《【書籍化】絶滅したはずの希種エルフが奴隷として売られていたので、娘にすることにした。【コミカライズ】》第5話 ヴァイス、が分からない

、だあ?」

俺たちの話を訊いた酒場の店主ロレットは、開口一番そう斷じてきた。

「そうですとも。そのは今、を欠いています。この世に絶しているのです。それを救えるのは、他でもないに違いありません。失ったをヴァイスくんが與えてやるのです」

「聖職者みたいなこと言いやがって…………」

まだ時間が早いのか他の客はおらず、俺とホロはカウンターに陣取ってロレットと向かい合っていた。総白髪のジジイが優しげに目を細めて似合わない言葉を並べるものだから、俺は恥ずかしくなってラム酒を呷った。

「でもぉ、私はロレットさんの言う通りだと思うなあ。ヴァイス、アンタあの子をしてあげなさいよ」

「…………するったってどうすりゃいいんだよ。俺はそっちのケはねえからな」

「きゃー汚らわしい。別にってそういうのだけじゃないでしょうよ。家族とかそういう話じゃないの?」

「その通りです。ホロさんはよく分かっていますね」

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「ほら見なさいよ。…………ま、アンタが家族ってのもあんまり想像出來ないけど」

ホロは視線を外し、グラスを軽く揺らす。中の氷がカランと心地よい音を立てた。

「難しく考えることはありませんよ。ヴァイスくんも、そのに何かをじたからこそ育てることにしたのでしょう? ならば、心のままに接すればよいのです」

「心のままに、ねえ」

俺がリリィを買う事にしたのは、リリィがハイエルフだったからだ。それ以上でも以下でもない。心のままにと言われても困るのが正直な所だった。

「ま、丁度いいんじゃない? アンタ可げないし。エルフのの子と一緒に居るくらいがお似合いよ」

「好き勝手言いやがって…………」

俺はラム酒を飲み干すと、カウンターの高い椅子から降りた。

「あら、もう帰っちゃうの?」

「ここにいてもこれ以上報は得られそうにないからな」

結局得られたのは『をもって接しろ』とかいう訳の分からないアドバイスだけだった。來た甲斐があったのやら無かったやら。

「ホロはこれで飲んでいけよ」

「あら、太っ腹じゃない!」

俺は金貨を1枚カウンターに置くと、ロレットの店を後にし自宅に急いだ。

「…………、ねえ」

俺はリビングのテーブルに著き、膝の上にリリィを載せて首を捻った。夜ご飯の時間だった。

って…………一何だ?

普通に親からけて來た俺ですら、その問いに即答する事は出來ない。甘やかすことってーのも違う気がするし。

「ほれ、あーん」

火傷しないように冷ましてから、スプーンに載せたチャーハンをリリィの口に運ぶ。無反応のリリィも流石に食事が必要だという事は分かっているのか、口元まで運べば食べてくれる。リリィはその小さい口を開けて、スプーンを咥えた。

「うまいか?」

「…………」

「…………反応はナシ、と。まあいいけどな」

とりあえず一口食べる度に頭をでてみる。スキンシップってのは何かっぽいだろ?

「よーし、またいくぞー? あーん」

もぐもぐが終わったのを確認して、またスプーンを口元に持っていく。リリィはそれを咥え、もぐもぐする。俺はリリィの頭をでる。それを何度か繰り返し、食事が終わった。

「次はお風呂いくぞー」

リリィの服が豪華になったのでがすのが面倒になってしまったが、事前にホロからがし方を聞いていた俺はさほど苦戦せずリリィを素っにすることに功した。が冷える前にさっさとってしまおう。俺は1秒で全になった。

水魔法と火魔法を使い一瞬で湯舟にお湯を張り、とりあえずそこにリリィをれる。リリィの長い水の髪が湯舟一杯に浮き広がり、うにょーっとなった。

俺は急いで自分のを洗うと、リリィを湯舟から出し自分の前に座らせた。リリィの長い髪は洗うのに時間がかかるから、一度湯舟でを溫めてからの方がいいと思ってそうしている。

ゆっくり時間をかけ、俺はリリィの髪を洗い終えた。流石に自分の髪と同じようにという訳にはいかないからな。髪はの命だとホロから念を押されていた。丁寧に洗ってやれと。

特徴的な細い耳の洗い方もしコツを摑んできて、俺はリリィの全をピカピカにした。リリィのは元奴隷の割には綺麗だった。ゲスは「こんな奴は売れない」と嘆いていたが、十分売れたのではと思う。まあ、もう俺のだが。

それからは湯舟に浸かって、返事はないと分かっていつつもリリィに話しかけ、やっぱり返事がなく落膽するのを何度か繰り返し、風呂タイムが終わった。魔法でを乾かして、リリィを寢間著に著替えさせる。ホロが持ってきた服は本當に大量で、寢間著も何種類もあった。ご丁寧に大きめのサイズまでバランスよく用意されている。リリィが長してもすぐ買い替え、という事にはならなそうだ。

「よーし、そろそろ寢るぞー」

本當はまだ寢るには早い時間なんだが、俺達はベッドにった。ガキの頃、本當に小さい頃だが、母親と一緒に寢るのが好きだった記憶がある。殘念ながら俺はリリィにとっては赤の他人だが、俺はリリィを娘にすると決めた。だから俺が父親であり、母親なんだ。

それから何日間は、そうやって過ごした。

そうすると、リリィの行しずつ変化が現れた。

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