《【書籍化・コミカライズ】さないといわれましても~元魔王の伯爵令嬢は生真面目軍人に餌付けをされて幸せになる》4 はたらいたらパンをもらえるのでパンをもらったらはたらきます
一日三回もごはんをいただける毎日を過ごしています。
しかも全てが味しい!魔王時代は勿論アビゲイルとなってからも見たことがないくらいの馳走の毎日です。
最初はパン粥が三回ほど続きましたけど、すぐにふかふかの枕みたいな真っ白のパンになりましたし。それからちょっとずつとろとろにいろんなものが溶けてるスープとか、そう、ふわっとほどけるおがったスープとか!昨日の夜など、ごろんとした菜が舌だけでつぶれちゃうシチューでした。
そしてとうとう今朝はじゅわっとソーセージをいっぽんまるごといただけたのです。二口サイズでしたけれど、そのほかにもパンもスープも果だって食べられました。タバサの言ったとおりです。タバサってすごいんじゃないでしょうか。ロングハースト家にいた家庭教師よりずっとすごいと思います。そう言ったらタバサは「あらあらまぁまぁ」って嬉しそうに笑ってくれました。
でも今日はお休みだと朝食をご一緒した旦那様は、真剣な顔をしてこうおっしゃいました。
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「いや、君まだ俺の五分の一も食べてないからな。せめて半分は食えるようになれ」
「勿論です。すぐに旦那様の倍は食べられるようになってみせます」
「……っ、楽しみにしてる」
パン粥との初めての出會いの日、旦那様は何故か私に「すまなかった。しゅ、淑にとる態度ではなかった」と詫びてくださったのです。なんで噛んだのかも詫びられたのかもちょっとわからなかったですが、気にしてませんと答えたら微妙なお顔をしてました。
でもそれからは、旦那様のご都合のよいときは一緒に食事をとるようになったのです。
なんといってもこのお屋敷の一番偉い方ですからね。旦那様がいらっしゃるから私はごはんをいただけるのです。何を気にすることがありましょう。
しかし閨はご一緒していません。あのふかふかで清潔な大きなベッドは私が今も獨り占めしています。
そうしますと旦那様の気が変わらないように勵むべく、妻のお勤めは他に探さなければならないのです。
「だからね、タバサ、私もお仕事したいと思います」
「――何のお話の続きかわかりかねますが、とりあえずこれは奧様のお仕事ではございません」
手にしたモップをタバサにとりあげられました。
そして「さあさあ今日のお散歩がまだでございましょう」と、お庭に出されたのが今です。
侍候補であるメイドに日傘をさしかけてもらいながら、お庭をのんびりぐるぐる回っています。三周目です。本當はもっと広いのですが、屋敷が見えないところに行っちゃいけないので。
タバサは最初侍長と聞いていましたが、本當は家政婦長(ハウスキーパー)で、侍長は兼任してるんだそうです。主(あるじ)が旦那様一人のこのお屋敷は侍が元々いなくて、奧様付の侍を選別してるところと聞いています。とにかくタバサは忙しいので私にだけくっついててくれるわけじゃないのです。ほんとはタバサがいてくれたら一番いいのにと思いますけど、仕方ありません。
「ねえ、妻のお仕事って何がありますか」
「……わたしにはわかりかねます」
今日のメイドさんはあまりおしゃべりじゃありません。黙々とお散歩を続けます。四周目に差し掛かった頃、メイドさんが口を開きます。あ。
「でも、やはりまずはご主人様にされることではないかと」
「はい、不合格ー」
ロドニーが現れて、ぴょんって縦に跳ぶメイドさん。結構跳んだので、ちょっと驚きました。
旦那様もいらっしゃいます。ご機嫌斜めのお顔です。ロドニーは何か言おうとしているメイドさんを追い立てて屋敷に戻っていきました。とりあげた日傘を旦那様がさしかけてくださいます。
「……こういうことか」
「どうされましたか?旦那様」
「いや、仕事が一區切りついたんでな。休憩だ」
旦那様がくいっと立てた右ひじを見つめていたら、私の左手をとって添えさせてくださいました。
