《【書籍化】解雇された寫本係は、記憶したスクロールで魔師を凌駕する ~ユニークスキル〈セーブアンドロード〉~【web版】》# 29. ʇǝɹɐƃɹɐɯ

僕はマーガレットとの會話を思いだしていた。

――アムレンは、魔師ですよね!?

――違う、守護者だ。誤解している。

どちらが正しいのかこれをもってわからなくなってしまった。

アムレンはロッドの兄だ。そしてロッドは守護者だ。

ロッドはスキル『記憶改竄』を持っていない。これはアンジェラのスキルからわかる。

そして同様に、アンジェラのスキルからアムレンがスキル『記憶改竄』を持っていることがわかっている。

二人はどこかのタイミングで仲たがいをするのか?

二人は違う道を歩くのかもしれない。

アムレンは魔師として、ロッドは守護者としての道を歩む。

そのきっかけになる事件があるはずだ。

僕はまた、俺に潛っていった。

目をひらくと酒場だった。アムレンが向かいにいる。ステラの姿は見えなかった。

アムレンはひどく酔っていた。それもかなり悪酔いしていた。

「お前は行かなくてもいい」俺はアムレンに聲をかけた。が、彼は首を橫に振った。

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「いや、俺がやらなければダメだ」彼は両手で顔を覆った。「信じていた俺がわるい」

俺は首を橫に振った。

「親なら誰だって信じるだろ。それにもう何世代も魔師と決別して、隠れて暮らしてきたんだ。こうなるなんて思いもつかない」

アムレンはため息をついて首を振り、両手をテーブルに載せた。

「うすうす、づいてはいたんだ。多分ロッドも気付いていただろう。親父は魔師に戻りたがっているって。多分それは、俺が、〔魔王〕の力をけ継いでいるからだ。親父は、俺の力をひどく喜んでいたよ。表には出さなかったがな。俺は娘から離れて過ごしてきた。魔師たちにづかれないようにするためだ。なのに、クソ親父……」

アムレンは両手を握りしめた。

「裏切りは、許されない。親父が生きていれば、この先、不幸になるのは目に見えている。俺がやらなければダメなんだ」

彼は紫の目で俺を見た。

俺は小さく頷いた。

僕の意識が飛んで、また引き戻される。

夜だった。そこは辺境の街で、俺がいるのは城だった。

俺とアムレンは一人の男の前に立っている。男は剣を構えてこちらを睨む。

「アムレン。どうしてこんなことを」

アムレンは兜のしたからくぐもった聲で言った。

「あんたが、俺たちを裏切ったからだよ、親父」

アムレンの父はふっと笑った。

「お前の力は本だ。〔魔王〕様の力を引き継いだ、真の族だ。お前の力があれば、魔師の中で地位を築くことができる。こんな辺境の貴族ではなく、もっと強力な力を手にできる!!」

彼の目は濁っていた。心もきっと濁っている。

アムレンは言った。

に溺れたな。俺がどんな思いで娘から離れて過ごしているかわからないのか? 俺は魔師に目をつけられている。奴らは俺が〔魔王〕の力を持っていると知っている。魔師たちは俺の力を求めている。おそらく、一緒にいれば娘にも危険が迫るだろう。そう言っただろ?」

アムレンの父は不敵な笑みを浮かべて言った。

「そう思っているのはお前だけだ。お前の妻も、私の言葉に同意してくれたよ。お前の娘はもっと強力で、確固たる地位を手にれる。あの子は〔魔王〕になるんだよ」

アムレンは舌打ちした。もうこれ以上議論の余地はないように思えた。

「離れていてくれ。こんな場面は見せたくない」

アムレンがいうので、俺は転移した。

城の最も高い場所につく。

街には火の手が上がっている。城の中にいた人間は皆外へと逃げていったようだ。

俺はテラスに出て、庭を見下ろした。

アムレンが父親を剣で突き刺した。おそらくそう長くはないだろう。

そこに母と娘が逃げていく。おそらくアムレンの妻と娘だろう。二人は空の髪をしていた。アムレンは二人の姿を見た。

妻が立ち止まり、娘の肩をつかむ。

アムレンが兜を外した。彼の妻がその顔を見てはっとする。すべてに気づいたのだろう。

アムレンの後ろに倒れている人を見て、娘は目を見開いてんだ。

「お爺様!」

城から上がる火の手であたりは照らされていた。石造りの地面はアムレンの父ので濡れていた。彼は聲に反応して、力を振り絞って顔をあげた。

「逃げろ! マーガレット!」アムレンの父はを噴きながらんだ。

アムレンが、剣を振り上げた。

「やめて!!」マーガレットはんだが、剣は無にも振り下ろされ、アムレンの父の首が飛んだ。

マーガレットはび、母の腕の中で暴れた。

アムレンは剣を振ってを飛ばすと、マーガレットを睨んだ。

アムレンの妻が、マーガレットの腕をつかんで走りだした。が、アムレンの速度から逃れることはできない。彼は一瞬で妻の前に現れて、逃げ場をなくした。

アムレンの妻はマーガレットを突き飛ばした。

「逃げなさい!」

アムレンに妻が何かを言った。その瞬間、城で大きな発があった。

アムレンがく。

を貫く。彼の妻はを吐いた。

マーガレットはアムレンを睨む。

は祖父の倒れていた場所まで走り、祖父の手から剣をとった。マーガレットはアムレンと向き合った。

アムレンの妻が倒れる。

マーガレットはうなり聲をあげて、駆け出した。その瞬間、が加速して、アムレンに迫った。

彼はしだけ驚いていたが、剣を軽く振っただけでマーガレットをいなした。マーガレットは地面に突っ伏した。

アムレンはマーガレットの手を蹴って剣を飛ばすと、彼の首をつかんで持ち上げた。

マーガレットは腕に爪を立ててもがいた。鎧に引っかかった爪がはがれる。

アムレンはマーガレットをいとおし気に見つめると、言った。

「俺の名はアムレン。生きて俺を探しに來い。次に會うときは敵か味方かわからないが」

アムレンは父親の首を刎ね、妻を殺した。俺はその現場に《テレポート》してきた。

彼は娘を抱き上げた。娘は意識を失っていた。

そこにステラが《テレポート》してきた。彼は狀況を確認すると小さく息を吐きだした。

「終わりましたか?」

「ああ、すべて完了した」アムレンは娘をステラに預けた。彼は娘の頭をなでた。

「行ってくれ。これ以上は一緒にいるのは辛すぎる」アムレンは顔を背けた。

「わかりました」ステラはそう言うと、スクロールを取り出して、《テレポート》した。

アムレンは崩れるように膝をついて、

咆哮した。

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