《【書籍化進行中】斷罪された悪役令嬢は、元兇の二人の娘として生まれ変わったので、両親の罪を暴く》35.騎士たち
常に一人にならないよう気を付け、セシリアは用心しながら過ごしていた。
ところが、何事もなく三日目になろうとしている。
廊下や庭で隣國王ケヴィンと會うことはあったが、ごく普通に挨拶や、ちょっとした世間話をわすだけだ。それはセシリアがエルヴィスと一緒にいるときも、そうでないときも変わらず、態度の変化は見當たらなかった。
張が途切れるのを見計らっているのか、それとも何かを待っているのか。セシリアは落ち著かない日々が続く。
「……張のせいで、眠りが淺くなっているのかしら」
早朝に目覚めて、すっかり目が冴えてしまったセシリアは、まだ薄暗い室を眺めながら、ため息をらす。
散歩にでも行きたいところだが、一人で出歩くのはやめるべきだ。
諦めてもう一度寢直そうとするものの、やはり無駄だった。それでも何度も寢返りを打っているうちに、使用人たちがき出す時間になったようだ。
そろそろ大丈夫だろうかとセシリアは起きて、控えめに呼び鈴を鳴らす。
Advertisement
すると、すぐに侍がやってきて、朝の支度が始められた。
いつもよりずっと早い時間だというのに、嫌な顔ひとつせず、にこやかな態度だ。
王太子宮にいた侍たちならば、呼び鈴を鳴らしても來なかったかもしれない。來たとしても、嫌味くらいこぼしただろう。
隨分と違うものだと、セシリアはじる。
支度を調えると、セシリアは散歩に行くことにした。
朝食はエルヴィスと一緒にとっているが、まだ時間がある。
侍と護衛を伴って外に出ると、朝の澄んだ空気が心地よく、ここ數日の鬱屈した気分が晴れていくようだ。
目を閉じてさわやかな空気を味わっていると、遠くからび聲のようなものが聞こえてきた。
「……あら? 何か聞こえるような……」
「きっと、騎士たちの早朝訓練でございますわ。旦那さまもよく參加なさっています。ご覧になりますか?」
「まあ、エルヴィスが……ええ、見てみたいわ」
侍に案されて、セシリアは騎士たちの訓練場に向かう。
近づいてくるにつれ、金屬のぶつかり合う音や、怒鳴り聲も聞こえてくる。
荒事とは無縁に生きてきたセシリアは、しがすくみそうになってしまう。アデラインは護くらいは學んでいたが、セシリアはさっぱりだ。
だが、怯えた姿など見せては、エルヴィスに恥をかかせてしまうかもしれない。セシリアは毅然と顔を上げ、しっかりとした足取りで進んだ。
訓練場では、騎士たちが剣をえていた。
刃を潰した訓練用の剣だが、當たれば怪我をするだろう。
し心配になりながら、セシリアはエルヴィスの姿を探す。すると、すぐに剣を振るう黒髪の青年が目にってきた。訓練用の簡素な服だったが、存在が違う。
間違いなくエルヴィスだ。セシリアが見守っていると、エルヴィスは相手の騎士を軽々とあしらい、圧倒していた。
そして相手を下すと、何かを言っているようだった。
「……セシリア?」
途中で、エルヴィスがセシリアに気付いた。
汗を拭いながら、セシリアの元にやってくる。
「このようなところまで、どうかしましたか?」
「いえ、ちょっと見てみたかっただけですわ。お気になさらないで」
「そうですか。あなたが來るとわかっていれば、もうしだしなみを整えておいたのですが……」
殘念そうに呟きながら、エルヴィスはれた髪を片手で押さえる。
普段は髪も服裝も大貴族にふさわしく整えられているが、今はまるで一介の騎士のようだ。
「素のままのあなたが見られたようで、嬉しいですわ。突然、押しかけてしまってごめんなさい」
「いいえ、ここはあなたのものでもあるのです。いつでも好きなときにお越しくださって構わないのですよ。このような汗臭いところ、おすすめはいたしませんが」
セシリアとエルヴィスが話していると、いつの間にか騎士たちが訓練を中斷して、じっと二人の様子をうかがっていた。
剣がぶつかり合う音も聲も途切れ、靜まり返っている。
「……お前たち、何を見ている」
不快そうなエルヴィスの聲が響く。
普段のローズブレイド當主としての取り繕った顔はなりを潛め、一人の若者らしい顔になっていた。
「そちらのしい方が、旦那さまのしい奧方さまですよね? なかなか我々に紹介してくださらないなと思いまして」
騎士の一人が代表して口を開く。すると、他の騎士たちも頷いていた。
そういえば、使用人たちとは初日に顔を合わせたが、騎士たちはまだだ。護衛についてくれる騎士數名しか面識がないと、セシリアは今さら気付いた。
「まだ、未來の奧方だ。お前たちのようなむさ苦しい連中、特に今のような見苦しい姿は目の汚れになるだろうが。……申し訳ありません、セシリア。あのような連中、不快でしょう」
エルヴィスは騎士たちに厳しい聲を投げた後、困ったようにセシリアに囁く。
