《【書籍化】その亀、地上最強【コミカライズ】》期待されすぎルーキー
「えぇっ!? なんでそんな話になってるんですかっ!?」
「上からの指示ですので、私たちにはなんとも……」
冒険者ギルドのルールを覚えたり、結構な人達からの冒険者パーティー加のおいをどうするか考えたりしているうちに、気付けば夕が落ちる時間になってしまっていた。
なので僕たちはこうして改めて朝になってから、混雑しているギルドへとやってきたのだ。
僕が驚いている理由は、呼び出されたムースさんから言われた一言に原因がある。
「いきなり四等級に上がるだなんて……」
どうやら昨日の戦いのせいで、アンドレさんが僕の冒険者ランクを四級に上げてしまったらしいのだ。
五級に上げてもらっただけでも謝だというのに……ここまでトントン拍子に話が進むと、どこかに落としでもあるんじゃないかと不安になってくる。
アンドレさんがアイビーを有用だって判斷してくれたって事なんだろうけど……こんなにいきなりランクが上がったら、先輩達から不満の聲も上がりそうだけど。
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だって頑張って四級に上がろうとしてる人達から見ると、今の僕はインチキをやっているようにしか見えないだろうし。
「本當なら三か二でもいいってギルマスは言ってたんですけど、流石にそれは上からの許可が下りなかったそうで」
「いえいえそこまでは! 四でも十分すぎます!」
これ以上そんな変な目立ち方はしたくない。
僕は大きく首を振ってお斷りをれて、とりあえず昇級についての話を打ち切った。
こうして僕は一度も依頼をけていない四等級という、よくわからない冒険者になってしまったのだ。
「みー」
まあいいじゃない、もらえるものはもらっとけばって?
いやそうは言ってもさ、いきなり過ぎて心の準備が追いつかないんだって。
「みーみー」
元々この街に來てから驚きの連続じゃないかって?
……それは確かに。
ここで暮らしてくには、心臓がいくつあっても足りないかもしれない。
「なんだか通じ合ってるみたいですねぇ」
「――なんとなくわかるんですよね、何言ってるのか。アイビーも僕の言葉を理解してますし」
「あー……それ、あんまりここで言ってしくはなかったかもしれませーん」
たはは、と何故かし疲れたような笑いを浮かべるムースさん。
その理由を聞く必要はなかった。
「おい聞いたか、あの亀やっぱり言葉を解するらしいぞ! 等級は二より上だ!」
「くぅぅっ、俺も見に行っとくべきだったぜ。…………唾つけるの今からでも間に合うかな?」
僕の背中の方から、こちらまで聞こえてくるくらいの聲量で話をしている冒険者の方々から、その理由を教えて貰えたからだ。
ムースさんに追加で説明をしてもらう。
従魔と人間というのは通じ合うことができるが、それは思考を理解するだとかそういう次元の話ではないらしい。
魔力のパイプが繋がるだけで、別に相手が何を考えてるかとか何を話してるかを理解したりはできないんだという。
それにそもそも人間の言葉を解するような高ランクの魔は、人間になつく事も滅多にない。
僕も完全にアイビーの言葉を翻訳できてるわけじゃないんだけど、それでも僕たちの関係は特殊みたいだ。
もう何度も変だのおかしいだの言われてるから、いまさらこの程度で揺はしないけどね。
「通常の四等級がける依頼ってどんなものがあるんですか? 僕五等級の依頼をけるつもりで、ゴブリン討伐とかの心構えをしてきたんですけど……」
「簡単に言うなら、出かける場所が遠くなって、魔が強くなるだけです。四等級相手だとオークとか、頑張ってオーガとかですかね。討伐依頼を全くけずにというのもあれですし、最初はゴブリン討伐とかでもいいと思いますよ?」
「確かにそうですよね」
そもそも依頼をまだ一つもけていないので、僕は討伐依頼をどうやってこなしていくのかといった、基礎的なことが全然わかっていない。
ペース配分とか、不寢番とか、持ってくとか、何も知らないのだ。
だからそういう冒険者のイロハを教わるために、昨日われた先輩達と同行しようと思ってたんだ。
四等級に上がったショックが大きくて、頭の中から抜け落ちていた。
「誰かと同行したりするときって、パーティーを組む必要があるんですか?」
「別になくても大丈夫ですよ。ただ、あらかじめ報酬とか分擔とか決めておかないとめ事になることがあるので、そこは気をつけておいてくださいね」
「わかりました、ちょっとしたらまた來ます」
後ろを振り返って、テーブルの方を見る。
明らかに僕に聲をかけられるのを待ってる人達が、結構な數存在していた。
昨日の記憶を掘り起こして、頭の中で顔と名前を照合する。
アイビーとも誰が信用できそうか、一応顔を突き合わせて味して、答えは出している。
キョロキョロとあたりを見渡すと、目的のパーティーが視界の端の方に映った。
僕たちは頷いて、そのパーティーの方へと歩いていった――。
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