いて見えるのが妙にしく思えた。
ここは図書室でも奧まった一角だから人の気配はなく、私が解説をする聲と、カミロ様の相槌と時折返ってくる質問だけが靜寂をす。
そうしてしばしの時間を過ごし、々な質問に答え切った頃には既に窓の外は闇のになっていた。
「なるほどな! ようやく理解できた。君は教えるのが上手いんだな」
「冬の時代は複雑で難しいですからね。お役に立てて良かったです」
彼は將來竜騎士になるのよね。勉強も必要だもの、きっとすごく努力したんだわ。
一度目の人生でも學生時代は話したことなんてなかったけれど、一緒に勉強してみるとこんなじなのね。何だか、楽しいな。
「俺、勉強あんまり得意じゃないんだ。レティシア嬢は凄いな」
「私の名前をご存知でしたの?」
「同級生で優秀なやつくらい覚えてるよ。君はいつも學年10位にっているだろ?」
私はいつもテストでそこそこの績を殘している。
そう、そこそこ。一位を取るとあまりにも目立ちすぎるため、いつも満點になりそうな時はわざと間違えるようにしているのだ。
「明日は魔法の試験だってのに悪かったな」
「いえ、良いんです。私、魔法は苦手なので……もうこうしてペーパーテストの勉強をするくらいしか、できることがありませんの」
魔法の試験には実技と筆記の両方がある。
普通なら実技の練習を優先するからこそ、今日の図書室は閑散としているのだ。私はいくら練習しても上手くならなかったから、もう隨分前に諦めてしまった。
ガリ勉地味眼鏡に、魔法の腕前はそこまで重要なものではないものね。
「だったら禮に、俺が今から魔法を教えようか」
思っても見なかった提案をされて、私はぽかんと口を開けた。
「そんな、悪いです。明日は試験なのに」
「それはお互い様だろ?」
「いえ、でも……私、いくら頑張っても駄目だったんです。それなのに時間を割いてもらうわけには」
「それこそお互い様だって。俺は魔法には結構自信あるし、試してみるのも悪くないと思うぜ」
青くなって首を橫に振ると、カミロ様はからりとした笑みを浮かべた。頼もしくも溫かい笑みに、私は思わず言葉を詰まらせてしまう。
貴方はちっとも変わらないのね。慈悲深くて面倒見がよくて、公平な視點で事を見ている。
「決まりだな。じゃ、早速外に出よう」
「あ……! お待ちください、カミロ様!」
さっさと歩き出していた彼は足を止めて振り返ると、俺の名前知ってたんだなと言って朗らかに笑った。
カミロ様の教えは中々にわかりやすかった。
どうやら私は魔力を集中させるにあたって、の末端に殘してしまっていたらしい。まさかそんなところに原因があるとは知らなくて、私はすっかり驚いてしまった。
「よし、それじゃあ空、飛んでみるか」
「えっ⁉︎ いきなりすぎませんか?」
「明日は飛行のテストだろ? 地面からそんなに浮き上がらなければ大丈夫だよ」
自信満々に腕を組むカミロ様に押し負けて、私はおずおずと頷いた。
まずはしっかりとの中心に魔力を集中させて、間違えないように呪文を唱えていく。せっかく教えてくれたカミロ様にお返しする意味でも、なんとしてでも功させたい。
呪文を唱え終えた頃、ふわりとが浮いた。
風が吹いて重たいお下げを揺らめかせている。初めての浮遊に目を丸くした私は、瓶底眼鏡越しにカミロ様と視線を合わせた。
「わっ……! わ、わあ! 浮きましたよ、カミロ様! 凄い……!」
「やったな、レティシア嬢! よく頑張った!」
すごい、すごい! 本當に飛べるだなんて思わなかった。普通の人に比べればまだまだコントロールも飛距離も足りないけれど、私にとっては十分すぎる果だ。
魔法って楽しいかも。そんなことまで考え出した私は完全に浮かれていて、自分の魔法の未さを忘れていた。
急速に風が弱くなっていく。魔法の発は終わりを迎え、支えを失った私は呆気なくを傾がせた。
「危ない!」
鋭い聲が飛んだのと同時、何か力強いものが腰を支えて全を抱き留めてくれる。膝より低い程度の高さしか浮き上がっていなかった私は倒れ込むこともなく、カミロ様のがっしりとい腕の中へと収まってしまっていた。
カミロ様はとても背が高い。私も平均よりしだけ背が高いのだけれど、ちょうど彼の顎下に頭のてっぺんが収まるくらいには差があった。
「も、申し訳ありません! ありがとうございます……!」
「いや、いいんだ。怪我はな」
慌ててカミロ様を見上げると、彼は不自然に言葉を切ってきを止めた。
どうしたのかしら。お化けでも見たような顔だわ。
「レティシア、嬢……眼鏡、が」
「眼鏡……? ああ、ずれてしまいましたね」
たくましい腕の中から逃れて眼鏡を掛け直す。相変わらず呆然とした様子のカミロ様を見た私は、その原因に思い當たって心の中で両手を打った。
(もしかして、私の貌に驚いちゃったのかしら?)
