《【書籍化】宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~【コミカライズ】》作戦會議

日間ハイファンタジー2位!

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新たなメンバーを引き連れて、俺たちは領都グラウツェンベルクへと向かう。

とりあえずシュウには好きなように魔道造りをさせてやることにして、殘る面子で的な話を詰めていくことにした。

既にライライは侯爵邸からもらってきた大量のワインを浴びるように飲みながら、國境へと向かっている。

……あいつ一人に任せて、本當に大丈夫だっただろうか。

顔を真っ赤にしながら気に笑う彼を見た時、し不安に思ったのはここだけのだ。

「とりあえず、活拠點だけでも決めておこう。本當はいくつか見繕ってたんだけど……東部行きが決まったから、候補地は大分絞られるだろうな」

「とりあえずどっかを奪還して、そこに住めばいいんじゃないですか? あーあ、カークが居れば掘っ建て小屋くらいは作ってくれただろうになぁ。またしばらくはテント生活かぁ」

エンヴィーは行くのが嫌そうな口ぶりをしているが、その表から嬉しさが隠しきれていなかった。

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相変わらずこいつは、噓をつくのが下手だ。

テント暮らしでもぐっすり寢れるくらい、大雑把な格をしてるだろお前。

俺は騙されんぞ。

「でも、あっという間。時の流れは、早い」

「たしかにな、大して何もしてないのに気付けばクランができてるし」

マリアベルは腰を左右にかし、喜びを表現していた。

こいつもエンヴィー同様、以前のような戦いの日々に戻るのが楽しくて仕方ないようだ。

者はアルスノヴァ家の使用人にやってもらっているので、今の彼は通常運転である。

エルルたち第二陣が來るまでに、既に俺たちの冒険者ランクは金へと昇格している。

それに伴い、冒険者クランの立ち上げの認可も出ていた。

まだパーティー名すら決めていなかったのでし焦ったが、とりあえずクラン名は俺発案の『辺境サンゴ』に決定済み。

ちなみにこのクラン名、エンヴィーたちにはめちゃくちゃ不評だった……解せぬ。

「まぁなんにせよ、これで俺たちはこれから金級クラン『辺境サンゴ』としてやっていくわけだ」

クランの構員全員が金級としての各種恩恵をけられるので、リンブル國での行には大分融通が利くようになった。

……まぁその分何かあったら、責任が全部俺に降り掛かってくるわけだけど。

「ホームはもう決めてるんですか?」

「いや、まだだな。そんなに急いでなかったから、まずはガードナーで家を借りようとしてたくらいだし」

クランを作ったらまずやらなければいけないのは、活拠點を定めておくことだ。

あらかじめホームを決めておくことには、沢山のメリットがある。

その地域を治める貴族にバックについてもらえたりとか、味い仕事を回してもらえたりとかもあるし……。

それに俺たちに依頼をしたい人間にとっての目印としても使えるからな。

いざという時の窓口があるってだけで、依頼のハードルはぐっと下がる。

「ガードナーって、さっきまで居た所ですよね。たしかにのどかで良い場所でした……あそこに作っちゃってもよかったんじゃないですか?」

「まぁ、別にそれでもいいんだが……」

エルルは俺と同じくらいには頭が回る。

なのでこういった作戦會議に、彼がいるだけでずいぶんと楽になる。

エルルは格別戦闘能力が高いわけではないが、戦友との友に篤く、俺のことを強く慕ってくれてもいる。

戦闘以外の政治的な要素を求められる局面だと、彼に分隊を任せるのが一番上手くいくんだよな。

もし今後二正面作戦を取ることになった場合、俺と別行のチームの隊長には間違いなく彼を任命することになると思う。

「一応不産なんかも見てはいたんだ。郊外だからか、家賃とかも案外安かった」

「いいじゃないですか、郊外のクランハウス! みんなで楽しく過ごせそうです!」

デザントにも近いし、當初はホームはガードナーにするつもりだった。

だがまぁ、あの時はこんなに早く貴族と知己になれると思ってなかったからな。

でも意外だな、エルルならアルスノヴァ侯爵の後ろ盾を得るため、活拠點は領都にしようと言うと思ってたんだが……。

「活拠點は、やはりグラウツェンベルクにした方がいいのではないか? その方が父上と今後の話をするのに都合もいい」

「……サクラさん、今私と隊長は今後のクランのための大切な話をしているんです。邪魔をしないでくれませんか?」

「今後の私たちのよりよい関係の構築のために、むしろ私も積極的に參加すべきだと考えているのだが。アルノード殿もそれを理解しているからこそ、私がここにいるのでは?」

エルルとサクラが、互いに厳しい視線を向け合う。

バチバチと、見えない火花がぶつかり合っているようだった。

この二人……まだ會ってからそれほど経ってないのに、どうしてこんなにけんか腰なんだ。

エルルは終始笑顔なのだが、細くなった目の奧はまったく笑っていない。

完全なる拒絶の笑みだ。

対するサクラはいつも通りを張っているが、俺と話すときよりもどこか居丈高だ。

その態度は、出會ったばかりの頃の彼を彷彿とさせる。

「個人的にあの街ののんびりとした雰囲気は好きなので、いずれ暇ができたらあそこにクランハウスの一つでも立てられたらと思う。別荘みたいなじにして、たまに遊びに來たりできたらと思うぞ」

「別荘ですか……いいですね! 避暑地か何かにして、遊びに行きましょ!」

「ああ、でもまずは領地の奪還に専念しなくちゃな。とりあえず他の大隊のみんながちゃんと生きていけるための場所を作っておかないと」

「もちろんです、一緒に頑張りましょうね、隊長!」

「あ、ああ……」

さっきまでの表はどこへやら、エルルはいつものひまわりの笑みを浮かべながらブンブンと手を振る。

なんにせよ、機嫌がよくなってくれたならよかった。

「サクラ、エルルは俺の腹心だ。できれば仲良くしてくれると嬉しい」

「す、すまない……どうも彼と話していると、心が落ち著かなくてな」

やはり二人は犬猿の仲なのだろうか。

だとすると今後、二人を一緒に行させることは避けた方がいいかもしれないな。

「隊長、夜はまだですか……ううっ、が私のを焼きますぅ」

「まだ真っ晝間だぞ。とりあえず寢て時間でも過ごしておけ」

グズってふにゃふにゃになっているセリアを膝の上に乗せてやると、彼はすぐに寢息を立て始めた。

セリアの睡眠を邪魔しないようにと、二人も言い爭いを止めてくれた。

ふぅ、これでようやく一息つける。

さて、侯爵と上手く話がつくといいんだが……。

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