「これ、エスコートです!家庭教師が言ってたやつですね!」
「……っそうだ」
一瞬そむけたお顔が何か堪えるようでしたが、すぐにいつものきりっとしたじに戻りました。
旦那様は大きいので、隠したみたいですけど下からは丸見えなのです。高さだけなら魔王の私と同じくらいあるんじゃないでしょうか。
「何を話してたんだ?」
「何がでしょう」
「今のメイドとだ」
「ああ、妻の仕事って何があるのですかって。タバサにはモップとりあげられちゃいましたし」
「何故まずモップになった」
「ごはんを食べたいなら働かなきゃいけません。ロングハーストではメイドのお手伝いをしたら、パンをもらえました。だから私お掃除も上手にできます」
義母たちが出かけている時限定ですけどね。それでもあの人たちしょっちゅうお出かけしてるので、二日に一度くらいはパンをもらえました。
「うん。そうか。――そうか。やっぱりちょっと々と詰める必要がありそうだな」
「何をですか」
「いやいいんだ。まずメイドの仕事は妻の仕事じゃない」
「ですよね。タバサもそう言いました――旦那様は今日はお休みと伺いましたのに、何のお仕事ですか。私領地のお仕事もお手伝いできますけど、旦那様は領地をお持ちじゃないと聞きました」
もしかして旦那様も本當は領地をお持ちなのでしょうか。だったら私もお手伝いできるのでは?義母は領地のお仕事をしていませんでしたから、妻のお仕事ではないのかもしれませんが。
「ああ、軍とは別にドリューウェットの事業も任され――待て、領地経営の手伝いって、ロングハーストのか?あそこはかなりかだと聞いているし、その分仕事も多いだろうが」
「はい。伯爵の署名はぴったり同じに書けます」
「いやいやいやいや待て待て待て」
反逆者として王國で処刑された隠れ最強騎士〜心優しき悪役皇女様のために蘇り、人生難易度ベリーハードな帝國ルートで覇道を歩む彼女を幸せにする!〜【書籍化&コミカライズ決定!】
【書籍化&コミカライズ決定!】 引き続きよろしくお願い致します! 発売時期、出版社様、レーベル、イラストレーター様に関しては情報解禁されるまで暫くお待ちください。 「アルディア=グレーツ、反逆罪を認める……ということで良いのだな?」 選択肢なんてものは最初からなかった……。 王國に盡くしてきた騎士の一人、アルディア=グレーツは敵國と通じていたという罪をかけられ、処刑されてしまう。 彼が最後に頭に思い浮かべたのは敵國の優しき皇女の姿であった。 『──私は貴方のことが欲しい』 かつて投げかけられた、あの言葉。 それは敵同士という相容れぬ関係性が邪魔をして、成就することのなかった彼女の願いだった。 ヴァルカン帝國の皇女、 ヴァルトルーネ=フォン=フェルシュドルフ。 生まれ変わったら、また皇女様に會いたい。 そして、もしまた出會えることが出來たら……今度はきっと──あの人の味方であり続けたい。王國のために盡くした一人の騎士はそう力強く願いながら、斷頭臺の上で空を見上げた。 死の間際に唱えた淡く、非現実的な願い。 葉うはずもない願いを唱えた彼は、苦しみながらその生涯に幕を下ろす。 ……はずだった。 しかし、その強い願いはアルディアの消えかけた未來を再び照らす──。 彼の波亂に満ちた人生が再び動き出した。 【2022.4.22-24】 ハイファンタジー日間ランキング1位を獲得致しました。 (日間総合も4日にランクイン!) 総合50000pt達成。 ブックマーク10000達成。 本當にありがとうございます! このまま頑張って參りますので、今後ともよろしくお願い致します。 【ハイファンタジー】 日間1位 週間2位 月間4位 四半期10位 年間64位 【総合】 日間4位 週間6位 月間15位 四半期38位 【4,500,000pv達成!】 【500,000ua達成!】 ※短時間で読みやすいように1話ごとは短め(1000字〜2000字程度)で作っております。ご了承願います。
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