《【書籍化】その亀、地上最強【コミカライズ】》おやすみ
「ここなんかいいんじゃない?」
森をしばらく歩いていくと、木々の立ち並ぶ中にある広い空間を見つけることができた。
周りには倒れた樹木や焼けた草なんかが散らばっていて、黒と茶が混ざったような地面が剝き出しになっている。
僕たちがやってくる前に、割と規模の大きな戦闘があったんだろう。
この景は結構な範囲にまで広がっていた。
昏き森は生きていて、數日もすれば木の倒れたところには新たな木々が補填されるという話だ。
それが事実なのかどうかを僕は知らないけれど、これだけ何もない場所なら、木を新たに倒したりせずともアイビーにくつろいでもらうことができそうだ。
周囲にある木を多潰してしまうくらいなら、まあ問題はないだろうし。
「みぃ!」
アイビーが、木々が倒れている場所をなぞるような形で障壁を展開させた。
安らぎの時間を、襲ってくる魔達に壊されないようにという配慮だろう。
なんだか眩しいなと思って上へ視線を移すと、空には先ほどまで木々に遮られて見えていなかった太が、ギラギラと燃えていた。
木が倒れているおかげで、ちょうどここには日のがしているようだ。
溫度も、さっきまでより數度は高い。
ちょうどいい場スポットを見つけたなぁ、と僕はアイビーを地面へ優しく投げる。
するとアイビーがまずは僕を背負えるくらいの大きさになるので、その背に乗る。
そして無事搭乗が完了したら、そのまま更にアイビーが大きくなる。
これが僕を潰さないようにするための、二人で決めたやり方だった。
アイビーがぐんぐんと大きくなっていき、障壁にギリギリ當たらないくらいに大きくなる。
「み゛ぃ」
いつもより低めの聲で鳴く彼。
今のは何かを言おうとしたわけじゃなくて、ただのあくびだ。
僕はあらかじめ持參していた枕を後頭部に當てて、そのまま橫になる。
アイビーの背中には凹凸があるけれど、その中にはいくつか僕がすっぽりとることのできるスペースがあったりする。
その居眠りスポットを探すのは久しぶりだけど、まったく苦労せずに見つけることができた。
でも橫になってみて気付く。
なんだか前より、空間が広くなっている。
寢返りだって打てそうなくらいだ。
起き上がって、アイビーの姿を見つめる。
――大きくなってる、前よりも更に。
もう一軒家よりもずいぶんと大きい。
家を何軒か並べたような大きさだ。
単純に考えても……數倍にはなってるかな?
いつもより聲が低いような気がしたのは、その分だけ大きくなったからなのかな。
たしかに以前、私はまだまだ長期、みたいなことを言ってた気がするけど……目に見えてぐんぐん長してるなぁ。
いったいアイビーは、どれだけ大きくなるんだろう。
……ていうかここまで大きくなると、昏き森の木々より全然高いから、普通に街の高臺とかから見えちゃいそうだよなぁ。
帰ったら説明しないとマズそうだ。
なーんてことを考えつつ、広くなったスペースで寢返りを打つ。
不思議なことに、アイビーの甲羅はあんまり固くない。
それに甲羅の出っ張ってる部分がやや固いくらいで、凹んでる部分は僕が長時間眠ってもがギシギシとしないくらいにはやわらかい。
宿屋の安のベッドなんかよりもよっぽど上等な寢床なのである。
「おやすみ、アイビー」
「みぃ」
僕が驚いてたのを気にしたのか、さっきよりちょっとだけ小さくなったアイビーが鳴いた。
彼は伏せをしてぺたんとを地面につけて目を瞑る。
僕もそれに合わせて目を閉じた。
ずいぶん久しぶりだ、アイビーの背中で眠るのは――。
【しんこからのお願い】
この小説を読んで
「面白い!」
「続きが気になる!」
「おやすみ、アイビー」
としでも思ったら、↓の★★★★★を押して応援してくれると嬉しいです!
あなたの応援が、しんこの更新の原力になります!
よろしくお願いします!
