《【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔師を凌駕する ～ユニークスキル〈セーブアンドロード〉～【web版】》# 21. DEATH

真っ黒なその鎧はかすかに紫のを放っている。鎧というには、あまりにも醜い。〔魔王の左腳〕はまるで裝著者から養分を吸い取ろうとするかのように、一部を植のツタのように変形させて、膝や太に食い込ませている。

僕はエヴァの言葉を思い出した。

――選ばれし者にしかつけることのできない鎧です。

エヴァは選ばれしものではなかった。彼は裝著し魔法を使ったが、拒絶されたように〔魔王の右腕〕は外れ、右腕は灰になった。

魔師であることは、選ばれしものの條件ではない。

では何が……。

ローブの男はオリビアを攫って行ったあの男だった。

そのはずだ。

……違和があった。

本當にそうなのか？

この違和はなんだ？

わからない、わからない。

マーガレットは彼から逃げられなかったのか？

マーガレットは生きていると信じたかった。

ローブの男は右手を上げた。〔魔王の左腳〕にダヴェド文字がらせん狀に走り、る。空中にのが現れる。

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僕は《アンチマジック》を『空間転寫』して、発した。

のが消える、はずだった。

《アンチマジック》は確かに発した。「activate」と書き込まれたスクロールは消失した。

なのに、どうして、

「どうして消えない！？」

のは収して、魔法が発した。

真っ黒な槍が出現する。槍の周りには炎のようにを屈折する明な紫の帯があって、ふわりと漂っていたかと思うと瞬時に槍にまとわりついた。

槍が発される。よけられる速度ではない。

僕は必死でをひねり、僅かにの中心をそらした。

槍は僕のには當たらずに地面に突き刺さる。

僕は次の攻撃に備えた。

そのとき、僕のは背中から突き刺された。から突き出しているのは明な紫の帯。

槍にまとわりついていた帯は、地面に突き刺さった瞬間展開して、四方八方にびていた。

僕はその一つに突き刺されていた。

を噴く。呼吸ができない。

紫の帯が槍に戻った。暴に引き抜かれて、地面におびただしいが線を引いた。

僕は薄れる意識の中で、《エリクサー》を空間転寫した。

正しくはしようとした。

その瞬間、またしても帯がびて、僕の首を刎ねた。

――――――――――――――――――――――――XIII

聲がする。

ただ、その聲は、壊れていた。

――繝ヲ繝九?繧ッ繧ケ繧ュ繝ォ縲醫そ繝シ繝悶い繝ウ繝峨Ο繝シ繝峨?峨ｒ逋コ蜍輔＠縺セ縺吶?

――譛?蠕後↓繧サ繝シ繝悶＠縺溷?エ謇?縺ク謌サ繧翫∪縺吶?

――繧醫ｍ縺勵＞縺ァ縺吶°?

僕は困した。今までこんなことは一度もなかった。

〔魔王の左腕〕の影響か？

おそらくいつも通り、「最後にセーブした場所に戻ります」と言っているのだろう。

僕は「NO」と言った。

――蜿苓ォセ縺勵∪縺勵◆縲

――繧ケ繝ュ繝?ヨ縺ョ驕ク謚槭↓遘サ繧翫∪縺吶?

目の前にスロットが表示される。ただ、何かがおかしかった。僕はスロットのひとつを選択した。それは壊れていた。どのスロットも、ザザザという雑音と真っ暗なイメージしか浮かばない。

僕は焦った。片っ端からスロットを見ていった。どれか見れるものがあるはずだ。そう信じて、ひとつずつ取りこぼしのないように開いていった。

しかし、すべてのスロットが、同じように雑音と暗闇に包まれていた。

「も……戻れない」

それどころか、どこにも行くことができない。

僕はこの選択の場に閉じ込められてしまった！！

「何か、……何か方法があるはずだ」僕はスロットを何度も何度も見返した。

どこかに戻るヒントはないのか？

ちょっとでもいい、手掛かりがしい！

そのとき、後(・)ろ(・)から聲が聞こえた。

僕(・)は(・)振(・)り(・)返(・)っ(・)た(・)。

◇

視界が開ける。

僕は森の中を歩いている。

が、僕には見覚えのない場所だった。

僕はあたりを見回そうとしたがをかせない。歩いてはいる。ただ、をかしているのは別のだれかだ。僕はり人形のように、をかされている。

どうなってる？

僕は選択の場から抜け出すことに功した。だが、どうやらいつものように〈ロード〉できたわけではないらしい。

湖に出る。どうやら、僕(・)は水を汲みに來たようだ。『空間転寫』をして、《マジックボックス》を開く。

――ん？

僕はパスワードが違っているのに気づいた。これは僕の《マジックボックス》じゃない。いったい誰の？

《マジックボックス》から革袋を取り出した僕(・)はしゃがみ込んで、水を汲んだ。

そのとき、顔が水面に映った。

僕は絶句した。

その顔は僕ではなかった。

水面はゆれていて、はっきりとは見えなかったが間違いない。

僕(・)は髭を生やしていた。

僕は〈ロード〉に失敗して、別の誰かのにり込んでしまった！！

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