《【書籍化】宮廷魔導師、追放される ~無能だと追い出された最巧の魔導師は、部下を引き連れて冒険者クランを始めるようです~【コミカライズ】》瘴気
久方ぶりに全力を出して走ると、バルクスでの日々を思い出し妙な気分になる。
懐かしいというか、なんというか……上手く言葉にできないな。
また魔狩りの日々に逆戻りかと思わなくもない。
だが不思議と、嫌ではなかった。
昔と比べると、今は狀況が大きく変わっている。
たしかに爵位も貴族姓もなくなり、『七師』の稱號は奪われた。
今の俺は、ただの冒険者クランのリーダーに過ぎない。
けれど大隊のみんなは変わらず俺についてきてくれていて。
リンブルの人たちは、俺たちのことをきちんと評価してくれている。
俺が孤児院出だとか、エンヴィーたちが二等臣民だとか、そういったことは関係無しに。
期待に応えなくちゃいけないな。
サクラやオウカ、そしてアルスノヴァ侯爵。
彼らにきちんと、俺たちには利用価値があることを認めさせなくちゃいけない。
今後のことを考えれば、これは絶対に必要なことだ。
「し飛ばすぞ、舌噛むなよ」
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「ええ、もう今でもこみ上げてくるものがあるのに――あばばばばばっ!?」
更に速度を上げる。
マジックバリアを展開しながら、気力作で機能を向上させる。
以前と比べると、魔法を発するまでにかかる時間がコンマ一秒は長い。
気力が全に行き渡るまでにかかる時間も、わずかに長くなっている。
俺自、追放されてからも自己鍛錬は欠かさなかったつもりだが……やはり、毎日睡眠時間を削ってまで魔と戦っていたあの頃と比べると、腕が鈍っているな。
トイトブルクにたどり著くまでに、しでも勘を取り戻しておかないと。
気力作と魔力作、この二つの技の練度は継戦時間にかなり直結してくる。
せめて俺単で、半日はぶっ続けで戦えるくらいにはしておきたいところだ。
森へ近付くにつれて、徐々に魔が強力になっていく。
けれどまだまだ、魔は雑魚ばかり。
どれも討伐難易度は銀級と言ったところだろう。
背中にセリアを抱えて相手をするのに、ちょうどいいくらいの強さだ。
前に死にかけてたエルルをおぶって戦っていた時のことを思い出しながら、俺は『サーチ&デストロイ君三號』で魔を見つけては屠っていく。
そして戦いの勘を取り戻しながら、明らかに魔が強くなり始めたあたりで一度小休止を取ることにした。
既に最前線より大分前に來ており、先ほどからちらほらと廃墟が見えるようになってきている。
魔力量からもわかるが、奧地にいる敵は俺たちがバルクスで戦っていたやつらとそれほど遜のない強さがある。
そろそろ、ある程度ちゃんとやらないと怪我をしかねない。
けれど、人の目がないっていうのはいいな。
周囲に人影がないおかげで、俺もセリアも気兼ねなく本気が出せる。
「そろそろ魔の集地帯にる、一旦下ろすぞ」
「う、うぶっ、きぼぢわるい……」
背中から下ろしてやると、セリアは顔を真っ青にして今にも戻してしまいそうだった。
興が乗ってきたので久しぶりに全力で戦っていたのだが、後ろに乗っているセリアからするとかなり乗り心地が悪かったようだ。
なるべく魔力を節約しようと、結界魔法は使わなかったからな。
簡易的な結界魔法であるマジックバリアには、衝撃を分散するような効果はない。
もうし乗り手のことも考えてやるべきだったかもしれない。
背中をさすってしばらくすると、落ち著いてくれた。
「すうっ……それにしても瘴気が濃いですねぇ。まだ太は明るいですけどぉ、これなら私も頑張れそうですよ」
「たしかに、かなり淀んでいるな」
魔力は空気中に漂っており、世界に影響を與え続けている。
一定空間の中に滯留する魔力の質の指標として使われるのが、純度と呼ばれるバロメーターだ。
純度が高ければ高いだけ、人間にとって都合がよくなると考えてくれればいい。
純度の高い魔力は魔法発の補助的な役割を果たすし、逆に純度の低い淀んだ魔力は人間の魔力を吸い取り魔法の発を阻害する。
ただこれはあくまでも人間視點のの見方で、魔の場合はこれが反対になる。
魔は純度が低ければ低いほど、魔力攻撃の威力や発効率が上がるのだ。
そしてその逆もまた然りで、純度が高いと本來の力を発揮できなくなる。
この純度が低く、言わば俺たちに都合の悪い魔力が多いことを、瘴気が満ちているなどと呼び表すことが多い。
セリアの場合、死霊でアンデッドや使い魔を使役する関係上、瘴気が濃ければ濃いほど、そのフィールドは彼にとって有利となる。
あと瘴気が濃い空間は薄暗くなるため、インドアが極まっているセリアは瘴気を浴びると元気になるという不思議質を持っている。
……やっぱりセリアって、実は魔だったりする?
「あとで浄化かけないとな」
「ええっ、ダメですよぅ! ここは重要指定空間にして、浄化の使用を止すべきかと!」
ちなみに浄化の魔法をかければ、魔力の純度を強引に上げることもできる。
セリアの言うことは無視しながら、魔道で魔の位置を探っていく。
魔が大量にいる空間は、浄化を定期的にかけないと魔力の純度がどんどん下がっていく。
俺たちが浄化で純度を上げることができるように、魔はそこにいるだけで純度を下げることができるのだ。
俺はこれを、陣取りゲームのようなものと認識している。
人間と魔は、互いの生存領域を奪い合って、常に戦いを続けているというわけだ。
セリアは……例えるならこちらに寢返った、敵陣営の駒といったところだろうか。
人間側なのに、瘴気を利用できるわけだからな。
「とりあえずこの先に、強力な魔の反応が二つある。両方潰してから晝飯にしよう」
「りょーかいですぅ」
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じょっぱれアオモリの星 ~「何喋ってらんだがわがんねぇんだよ!」どギルドをぼんだされだ青森出身の魔導士、通訳兼相棒の新米回復術士と一緒ずてツートな無詠唱魔術で最強ば目指す~【角川S文庫より書籍化】
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