星の見守り人
如月 星(きさらぎ せい)はごく普通の宇宙好きな天文探査官だった。 彼は銀河連邦の公務員で有り、科學や宇宙が好きだったので、宇宙探査船に乗って、宇宙探査局の命令に従い、のんびりと宇宙探査をしていた。 辺境の宇宙を しかし彼の少々変わった才能と、ある非常に特殊な遺伝的體質のために、彼は極めて特殊な計畫「メトセラ計畫」に関わる事となった。 そのために彼は萬能宇宙基地とも言える宇宙巡洋艦を與えられて、部下のアンドロイドたちと共に、宇宙の探査にでる事となった。 そしてある時、オリオン座のα星ベテルギウスの超新星爆発の調査に出かけた時、彼のみならず、人類全體の歴史と運命を背負う事になってしまった・・・ これは科學や探検が好きな一人の人間が、宇宙探検をしながら、しかしのんびりと暮らしたいという矛盾した欲求を望んでいたら、気が遠くなるような遠回りをして、ようやくその願望を葉える話である!
8 137【書籍化】わしジジイ、齢六十を超えてから自らの天賦の才に気付く【8/26から電撃マオウでコミカライズスタート!】
スキルと呼ばれる特殊能力が発現する世界で、老人であるディルはある日突然力を得た。ただ殘念なことに、それは老體では扱いに困るような戦闘に特化した能力だった。「わし、もういい年なんじゃけどなぁ……」 齢六十を超えた老人による遅すぎるセカンドライフが今、始まる。 ※書籍化&コミカライズ決定しました! 書籍の発売日は5/2、レーベルはドラゴンノベルス様、イラストレーターは吉武さんです!
8 161白雪姫の継母に転生してしまいましたが、これって悪役令嬢ものですか?
主人公のソシエは森で気を失っているたところを若き王に助けられる。王はソシエを見初めて結婚を申し込むが、ソシエには記憶がなかった。 一方、ミラーと名乗る魔法使いがソシエに耳打ちする。「あなたは私の魔術の師匠です。すべては王に取り入るための策略だったのに、覚えていないのですか? まあいい、これでこの國は私たちのものです」 王がソシエを気に入ったのも、魔法の効果らしいが……。 王には前妻の殘した一人娘がいた。その名はスノーホワイト。どうもここは白雪姫の世界らしい。
8 103神眼使いの異世界生活
鳴神創真は女神様の間違いで死んでしまった。 女神様はお詫びとして異世界に転生させてくれるらしい。女神様からもらったスキルは7種類の神眼だった。 超王道のファンタジー物語! 題名はまだ安定しません! 書いているのがただの高校生で初めての作品なので下手くそで読みずらいかと思いますがよろしくお願いします!
8 78虐められていた僕はクラスごと転移した異世界で最強の能力を手に入れたので復讐することにした
高校二年の桜木 優希はクラス中で虐められていた。 誰の助けも得られず、ひたすら耐える日々を送っていた。 そんなとき、突然現れた神エンスベルによって、クラスごと異世界に転生されてしまった。 他の生徒に比べて地味な恩恵を授かってしまった優希は、クラスメイトに見捨てられ命の危機にさらされる。気が付くと広がる純白の世界。そこで出會ったのはパンドラと言われる元女神だった。元の世界へ帰るため、彼女と契約を結ぶ。 「元の世界に帰るのは僕だけで十分だ!」 感情や感覚の一部を代償に、最強の力を手に入れた優希は、虐めてきたクラスメイトに復讐を決意するのだった。 *この物語の主人公は正義の味方のような善人ではありません。 クズで最低でサイコパスな主人公を書くつもりです。 小説家になろう、アルファポリスでも連載しています。
8 134ダーティ・スー ~物語(せかい)を股にかける敵役~
ダーティ・スーとは、あらゆる異世界を股にかける汚れ役専門の転生者である。 彼は、様々な異世界に住まう主に素性の明るくない輩より依頼を受け、 一般的な物語であれば主人公になっているであろう者達の前に立ちはだかる。 政治は土足で蹴飛ばす。 説教は笑顔で聞き流す。 料理は全て食い盡くす。 転生悪役令嬢には悪魔のささやきを。 邪竜には首輪を。 復讐の元勇者には嫌がらせを。 今日も今日とて、ダーティ・スーは戦う。 彼ら“主人公”達の正義を検証する為に。
8 93