その落差が激しく、セシリアは思わず笑ってしまいそうになる。
「いいえ、ローズブレイドを守ってくれる騎士たちですもの。頼もしいですわ」
本心から、セシリアはそう答えた。
こうしてしっかりと訓練している姿は頼もしく、不快だなどとかけらも思わない。
微笑むセシリアの姿を見た騎士たちから、らしい、健気だ、などとざわめきが起こる。
「むしろ、私が訓練の邪魔をしてしまってごめんなさい。すぐに戻りますわね。また改めてご紹介いただければ嬉しいですわ」
そう言って、セシリアは訓練場を後にする。
追いかけてこようとしたエルヴィスだが、騎士たちに捕まってもみくちゃにされていた。
つい、セシリアからくすりと笑いがこぼれる。
騎士たちの態度は不敬といえば不敬なのかもしれないが、エルヴィスも本気で嫌がっているようには見えない。されるがままになっているのだから、けれているということだろう。
これまでエルヴィスは慘な爭いの中にを置き、青春など無縁だったのだろうとセシリアは思っていたが、それだけではなかったようだ。
主従である以上、どうしても壁はあるのだろうが、それでもエルヴィスと騎士たちは仲間に見えた。
しでも心を許せる場所がエルヴィスにあることが、セシリアにとっても嬉しい。
溫かい気持ちになりながら、セシリアは庭を歩きつつ、部屋に戻ろうとする。
「おや、セシリア姫。おはようございます」
すると、ばったりとケヴィンに出會った。
和んでいた気分が、一気にひっくり返る。
「……おはようございます」
だが、これまでケヴィンと會ったときも、挨拶や世間話で終わった。
今も一人ではなく、エルヴィスはいないものの、侍や護衛は一緒だ。
今回も大丈夫なはずだと、セシリアは微笑んで挨拶して、立ち去ろうとする。
「しだけ、お時間をいただけますか?」
ところが、ケヴィンが次に発した言葉は、これまでになかったものだった。
快適なエルフ生活の過ごし方
新人銀行員、霜月ひとみは普通の人生を送ってきた……のだがある日起きたらエルフになっていた! エルフなんで魔法が使えます。でも、望んでるのは平和な生活です。 幼なじみはトリリオネア(ビリオネアより上)です。 他にも女子高生やらおっぱいお姉ちゃんやらが主人公を狙っています。百合ハーレムが先か平穏な日々が先か....... 各種神話出てきます。 サブタイトルはアニメなどが元ネタです。 悪人以外は最終的には不幸になりません。
8 191スターティング・ブルー〜蒼を宿す青年〜
世界が『魔素』という物質に覆われて早數百年。人々は各地に階層都市を築いて平穏に暮らしていた。 そんな中、死神と呼ばれる男が出現したという報せが巡る。その男が所有している魔道書を狙い、各地から多様な人々が集まってくる。 だが、彼等は知らない。その男が持つ魔道書、それと全く同じ魔道書を所有している人物が居る事を──
8 111名探偵の推理日記〜雪女の殺人〜
松本圭介はある殺人事件を捜査するため、雪の降り積もる山の中にあるおしゃれで小さな別荘に來ていた。俺が事件を捜査していく中で被害者の友人だという女 性が衝撃的な事件の真相を語り始める。彼女の言うことを信じていいのか?犯人の正體とは一體何なのか? 毎日1分で読めてしまう超短編推理小説です。時間がない方でも1分だけはゆっくり自分が探偵になったつもりで読んでみてください!!!!初投稿なので暖かい目で見守ってくださると幸いです。 〜登場人物〜 松本圭介(俺) 松本亜美(主人公の妻) 松本美穂(主人公の娘) 小林祐希(刑事) 大野美里(被害者) 秋本香澄(被害者の友人) 雨宮陽子(被害者の友人) 指原美優(被害者の友人)
8 125「最強」に育てられたせいで、勇者より強くなってしまいました。
ある日大學中退ニートが異世界に転生! 「最強」に育てられたせいで破格の強さを手に入れた主人公――スマルが、強者たちの思惑に振り回されながら世界の問題に首を突っ込んでいく話。
8 183ランダムビジョンオンライン
初期設定が必ず一つ以上がランダムで決まるVRMMORPG「ランダムビジョンオンライン」の開発テストに參加した二ノ宮由斗は、最強キャラをつくるために転生を繰り返す。 まわりに馬鹿にされながらもやり続けた彼は、全種族百回の死亡を乗り越え、ついに種族「半神」を手に入れる。 あまりにあまったボーナスポイント6000ポイントを使い、最強キャラをキャラメイクする由斗。 彼の冒険は、テスト開始から現実世界で1ヶ月、ゲーム內部時間では一年たっている春に始まった。 注意!!この作品は、第七話まで設定をほぼあかしていません。 第七話までが長いプロローグのようなものなので、一気に読むことをおススメします。
8 70After-eve
のどかな自然に囲まれて--- 小さな街の「After-eve」というパン屋を中心のヒューマンストーリー
8 92