《【書籍化】宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~【コミカライズ】》本人!?

日間ハイファンタジー6位!

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盜賊討伐自は手慣れたものなので、それほど困ることはない。

閉空間なせいで高威力の魔法は使えないが、別に白兵戦でも余裕の相手だし。

前に盜賊たちのアジトを潰したときは、遠距離から魔法を撃ち込みまくって完封した。

バルクスを出てからの俺の戦い方は、良くも悪くも魔法を連打していただけだ。

これではいけない、魔法に頼ってばかりいては、いずれ魔法に溺れることになりかねない。

というわけで今回は、魔法を使わずに最後までやりきることをこの盜賊退治の縛りにした。

「畜生、化けめ……」

俺の目の前で、ゲイリーと呼ばれていた頭目の男が倒れる。

こいつ、実はかなりのやり手だった。

本當は気力も使わずにいきたかったが、無理だったし。

魔法の重ねがけは結構コツがいる。

三重までいけるとなると、そこいらの野盜なんかでは相手にもならないだろう。

さすがに気力と魔力による同時強化まではできなかったようだが……。

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エネルギーである魔力と気力は、の関係にある。

両方を同時に使うことは、それこそ『七師』レベルでもない限りはできないからな。

俺ですらデメリットがデカすぎて、よほどのことがあったときにしか使わないし。

「お前拷問とかしても、報吐かなそうだよな」

「へっ、當たり前よ」

このゲイリー……気力や魔力を考慮すれば、恐らくサクラでも勝てないのではないだろうか。

『聖騎士』と呼ばれているエリートのサクラよりも強い賊。

その正を探っておきたいところだが……俺、神干渉系の魔法は苦手なんだよなぁ。

催眠とか洗脳とかの神干渉はほとんどできない。

自分がかかってしまわないよう、耐裝備を作るのが限界だ。

セリアがいれば、一旦殺してから死霊報を得ることもできるが……ないものねだりをしても仕方ない。

こいつを捕らえ、生かしておくのもまずいだろう。

三重強化ができるのなら、鉄格子程度なら壊して獄しかねない。

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「じゃあな」

「へっ、クソがっ!」

俺は悪態をつく男にとどめを刺してから……死を土に埋めてやることにした。

気力を使わざるを得ないくらい強かった戦士に対する、せめてもの禮儀というやつだ。

自己満足だけど、やらないよりはマシだ。

俺が捕まえておいた二人の賊から報を引き出そうと試みたが、そもそもこいつらは大した報を持っていなかった。

寢かした奴ら共々始末をつけ、から上がる。

すると遠くから何やら言い爭うような聲が聞こえてくる。

「アルノード殿の助力を得ることができれば、必ず我らの役に立つだろう。だからオウカ、そんなに拗ねないでくれ」

「す、拗ねてなんか!」

「もう、大オウカは――」

サクラとオウカ様の議題は俺のことらしい。

仲睦まじい姉妹に喧嘩をさせてしまって、申し訳ないというかなんというか。

さて、なんやかんや流れで次期侯爵であるオウカ様を助けてしまったわけだが。

よくよく考えると、ここからどうするかは考えてなかったな。

リンブルの勢をあんまり深く知らないうちに手を出したのはマズかったかもしれない。

考えても仕方ないな、なるようになれだ。

どうしようもなくなったら、南の連邦か海を渡ったオケアノスにでも逃げ込むとしよう。

足音を殺すのを止め歩くと、サクラの方がこちらに気付く。

オウカ様の方は俺を見てぎょっとしたような顔をしている。

自分のを見下ろしてみれば……うん、斬り殺しまくったから全返りで真っ赤だな。

まだ年若いに見せるにはしばかり刺激が強すぎる。

「浄化(ピュリファイ)……すみません、お見苦しいを」

浄化は回復魔法の一種であり、呪いや狀態異常、そして汚れまであらゆるものを祓い落とす。

垢やフケなども汚れとしてカウントされるため、この魔法を使うだけでを清潔に保つことができる。

そのため長期間の行軍となるとわりと必須だったりする。

使える人間も多くないので、俺は夜になると大隊の面々から引っ張りだこだった。

一瞬で汚れが消えるのを見て、オウカ様が目を見開いている。

まぁ貴族となると、浄化魔法が必要なこともないだろうからな。

手品を見ているような覚なのかも――っと、いけない。

オウカ様が著ているドレスは數日に渡る拘束によって薄汚れており、その髪にもりが見えている。

浄化をかけるなら、まず俺じゃなくて彼にだろう。

「浄化――すみません、気付きませんで」

浄化をかけると、一瞬だけビクッとく。

この魔法、かけられるとちょっとこそばゆいんだよな。

事前に注意すべきだったかもしれんとちょっとだけ後悔。