うん、多分そうだ。そうに違いない。
何せ私の瞳は他にない鮮やかな薔薇をしているのだ。
この伊達眼鏡は瞳の印象をぼやけさせる事ができる魔道。日を歩む私の大切な相棒で、これがないと黒薔薇とまで謳われた素顔がわになってしまう。
「カミロ様、本當にありがとうございました。明日の試験、いつもよりいい結果が殘せそうです」
「ああ……」
「それでは、私はこれで。試験頑張りましょうね」
私はペコリと一禮するとその場を後にした。
まあ、見られたものはしょうがない。カミロ様はモテモテだし、私なんかに興味なんて持たないわよね。
明日の試験、頑張ろっと!
世界最強が転生時にさらに強くなったそうです
世界最強と言われた男 鳴神 真 は急な落雷で死んでしまった。だが、真は女神ラフィエルに世界最強の強さを買われ異世界転生という第二の人生を真に與えた。この話は、もともと世界最強の強さを持っていた男が転生時にさらなるチート能力をもらい異世界で自重もせず暴れまくる話です。今回が初めてなので楽しんでもらえるか分かりませんが読んでみてください。 Twitterのアカウントを書いておくので是非登録してください。 @naer_doragon 「クラス転移で俺だけずば抜けチート!?」も連載しています。よければそちらも読んでみてください。
8 131魔力、愛、君、私
姉を探すリルと戦士のハルマ、 お互い同じ國の出身でありながらリルには小さな身體で殘酷な過去を抱えていた。 メーカーお借りしました() https://picrew.me/share?cd=cljo5XdtOm 亀さんペースですごめんなさい
8 119天下界の無信仰者(イレギュラー)
三體の神が神理(しんり)と呼ばれる法則を作り出した世界、天下界(てんげかい)。そこで人々は三つの神理のいずれかを信仰していた。 そんな神が支配する天下界で、唯一の無信仰者である神愛(かみあ)は生きていた。友達もおらず家族にも見捨てられた神愛。 しかしそんな彼へ少女ミルフィアが現れた。輪廻する運命によって二人は出會い新たな戦いが始まる。 これは新たな神話。 神の秩序を揺るがすイレギュラー、ここに開幕! 神律學園編 入學生としてやってきた無信仰者の宮司神愛。しかしそこは信仰者ばかりの學園だった。クラスメイトからの冷たい対応に孤立する神愛。そんな神愛には唯一の味方であるミルフィアがおり彼女だけが心の支えだった。しかし彼女は奴隷であろうと頑なに譲らない。彼女と友達になろうと神愛は行動するがそれには信仰者である恵瑠や天和、加豪の協力が必要だった。果たして神愛はミルフィアと友達になれるのか? そしてミルフィアの正體とは一體なんなのか? 神律學園編ではキャラクター関係や世界観、設定などを明かしていきます。 慈愛連立編 突然神律學園が襲撃を受ける。それは恵瑠を狙ったゴルゴダ共和國の正規軍だった。なぜ恵瑠が狙われるのか。そして恵瑠に隠された真実とは? 神愛は友を守るために戦う。そこには二千年前から続く天羽(てんは)の悲願と六十年前ある約束をした一人の男の思いがあった。慈愛連立編ではサブヒロインである恵瑠にスポットを當て物語が展開していきます。また作品の歴史を掘り下げキャラクターや物語に厚みを持たせていきます。 またコメントやいいねもぜひぜひお願いします。作者のモチベーションにも繋がりますし數が多いと見栄えがよくなり他の読者にも見てもらえるようになります。「コメントを書くのはちょっとな〜」ていう人はいいねだけでもいいのでぜひ押していってください。
8 102異世界に勇者召喚されたけどチートな一般人|(噓)だった
日常に退屈している少年 鳴龍《なきり》 榊斬《こうき》はある日、教室で寢ているとクラスメイト4人とともに異世界に召喚される。しかし榊斬は召喚される前に女神にある能力をもらう。いざ召喚されると榊斬だけ勇者の稱號をもっていない一般人だった。しかし本當に強いのは、、、
8 123鸞翔鬼伝〜らんしょうきでん〜
古くから敵対してきた不知火一族と狹霧一族。 銀鼠色の髪に藍色の瞳の主人公・翔隆は、様々な世代の他人の生と業と運命を背負い、この戦亂の世に生まれた。 戦國時代の武將達と関わりながら必死に生きていく主人公の物語。 続きはpixivfanbookやエブリスタ、Noteにて販売します。
8 130格闘チャンプの異世界無雙 〜地球最強の男、異世界で更なる高みを目指して無雙する〜
東堂院力也は、地球最強の男だ。 ある日、居眠り運転のトラックから少年少女を助けるために、彼は犠牲となった。 「…………む? ここは……?」 彼が目を覚ますと、見知らぬ森にいた。 狀況整理に努めているときに、森の奧から女性の悲鳴が聞こえてきた。 「きゃあああっ!」 「むっ! 女の悲鳴か……。今向かうぞ!」 東堂院力也は駆け出す。 しばらくして、女性の姿が見えてきた。 數人の男に押さえつけられている。 服を脫がされ、半裸の狀態だ。 「そこまでだ! 賊どもめ!」 東堂院力也が大聲でそう言う。 男たちが彼を見る。 「何だあ? てめえは!」 「けっ。通りすがりの冒険者かと思ったが……。見たところ丸腰じゃねえか」 「消えろ。ぶっ飛ばされんうちにな」 賊たちがそう言って凄む。 果たして、東堂院力也はこの賊たちを撃破し、女性を助けることができるのか。 格闘チャンプの異世界無雙が、今始まる。
8 73