うっすらと靄がかかったようにがぼやけていたドレスが、すっきりとしたピンクに変わる。

本來の輝きを取り戻したドレスは、違いのレースを重ね、虹のような綺麗な合いを見せていた。

土埃で汚れていたも綺麗になり、真っ白な素が目に眩しい。

「……ありがとうございます、アルノード殿」

いえいえとそれに軽く返してから、サクラにも浄化をかけてやる。

俺ほどじゃないけど、彼も走り通しだったせいで汚れてるからな。

もう一度確認するが、周囲に魔力や気力の反応はない。

の中に生き殘りもいない。

急いで出てきたので、賊たちの持ちは検分していない。

今はしでも金がり用だし、取ってくるべきだろうか。

でもオウカ様の時間を取らせたらまずいよな……後で個人的に取りに來よう。

「エクストラヒール。オウカ様、調の方はいかがでしょうか。空腹なようなら軽食などもありますが」

「無詠唱で上級回復魔法を……ああいえ、食事は與えられていたので問題ありません。とりあえず無事を伝えたいので、一刻も早くガードナーへ戻りたいですね」

數日も監されていれば心共に相當疲れているだろうが、そんな様子は微塵も見せない。

まだ二十にもなっていないだろうに、しっかりと自分を律することができている。

リンブルの貴族はみんなこんなじなんだろうか。

だとしたらデザントとは隨分違うな……。

「急いで來たので、馬はありません。お手數をかけてすみませんが、一緒に歩いていただけると……」

「はい、ですがその前に改めてお禮を。あなたがいなければ、私のがどうなっていたかわかりません」

ぺこりと頭を下げられ、俺の方が慌ててしまう。

貴族相手のやり取りというのは苦手だ。

自慢じゃないけど俺は、宮廷の社界というやつにはほとんど縁がなかったから。

リンブルの上流階級のマナーはよくわからないので、下手なことはしたくない。

「もっと目下への話し方で大丈夫ですよ、自分は……ただの平民なので」

「助けてもらった方にそんな禮儀にもとることはできません」

オウカ様は頑なだった。

ここら辺、堅じのするサクラとののつながりをじる。

今俺が背負っているのは普通のリュックなので、中に大したっていない。

下方向へ強力な送風をする『ふろーてぃんぐ☆ぼぉど!』でも持ってきていれば、紐にくくりつけて運べたんだけどな。

オウカ様を連れて最速でガードナーへ戻るなら、俺が彼をおんぶしていくのが一番速い。 サクラにさせたら、さすがにへばるだろうしな。

とりあえず提案してみると、オウカ様はしも悩まず「そうしてください」とだけおっしゃった。

平民が貴族にれることは、場合によっては罪の対象になることがある。

一応俺が元貴族である証明だけはしておこう。

そうすればもしもの時に言い逃れもできるだろ。

「一応、俺の正を明かしておきますね。まぁもう想像はついているでしょうが……俺はアルノード・フォン・エッケンシュタイン……かつてはデザントで宮廷魔導師をしていました」

「――『七師』のアルノード卿ですか!?」

「まさか、本人だったとは……」

二人とも驚いていて、特にサクラなんかは今までの真面目だった顔が剝がれ年相応のの子みたいな顔をしている。

『七師』のネームバリューは、どうやらリンブルでも有効なようだ。

話を聞くと、どうやら二人とも俺が『七師』アルノードの高弟か何かだと思っていたようだ。

高弟って……俺そんなにすごい人間じゃないぞ。

自慢じゃないけど引きこもりだったから、友達もいないし。

そんな人間に弟子なんか作れるわけがないだろ?

なんか俺に弟子り志願してた好きもいたけど……全員丁重にお引き取り願ったわ!

知らない人間にお世話されるとか、ぞっとしないし!

俺の部屋のとか、勝手に弄られたりするの嫌なんだよ。

エンヴィーとかは汚いとかもっと整理しろとか言うけど、俺からすると自分なりに整頓してるんだ。

誰かにとやかく言われるの嫌いなんだよ。

……だから追放されたんだろうな。

「どうかしたか、アルノード殿?」

「いえ、自己嫌悪していただけです。失禮します、オウカ様」

「はい、それではよろしくお願いします。あとオウカで結構です、様付けをされるほど偉くありませんので。お姉様と同じように接してください」

「――わかったよ、オウカ。……これでいいか?」

「はいっ!」

俺は自分の頭の中にあった雑念を追い払うべく、全力ダッシュでガードナーへと向かった。

バリアを張り風を防いでいるので、背中におぶっているオウカにはほとんど衝撃はいっていない。

途中で聲が聞こえなくなりそっと後ろを見ると、ぐっすりと眠られていた。

やっぱり気を張って、疲れていたんだろうな。

俺が走っている時のの揺れが、ゆりかごの役目でも果たしたんだろうか。

「あ、アルノード殿、もうし……」

「しっ!」

俺はし遅れてついてくるサクラに、背中で目をつむるオウカの姿を見せる。

は一つ頷き、そして小さく笑う。

ガードナーの街は、もうすぐそこまで近付いている。

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